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従業員が結婚・出産
再就職したときの手続き

結婚や出産、けがや病気、介護などに備えて、従業員が安心して生活できるためのセーフティネットが社会保険である。社会保険庁は2009年で解体されたため、現在は健康保険は全国保険協会、年金は日本年金機構の扱いになった。従業員の結婚・出産などに伴って、経理・給与担当者が知っておくべきポイントを紹介する。

会社が窓口となる社会保険
その種類は5つ

我々は毎日の暮らしの中で、事故や病気、災害などに被災して、仕事を続けられなくなる危険にさらされている。そんなときのためのセーフティネットとして社会保険制度がある。公費(税)による給付を行う救貧制度(貧困者を救う制度)である生活保護と異なり、社会保険は被保険者や会社などが納める保険料に加えて公費によって賄われる防貧制度(生活上のリスクによる困窮を防ぐ制度)だ。

保険給付に必要な資金をあらかじめ保険料と公費によって準備しておき、病気、負傷、身体の障害、死亡、出産、老齢化、失業などが発生した場合に給付する。これによって、社会保険加入者やその家族の生活を保障することができる。社会保険制度は、国民の助け合いの精神で成り立っており、国民は、原則として社会保険への加入が義務付けられている。

経理・給与担当者が知っておくべき広義の社会保険としては、雇用保険、労災保険(労働者災害補償保険)、健康保険、厚生年金保険、介護保険の5つがある。雇用保険と労災保険は労働保険、残り3つは社会保険に分けられる。また、社会保険の中には医療保険と年金保険が含まれ、医療保険と密接に関連する「老人保健制度」と「介護保険制度」も含まれるといった具合に、複雑なので注意が必要だ。

さらに、年金・医療・福祉などの各分野について制度が縦割りになっているため、非常に分かりにくいのが現状だ。今回は、従業員の結婚・出産、結婚後の再就職に伴って、どのような社会保険が適用され、どのような手続きをすればよいのか、そのポイントを紹介する。

社会保険

労働保険

厚生年金保険

従業員の障害、死亡、老齢化に対する給付

労災保険

業務上や通勤中のけがや病気に対する給付

健康保険

業務外の理由による病気、けが、出産、死亡に対する給付

雇用保険

失業期間中に次の就職までに支給する給付

介護保険

高齢者の介護に対する給付

 

結婚・出産、再就職したら
手続きが必要

従業員が結婚または離婚をした場合や、結婚後に再び勤める人を採用したときには、社会保険と労働保険で次のような手続きが必要となる。

  1. 国民年金の第3号被保険者の届出の手続き
  2. 所得税法の扶養控除等申告書の受領の手続き
  3. 氏名が変わる場合には氏名変更届の手続き
  4. 住所が変更となる場合には住所変更届の手続き

特に、従業員の配偶者が専業主婦(夫)になった場合、配偶者は国民年金の第3号被保険者となるので、担当者は忘れずに「国民年金第3号被保険者関係届」を提出しなければならない。健康保険と厚生年金保険の手続きは一体となっている場合が多いが、会社が組合管掌保険に加入している場合には、別々の手続きとなるので注意が必要だ。なお、氏名や住所が変わったときには、社会保険の変更手続きが必要となる。結婚後に再び勤める人を採用する場合も、同様の手続きを行う必要がある。また、社員が結婚を期に退職する場合、退職前に6カ月以上雇用保険に加入していたときは失業給付を受けられるよう「離職票」を発給する。

従業員が出産した場合には、健康保険から出産手当金が支給される。従業員が分娩した場合(妊娠85日以上の分娩で生産、死産、流産、早産を問わない)、分娩の日(分娩の日が分娩の予定日後であるときは、分娩の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から分娩の日後56日までの間、休業1日当たり標準報酬日額の2/3が支給される。ただし、その間会社から給与が支払われている場合には支給されない(給与が給付額より少額であれば、その差額が支給される)。

さらに、従業員または被扶養者が出産した場合には、「出産育児一時金」または「家族出産一時金」が、1児につき42万円(2009年10月に改訂。産科医療補償制度に加入する医療機関などにおいて出産した場合に限る。それ以外の場合は39万円)が支給される。なお、「医療機関等が一時金の受取代理人となる事前申請制度」を利用することで、医療機関などの窓口で支払う金額は一時金の差額だけで済むので、従業員の負担を軽くするためにも積極的に活用したいものだ。

育児休業中でも
給付金を受けることができる

従業員が育児休業を申請した場合、一定の要件を満たせば会社は休みを与えなければならない。これは男性社員からの申請であっても要件を満たせば同様だ。ただし、育児休業期間中に給与を支給するかどうかは会社の判断による。育児休業を取得して、賃金が一定水準を下回った場合には、育児休業基本給付金が支給される。なお、2010年4月1日以前に育児休業を取得した場合は、「育児休業者職場復帰給付金」が支給(育児休業開始時の給与額の2割)されたが、4月1日以降、その金額は育児休業基本給付金に統合されて支給されるようになった。

  • 育児休業基本給付金
    1歳(保育所における保育の実施が行われないなどの場合は1歳6カ月)になるまで育児休業を取得すると、育児休業開始時の給与の5割(2010年4月1日以前は3割)が雇用保険から支給される。ただし、出産後56日間は健康保険から出産手当金が支給されるので、その間は支給されない。
  • 育児休業者職場復帰給付金
    育児休業基本給付金の支給を受けた従業員が、育児休業を終了して引き続き6カ月間雇用された場合、育児休業開始時の給与額の2割が支給される。なお、2010年4月1日以降に育児休業を開始した場合には、育児休業中に育児休業基本給付金と合算して支給される。

以上紹介してきたように、社会保険と労働保険の支給条件は細かく規定されており、また縦割りになっているため、経理・給与担当者は従業員が不利にならないよう、きちんとした手続きを行うことが求められる。

(最新の制度については、最寄りの自治体に確認のうえ、手続きしてください)

(掲載:2010年4月)

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