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年に一度は標準報酬月額を見直して
健康保険や厚生年金の保険料額を決める

健康保険や厚生年金の保険料額は、従業員の給与に基づいて算定される。その基準となるのが標準報酬月額だ。標準報酬月額は等級に分類され、各自の給与を当てはめて決定される。昇進や昇給などによって給与は変化するので、年に1度は標準報酬月額を見直す必要がある。

標準報酬月額の
対象になる給与

健康保険や厚生年金の保険料額は、会社が支給する給与をもとに算定した標準報酬月額によって決定される。標準報酬月額はいくつかの等級に区分され、「健康保険・厚生年金保険標準報酬月額保険料額表」に当てはめて計算する。例えば、給料235,000円ならば240,000円(健康保険19等級、厚生年金保険15等級)、給料583,000円ならば590,000円(健康保険33等級、厚生年金保険29等級)という具合だ。標準報酬月額決定の基礎となる給与のことを報酬月額という。

その際注意しなければならないのは、標準報酬月額の対象になる給与と、対象にならない給与がある点だ。健康保険や厚生年金における報酬とは、通貨や現物支給を問わず、被保険者が仕事の対価として受け取るものすべてとなる。適用を間違えると、従業員が受け取る給付額に影響を及ぼす場合があるので、経理・給与担当者は慎重に吟味する必要がある。

現物給付のうち食事・住宅については、地方厚生局長(旧地方社会保険事務局長)がその地方の物価などに合わせて標準価額を告示している。なお通常、会社が食費を負担した場合は報酬額に含めるが、従業員が食費の2/3以上を負担している場合には会社の負担分を報酬額に含めない。

 

金銭

現物

報酬の
対象

基本給(月給・週給・日給など)/家族手当/住宅手当/通勤手当/役職手当/残業手当/食事手当/皆勤手当/日・宿直手当/勤務手当/賞与・決算手当(年4回以上)など

通勤定期/被服(勤務服以外)/食券・食事/社宅・寮/給与としての自社製品など

報酬の
対象外

賞与・決算手当(年3回以下)/大入り袋/見舞金/解雇予告手当/退職金/出張旅費/交際費/慶弔費/年金/恩給/保険給付費/

制服・作業着/見舞品/生産設備の一部である住宅/食事(従業員が2/3以上負担)

支払い方法によって
変わる標準報酬月額

標準報酬月額は社員採用時の資格取得時決定によって決められるが、その後の昇進や昇給など給与水準の変化に対応するために、年に1度見直す。実際には、被保険者取得届、報酬月額算定基礎届、報酬月額変更届、育児休業終了時報酬月額変更届のいずれに該当するかで標準報酬月額を決定する。

届出

タイミング

対象時期

資格取得時決定
(被保険者取得届)

被保険者になったとき

1月〜5月までの採用はその年の8月までが対象となる。6月〜12月までの採用は翌年の8月までが対象となる

定時決定
(報酬月額算定基礎届)

昇進や昇級などで給与が変化したとき

毎年7月に行う。9月から翌年の8月までが対象となる

随時改定
(報酬月額変更届)

固定給が大幅に変動したとき

1月〜6月の改定はその年の8月まで。7月〜12月の改定は翌年の8月までが対象となる

育児休業等終了時改定
(育児休業終了時
報酬月額変更届)

育児休業終了後給与が低くなったとき

育児休業終了時満3歳未満の子供を養育する場合で、従来と比べて給与が下がったとき(申し出が必要)。育児休業等終了後2カ月経過日の属する翌月が1月〜6月の場合はその年の8月まで。7月〜12月の場合は翌年の8月までが対象となる


なお、資格取得時決定(新規に被保険者の資格を取得した人)の場合、届出時点ではまだ給与を支払っていないので、次の方法によって標準報酬月額を決める。

  1. 月給や週給などの場合
    資格取得の時点で決められた給与などの報酬総額を、その期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額が報酬月額となる。例えば、月給のときはその額となり、週給のときはその額を「7」で割って「30」倍した額となる。
  2. 日給・時間給・出来高・請負給の場合
    被保険者が資格取得した月の1カ月間に、その事業所で同様の仕事に従事し、同様の報酬を受ける人の額を平均したものが報酬月額となる。
  3. 上記で計算できないとき
    その人が被保険者の資格を取得した月の前1カ月間に、その地方で同じような仕事に従事し、同じ報酬を受けている人の報酬が報酬月額となる。なお、年4回以上の賞与・決算手当など標準報酬月額の対象となるものが支給されている場合は、その会社で同様の仕事について同様の賞与などを受け取る者の1年間の賞与などの月当たりの平均額を加える。また、月給以外に実績で支給されるような諸手当がある場合は、その見込額を加える。

標準報酬月額を
算定する時期

給与と標準報酬月額がずれないように、毎年7月1日時点で在籍する全被保険者の報酬月額の見直しを行い、9月以降の報酬月額を決定する(この作業を定時決定という)。8月までに退職する予定者も対象となるが、6月1日以降に被保険者の資格を取得した者、7月〜9月までの間に「随時改定」または「育児休業等終了時改定」を行った者は対象とならない。ただ、大幅な給与変動があった場合は、1年に1回の見直しでは実情に合わなくなるので随時改定を行う。

定時決定は、4月・5月・6月に受けた報酬の平均額を標準報酬月額等級区分に当てはめ、標準報酬月額を決定する。ただし、5月から採用した場合は、5月と6月の報酬をもとに算定する。また、4月や5月の半ばで採用した場合は、採用日以降の報酬と支払基礎日数(月給の場合は土日や祝祭日を含めた日数。日給・時給は実際の稼働日)を届け出る。さらに、6月に採用した場合は、翌年の8月まで「資格取得時決定」で算定した標準報酬月額に従う。なお、複数の会社で働いている人がいる場合は、それぞれの会社で支払われた報酬月額をもとにそれぞれの会社で定時決定を行う。保険料の負担についても、それぞれの会社において報酬月額の割合で比例配分を行う。

随時改定は、次の3要件をすべて満たしたときに行う。

  1. 昇級などで給与の固定部分に変動があったとき
  2. 給与の固定部分の変動した月以降引き続き3カ月に支払った報酬の平均月額による報酬月額が、変動前の報酬月額と比較して2等級以上の差(報酬月額によって1等級の差しかない場合も含める)が出たとき
  3. 2の引き続き3カ月のいずれの月も支払基礎日数が17日以上あるとき

額が決まったら「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届」を年金事務所(旧社会保険事務所)に提出する(7月1日〜10日まで)。その標準報酬月額に基づく保険料はその年の9月分から適用(従業員の保険料は10月支給される給与から控除)される。

以上が標準報酬月額を見直すポイントになるが、実際の算定においては勤務形態や現物給付の価額、そして例外なども考慮した慎重な対応が求められる。

(掲載:2010年6月)

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