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空の飛行機からも携帯電話がかけられる
ソフトバンク「機内ケータイ」サービス

ソフトバンクは海外を飛行中の航空機内から携帯電話を利用できる「機内ケータイ」サービスを提供開始した。世界ケータイの機種と英国AeroMobile ASの開発したシステムによって空からも日本と同じ番号での発信および着信の通話、SMSなどの通信が可能となった。

ソフトバンクの世界対応ケータイなら
そのまま「機内ケータイ」が利用できる

航空機に搭乗する際、離陸や着陸の時はもとより、飛行中でも携帯電話の使用は禁じられている。安全のための措置ではあるが、今の情報社会ではいささか不便に感じるのも正直なところだ。しかし、この携帯電話が航空機の中でも利用できるというユニークなサービスがソフトバンクから登場した。飛行中の航空機内で携帯電話を利用できる「機内ケータイ」のサービスが、2009年3月18日からスタートしている。

この機内ケータイは、航空機内での携帯電話の通話サービスを提供する英国の通信事業者のAeroMobile ASとソフトバンクが、ローミング(相互接続)協定を締結したことで実現した。3月のスタート時に対応するのは、アラブ首長国連邦ドバイのエミレーツ航空とマレーシア航空の一部の航空機。まだ全面サービスとはいかないが、今後も同様のサービスを提供するAeroMobile AS以外の通信事業者との協定締結も含め、航空機内で携帯電話を利用可能とするサービスの充実を図るといい、準備が整い次第、開始する予定だというので期待したい。

対応機種は、3Gエリア専用機種を除く「世界対応ケータイ」の全機種。iPhone 3Gやディズニー・モバイルでも利用でき、新たな契約や手続きは必要ない。利用できる機能は通話と「SMS(ショートメッセージサービス)」の送受信だけで、「S!メール(MMS)」や「Yahoo!ケータイ」、インターネット接続などのパケット通信は行うことができない。料金については、1分ごとの通話料金が発信の場合650円、着信の場合が800円、SMSは1通あたり送信が180円、受信は無料となっている。

なお、いつでも携帯電話が利用可能ではなく、公海上や航空機内で携帯電話の使用を許可する国と地域の上空を飛行中の間だけサービスが受けられる。航空機が地上にいる場合や、離着陸時はこれまで通り使用禁止だ。また、国内線での利用も今のところはできない。

機内ケータイサービスを実現する
「エアロモバイル(AeroMobile)」

AeroMobile ASが提供する機内携帯通話システム「エアロモバイル(AeroMobile)」は、ノルウェー最大の電話・携帯電話事業者のTelenorと、交通通信事業者の米ARINCが共同で開発したものとなる。このシステムはボーイング製やエアバス製などの大型・小型の旅客機、いずれのタイプの航空機にも搭載が可能で、既に作られた航空機に追加で搭載することもできる。

エアロモバイルは、航空機内のような狭い範囲で利用できる携帯電話の基地局「ピコセル(Picosell)」と、グローバル衛星通信ネットワークの「インマルサット(Inmarsat)」を組み合わせたものとなる。航空機内に設置されたピコセルには「フェイズドアレイアンテナ」が利用され、1800/1900MHz帯の電波で、小電力かつ機内搭載機器への影響を抑えた通信を可能にしている。このピコセルが航空機内の携帯電話の電波を受け持つ。

ピコセルに集約された情報は、インマルサットで地上へ中継される。インマルサットとは、静止軌道に打ち上げられた4基のインマルサット静止衛星を利用した衛星通信で、世界中のどこからでも通話を可能にしている。地上での可搬衛星電話のほか、船舶電話などにも使われているシステムだ。エアロモバイルはこのインマルサットを利用し、システム的には音声通話のほか、64kbpsまでのデータ通信、テレックスまで利用が可能になっている。いずれはブロードバンド通信も利用可能する計画も明らかにされている。

エアロモバイルの構成イメージ

エアロモバイルは衛星通話なので、多少の通話遅延(相手の音声が遅れて聞こえる)などはあるが、使い方としては通常の国際ローミング通話と同じだ。現在は、通話は3万フィートの巡航高度での飛行中のみに制限されるほか、夜間飛行中など特定の時間帯は通話が制限される。また、同時に通話可能な回線は最大6通話までとなっている。データ通信方式では「GPRS」に対応しており、「MMS(写真つきなどのマルチメディアメール)」やWebサイトの閲覧も利用できる。また、将来的には無線LANにも対応する予定なので、パソコンユーザにもメリットのあるシステムになるだろう。

世界の機内ケータイ動向
いつでもどこでも情報社会の実現に

世界における機内ケータイの動向を見ると、欧州委員会(The European Commission)が飛行する旅客機内での携帯電話の利用を許可している。エアロモバイルのように携帯電話は機内のネットワークに接続した後、衛星経由で地上のネットワークに接続する方式ならば、伝送に必要なパワーは低いレベルに抑えられ、旅客機の運行に関わる機材や地上の携帯電話ネットワーク設備への影響は少ないと欧州委員会では見ている。

ちなみに、この機内の携帯電話サービス向けライセンスはEU加盟国の航空会社ごとに与えられる。例えば、スペインやフランスでライセンスを取得した場合、その企業の旅客機がドイツやハンガリーの上空を通過する場合にも、追加ライセンスや手続きは必要がない。

一方、米国では、航空機の安全を管轄する連邦航空局(FAA)が携帯電話の使用を認める方向で準備を進めているものの、通信技術を管轄する連邦通信委員会(FCC)が技術面に懸念があるとして、航空機内での携帯電話の使用に反対する立場を表明している。航空大国である米国での機内ケータイの利用の目処は、今のところ立っていない。

国際線からのスタートではあるが、航空機内でも携帯電話の利用が可能になったソフトバンクのサービスにより、日本国内の航空便でもいずれはより便利なサービスの整備がされていくだろう。

(掲載:2009年4月)

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