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早期決算を実現できる企業こそ
優良企業の証し

ビジネスのスピードが重視される現在、財務経理担当者にも決算の迅速化と正確さが求められている。既に上場企業では決算作業を45日以内に完了しなければならなくなっている。早期決算を実現できる企業こそが優良企業として評価されるようになってきた。どのように早期決算へ取り組めばよいのか検討する。

市場、株主、経営者から
求められる早期決算

金融商品取引法の施行によって四半期報告制度が始まり、上場企業は「四半期終了後45日以内の決算開示」が求められている。これは、従来3カ月以内に終わらせればよかった決算作業を、45日以内に完了しなければならないことを意味する。財務経理部門には、決算期間を短縮しつつ決算の質を確保しなければならないというプレッシャーがかかっている。

この背景には、グローバル化やニーズの多様化などによる競争激化によって、圧倒的に有利な先行者利得を得るため、市場におけるビジネスサイクルが短くなったことがある。それに対応して、何より企業の経営者自身が、目まぐるしく変わる経営状況を一刻も早く把握する必要性を認識するようになった。また投資家も、投資判断のための決算情報を短期間で入手しなければならなくなった。

決算数値がすぐに把握できる企業と、1カ月以上たっても把握できない企業とでは、業績に差が出るということも容易に想像できる。意思決定に必要な判断材料が異なり、決算が遅い企業ほど対応が後手に回ることが予想されるからだ。

つまり、早期決算を実現する企業=優良企業という認識が生まれてくる。現在、早期決算は上業企業だけに義務付けられているが、早期決算によって意思決定が迅速になることはどの企業も同様であり、今後、非上場企業でも早期決算を実現した企業=優良企業という認識が広まることは間違いないだろう。

しかし、内部統制にまつわる経理業務の負担は増加しており、決算早期化を精神論で乗り切るだけでは、財務経理部門の担当者が疲弊するだけだ。本来、企業の財務経理部門は企業の成長に貢献することが求められており、取引処理の実行、統制環境の整備、戦略実行の推進、戦略立案を担わなければならない。決算早期化のおかげで、財務経理部門が疲弊してその役割を全うできないようでは本末転倒だ。財務経理部門は、決算の早期化を実現するために、業務改革や制度改革に取り組む必要がある。

どれだけの企業が
早期決算を実施しているのか

では、どれだけの上場企業が早期決算を実現しているのだろうか。東京証券取引所が発表した、「平成21年3月期第3四半期決算短信発表状況の集計結果」からその様子が見えてくる。第3四半期決算短信発表会社1,775社の、決算短信発表までの平均所要日数は35.7日となり、1,768社が第3四半期末後45日以内に決算発表を行っている。

ただ、第3四半期決算短信発表は、第1四半期決算短信発表における平均所要日数の34.7日と比べて1.0日長くなった。また、第1四半期決算短信発表と比べて決算発表までの所要日数が短くなった696社(全体の39.2%)では平均2.1日短縮されたが、同所要日数が長くなった823社(全体の46.4%)は平均4.0日長くなっていることから、財務経理部門の苦労が見えてくる。

ほとんどの上場企業が45日以内に決算発表を行っているが、これは財務経理部門の担当者による必死の努力の結果でもある。しかし、担当者の必死の努力だけではいずれ限界が来ることが予想される。業務プロセスの改善やシステムの有効利用といった抜本的な改善をしなければ、中長期的に早期決算を継続することは不可能だ。

財務経理部門が取り組むべき
決算早期化のポイント

決算早期化を実現する上で、情報システムは重要な役割を果たす。例えば手作業で連結決算を行っている場合は、連結システムの導入によって作業効率が大幅に改善する。グループ会計システムの統一やERPの導入などを行うことで、さらに高度なインフラを構築することも可能となる。

ただしそのためには、会社の状況と目標に見合った情報システム投資が重要となる。また、システム投資を行う際には、情報システム部門にすべてを任せるのではなく、財務経理部門の意思を反映しなければ使い勝手は良くならない。

いずれにせよ、早期決算を実現するには、財務経理部門の担当者自らが今までの決算作業を洗い出し、「何に時間がかかっていたか」を分析し、作業方法を抜本的に見直すことが必要になる。例えば、非定型業務を含む複雑な業務プロセスの存在や、増加する業務負荷やスキルなどの人的なリソースの問題、グループ会社間の制度やシステムの不統一の問題、管理会計要件の未整備などという課題が浮かび上がってくるだろう。

そこで、決算早期化プロジェクトを進めるにあたっては、構想→実施→検証→改善というPDCAサイクルを繰り返し実施することが必要となる。財務経理部門担当者が中核となって、決算早期化のための段階的な目標を設定し、業務プロセス改善を中心とした施策を実行していくことで、効果的に早期決算を実現できるようになるはずだ。

(掲載:2009年7月)

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