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景気低迷の今こそ経理業務を最適化して
生産性を向上するチャンス

企業にとって、景気低迷の今こそ生産性向上に取り組むチャンスだ。従業員は業務の合間を見つけて各自が仕事の棚卸しを行うことで、改善の方向性が見えてくるだろう。そして経理部門の生産性向上の第一の関門は、保存を義務付けられている書類の電子化だ。次に、作業の棚卸しを行って会社の業務の中にきちんと位置付けをし、それに対応した自社業務に最適なシステムを導入することがポイントとなる。

書類を電子化して
入力作業を極小化する

請求書や領収書、買掛や売掛伝票、売上や仕入伝票、タイムカード、交通費・諸経費の伝票など、経理部門にはあらゆる部門の活動結果の数値が集約される。経理は手続きの必要な書類を見つけ出し、それを整理してシステムに入力する。こうした書類は一定期間の保存が義務付けられているので、経理ほど紙の書類がたまる部門はない。

こうした事務手続きの必要な書類を電子化すれば、検索が容易になり処理効率も高まって生産性は向上する。しかし、書類の電子化は経理部門だけでなくあらゆる部門にかかわるため、簡単にはいかないのが実情だ。

すべての書類を電子化するのは負担が大きいが、優先順位を決めて取り組めば十分に実現可能だ。例えば、政府のIT戦略会議(第46回IT戦略本部議事録)において、ある大手企業の出張旅費精算システムの導入効果が次のように報告されている。

社員7000人の企業では、システム導入前、年間15万件の出張精算業務について、紙ベースの書類を各職場の庶務がとりまとめ、人事担当者が1枚ずつ目視でチェックしていた。システム導入後は1人の担当者で処理できるようになり、大幅な生産性向上を実現した。また、社員がパソコンで申請するようになった結果、精算から振込まで2日(以前は7日)で処理されるようになった。

ペーパーレスになることで、チェック時間も含めれば処理時間は1/3〜1/4になるとの報告もある。また、e文書法や電子帳簿保存法によって、ほとんどの書類について電子的な保存が認められるようになり、ペーパーレス化の障壁はなくなりつつある。

経理部門の業務を棚卸しして
業務プロセスを見直す

紙をなくすだけでも処理時間は減り、生産性は向上する。しかし、業務プロセスに無駄があれば、それだけ生産性は下がる。従って、業務プロセスの最適化を意識しながらペーパーレス化できるシステムを考えることがポイントとなる。経理部門では、日常で行っている経理業務の棚卸しをして、どこが無駄になっているのか検討する必要がある。

その際、経理の業務フローを描くことで、普段は意識していない顧客や仕入先との関係性を再確認できるだけでなく、仕事に流されて見過ごしていた問題点もはっきりするはずだ。経理部門の業務はもちろん、他部門との連携を図示することで、役割分担や情報共有が容易になり、スムーズな連携を行うことができるようになる。業務の時期(月初、月末)や業務内容(経費精算、支払など)を分かりやすくまとめることがコツだ。

また、他部門との連携が不可欠となることで、業務プロセスの標準化やデータの一元管理などを行えるシステムが必要となる。最終的には、管理会計で分析したデータの活用による業務改善や経営者の意思決定に役立つものでなければならない。

経理部門の業務フロー
経理部門の業務フロー

自社の業務に最適なシステムの
利用形態を考える

業務フローがまとまったら、IT部門と連携してシステム化を考える。各部門の作業内容、帳票類、業務処理量、処理手順、作業時間などを検討し、ビジネス要件をまとめて、自社に最適なシステムの導入を検討する。その際、データの一元管理による迅速な意思決定に役立つシステムを目指すべきだ。

データを統合管理できるERPも有力な選択肢の一つだが、あくまでも自社の業務に最適かどうかを判断していこう。また、コスト面での検討も大切だ。毎年かかる保守費、ライセンス費、運用費だけでなく、アップグレード、セキュリティ対策費なども念頭に置くべきだ。

最近はSaaS(Software as a Service)を活用すれば、自社でシステムを持たずに必要なITサービスを利用できるようになった。SaaSであれば多額の初期投資は必要なく、運用負担から解放される。しかも、従量制の料金体系なのでIT費用を固定費から変動費にすることができる。既存のデータ資産も活用し、業務改善や経営者の意思決定に役立つ仕組みができればSaaSの活用も有効だ。

しかし、コストが安いからという理由で採用しても、業務改善や意思決定に貢献しなければ意味はない。ITシステムは、あくまで基幹業務を支援するにすぎない。計画・管理など経営のレベルを向上させるには、収集・蓄積したデータをいかに有効活用できるかにかかっている。そのためには、関係者の情報リテラシー、経営者の判断力が不可欠となる。中でも全社的な数値を扱う経理部門の果たす役割は大きい。

(掲載:2009年10月)

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