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東海道新幹線で無線LANサービスが開始
公衆アクセスポイントの普及でさらに便利に

JR東海は2009年3月14日のダイヤ改正と同時に、東海道新幹線の車内において無線LANサービスの提供を始める。出張などで利用する場合の朗報となるであろうサービスの仕組みと利用方法を紹介する。

3月から新幹線で無線LANサービス開始
トンネルでも途切れないインターネット

JR東海は今月の2009年3月14日からダイヤ改正を行い、最新鋭のN700系「のぞみ」を毎時2本運転する予定だ。同時に、N700系の東海道新幹線(東京〜新大阪間)の車内において無線LANサービスの提供も始まり、インターネットへの接続が可能になる。

N700系では、1編成(16両)の各車両に2カ所ずつ、合計32カ所のアクセスポイントが設置される。各アクセスポイントからのデータは先端部の車両の1カ所または2カ所に設置する移動局で集約し、車外向けのアンテナで送受信する。東海道新幹線では全営業路線の線路に沿って、アンテナの一種であるLCXケーブル(漏洩同軸ケーブル)が敷設されており、このケーブルと車両の移動局との間でデータをやり取りする仕組みとなる。

通信速度は下り(LCXケーブルから移動局)が最大2Mbps、上り(移動局からLCXケーブル)が最大1Mbps、これを1編成の無線LAN利用者全員で分け合う形になる。例えば、乗客の10人に1人、1編成で120〜130人が同時にインターネットへ接続し、動画閲覧など通信負荷のかかる処理をせず、メールやWebサイトの閲覧程度の用途で利用するという仮定で算出すると、1人当たり200kbps程度というのが理論上の速度になる。

公共の施設などで使える公衆無線LANのような数Mbpsの高速データ通信環境と同等のものを実現するにはまだ難しいが、LCXケーブルはトンネル内などにも敷設してあるため、携帯電話などのように途切れることなく通信できるのが大きな特徴となる。

利用には事業者との事前契約が必要
電源やポータルサイトなども提供される

このサービスでJR東海が手がけるのは無線LANのインフラ部分だけで、実際の接続サービスは公衆無線LANの事業者が提供する形になる。N700系の無線LANサービスを提供するのは以下の事業者となり、インターネットへの接続を利用するにはそれぞれのサービス事業者との契約が別途必要となる。

  • 「ホットスポット」(NTTコミュニケーションズ)
  • 「mopera U(U「公衆無線LAN」コース)」「Mzone」(NTTドコモ)
  • 「BBモバイルポイント」(ソフトバンクテレコム)
  • 「UQ Wi-Fi」(UQコミュニケーションズ)

また、N700系の車内からアクセスする無線LANの利用者へは、乗換や駅、列車内の設備、社内販売の案内などを盛り込んだポータルサイトを表示することができるサービスも付いている。

ちなみにN700系では、ノートパソコンなどの電源供給に使えるコンセントも多数設置されている。グリーン車は全席(1編成当たり200カ所)、普通車は各車両の両端と窓側の壁に面した席すべて(1編成当たり553カ所)で利用可能だ。

さらに、JR東海では現在、のぞみの停車駅(東京駅、品川駅、新横浜駅、名古屋駅、京都駅、新大阪駅)に整備している駅の無線LAN設備についても、東海道新幹線の全駅(東京〜新大阪)に拡大し、3月14日のダイヤ改正時には17駅すべてのコンコース待合室で公衆無線LANサービスが利用できる予定となっている。

今回の無線LANサービスは、東海道新幹線で使用している列車の無線が2009年3月からデジタル化することに伴って提供される。具体的には、速度規制や発着番線の変更といった指令所からの指示を列車に伝える場合、従来は音声のみで伝達していたが、今回のデジタル化に伴い、データ通信によって乗務員室のモニタへの表示も可能になる。また、乗務員全員がPHSを持つことにより、乗務員同士の連絡や車内放送、運転指令所との連絡などが、車内のどこにいても可能になる。

そしてデジタル化される車載設備は、このN700系に限らず、東海道新幹線を走行するJR東海、JR西日本の全列車に取り付ける予定だ。ただし、JR西日本が営業している山陽新幹線は、しばらくの間アナログ方式の列車無線で運用する。このため、新大阪以西の山陽新幹線の車内では、今回の無線LANサービスは使用できない。

公衆無線LANサービスの現状と広がり
アクセスポイント普及とサービスの統一化

今回の東海道新幹線の無線LANサービスに対応したものとして、「AIR-EDGE」などを持つウィルコムのPHS通信の「無線LANオプション」がある。ウィルコムはモバイル端末から比較的低料金でインターネットにつなぐことができ、ビジネスマンを中心に人気が高い。また全国人口カバー率99%を誇る広いサービスエリアも魅力となっている。

これに無線LANオプションを加えると、全国47都道府県で約4,000アクセスポイントを展開中の「ホットスポット」も利用できる。屋外や車・電車などでの移動時はPHSで通信し、ホテルや喫茶店では無線LANサービスを使うといったシチュエーションが可能になる。そして3月14日以降は追加料金なしで、この新幹線での無線LANサービスも利用できるのだ。

公衆無線LANサービスは、主として屋外や店舗、公共施設などに設置されたアクセスポイントを通じてインターネットへの接続環境を提供するものだ。最近の公衆無線LANは「ホットスポット」「フレッツ・スポット」「Mzone」「Yahoo!無線LANスポット」「livedoor Wireless」など多くの事業者がサービスを提供している。そして無線LANを利用できる場所も、駅や空港などの公共施設だけでなく、ホテルや飲食店などへどんどんとアクセススポットが増え続けている。

悩みどころは接続サービスを提供している事業者のスポット、接続スピード、利用料金などがそれぞれ異なり、共通でアクセスできるサービスがまだない点だ。しかし、この状況を変えようとする製品やサービスもまた生まれてきている。例えば国内外を問わずにアクセススポットを利用できたり、接続に必要な機器や手続きが簡素化されたり、複数事業者のサービスを同時に接続できたりなどだ。

こうしたサービスの登場と普及が、今後の公衆無線LANサービスの普及の鍵になるだろう。

(掲載:2009年3月)

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