ビジネスお役立ち情報 > ITトレンドWatch

ITトレンドWatchITトレンドWatch 私たちの生活の様々な分野で活用されるITについて最新情報をお届けします。

ITトレンドWatch のトップへ

パソコンはキーボードとマウスから
マルチタッチパネルで操作の時代に?

iPhoneを始めとした携帯電話で「マルチタッチパネル」が大きな話題を集めているが、この技術を利用したパソコンも登場しそうだ。さらに音声認識や顔認識技術まで搭載し、マイクロソフトは新しいパソコンの使い方を次世代Windowsの大きな売り物にしていくという。

これまでのタッチパネル操作が
マルチタッチになるとどうなる?

iPhoneやiPod touch、そして次々に現れる新型携帯電話の登場によって“マルチタッチパネル”の人気が急上昇している。

マルチタッチパネルとは、複数の点に同時に触れて操作することができるタッチパネル(タッチスクリーン)のこと。タッチパネル自体は、ディスプレイパネルの表面を指やペン先などで触れて位置や動きなどを指示するインターフェースとして以前から存在したが、今までは同時に1カ所までしか指示をすることができなかった。

これを複数ポイントに同時に触れて入力、操作することができるように改良したものがマルチタッチパネルであり、大きな画面を複数人が触れて共同作業を行ったり、複数の指で同時に画面に触れて、対象の移動や回転、画像のズームなどの動きを直感的に入力することができる。例えばiPhoneでは、画面に表示された画像を2本の指でつまむと画像の大きさが変化する機能が話題になっているが、こうした操作がマルチタッチパネルならではの技術である。

現時点では、このマルチタッチパネルの利用は携帯電話などの小型端末機器を中心に採用されているが、これからはパソコンのインターフェースにも利用されると見込まれている。かなり以前からシングル操作の従来型タッチパネルは家電製品や一部のパソコンなどで利用されてきたが、マウスやキーボードに比べて指示(入力)をする量やスピードなどの操作感が劣ってしまうため、パソコンでは主に初心者向けの機種などに限定して採用されてきた。しかし、マルチタッチパネルの技術によって課題解決の道が拓け、タッチパネル搭載パソコンが見直されているのだ。

その代表例が、2008年7月に日本ヒューレット・パッカードの発表した「HP TouchSmart PC」。指でなぞって画面をスライドさせたり、2本の指を使ってアプリケーション画面の拡大・縮小を行うことができる「TouchSmartソフトウェア」を搭載、写真、音楽、ビデオ、メモ(手書き、音声、動画)、カレンダーなどのアプリケーション操作も高速かつ快適に行えるようになり、新しいパソコンの使い方を感じられる。

HP TouchSmart PC
画面を2本指でタッチ操作するHP TouchSmart PC IQ500シリーズ

マルチタッチだけが注目インターフェースではない
音声認識や顔認識とあわせてさらに快適な操作へ

iPhoneを発売したアップルでは、将来の事業戦略の中心にマルチタッチインターフェースを据えているようだ。

米国特許の公開情報では、iPhoneで用いられているマルチタッチ入力に音声認識や顔認識技術まで追加するユーザインターフェースシステムのアイデアが含まれた特許が出願されているという。このアイデアの根底にあるものは、iPhoneのマルチタッチのコンセプトだけでなく、それ以外の音声認識や顔認識など異なる手段による入力方式の結合を目指すことにありそうだ。

まだ推測の域を出ない予想だが、例えば、指で画像を選択して、音声でその画像の色を青に変更するようコンピュータに指示したり、またはスクリーンの右下に目線を移すことで画像を配置したい場所をコンピュータに伝える、といったことが実現するかもしれない。いくつかのMac専門サイトや業界の噂では、次の新型Macintoshはタブレット型で超薄型の一体型Macだとしていて、その他の各社ともタブレットコンピュータの開発には力を入れているようだ。

コンピュータの音声認識技術は、キーボードやマウスに代わる入力装置として、既に一部分野では通常に利用されている。読み上げた文章を漢字かな交じりの文章としてテキストデータ化するディクテーション、アプリケーションの起動や各種の操作を音声で実行するナビゲーションなどの用途があり、一般向けの音声認識ソフトとしても日本IBMが開発した「ViaVoice」、そしてWindows Vistaにも音声認識機能が搭載されている。

一方、顔認識システムとして広く知られているのは、デジタルカメラやビデオカメラに搭載された技術だろう。デジタル画像から人を自動的に識別するためのアプリケーションが搭載され、人の顔と思われる部分を自動的に検出し、より美しく撮影できるように露出やピントを合わせるものだ。さらに一部のデジタルカメラには、笑顔のみを認識するという、さらに進化した顔認識システムも搭載されている。

コンピュータの顔認識システムのもう1つの面は、セキュリティシステムのために使われ、指紋認証システムや目の虹彩認識システムなどの他の生体認証と対比されている。最近の顔認識アルゴリズムの技術としては、カメラから見えない部分も考慮した正確さを達成しようとする三次元顔認識や、皮膚の詳細な質感に着目するものがあり、いずれも認識の精度がより正確に、処理速度がより高速に進化している。

ASUS U2E
ログオンのパスワードの入力を顔認証で行う
ソフトウェア「ASUS SmartLogon」搭載の「ASUS U2E」

新しいインターフェースで広がる
コンピュータの使い方と生活の変化

こうした動向に対して、Windowsを開発するマイクロソフトも当然ながら本格的に開発を進めている。タッチインターフェースを携帯電話やパソコンだけではなく、将来的には机や壁などでも使えるようにし、コンピュータを扱う人々が相互にやりとりするための新しい革新的な方法として本格的に奨励しているのだ。

その代表的なデモンストレーションとなったのが、2007年5月に発表された「サーフェス・コンピューティング」と称する新分野の技術「Microsoft Surface」だ。このSurface(面)は、30インチのタッチスクリーンが付いたテーブル型の「タンジブル・デバイス」として開発された。タンジブル・デバイスとは、手や身体で触れることのできる物体で操作できるものの総称を指す。

Surfaceでは、マルチタッチスクリーンに表示された写真や地図などの画像の両端を左右の手の先でつまんで2点間の距離を広げたり、もしくは手で回転させることで画像の拡大や回転などができる。こうした操作はiPhoneと同じだが、デジタルカメラをテーブルに置くとカメラ内の写真がテーブル上に広がるように表示され、それを指で弾いて、隣に置いた携帯電話へ転送するといった応用も可能で、テーブル型の装置である特徴が出ている。

また、Surfaceにはバーコードのような識別タグが付いた物体を認識する機能もある。例えば、レストランでワイングラスをテーブルに置くと、注文したワインの情報やその原料が育ったブドウ園の画像、そしてそのワインに合う食べ物が表示される、といったアプリケーションも作成できる。

Microsoft Surface
マイクロソフトが開発したタンジブル・デバイス「Microsoft Surface」


既に携帯電話の世界ではマルチタッチで操作できる端末がiPhoneだけではなく、ドコモの「hTc Z」やソフトバンクの「FULLFACE2 921SH」など次々に登場し、もはや特別な操作方法ではなく、1つの選択肢として定着しつつある。自分の指で、そして複数の指でタッチする操作は直観的であり、マウスとキーボードよりも自然なユーザインターフェースとして今後はさまざまなシーンで開発が進められていくだろう。

(掲載:2008年10月)

関連リンク

企業のITセキュリティ講座