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残業や休日労働などの
割増賃金を考える

労働基準法では、労働者が法定労働時間を超えて労働した場合や、深夜(原則として午後10時から午前5時の間)に労働した場合には給与の25%以上、休日に労働させた場合には35%以上の割増賃金を支払うことを義務づけている。どのような場合にどんな割増率で割増賃金を払う必要があるのか、そのポイントを押さえておこう。

割増賃金とは

現在では当たり前になっている8時間労働制だが、それが定着するまでには苦難の歴史があった。1917年のロシア革命の2年後に創設された国際労働機関(ILO)が8時間労働制を第1号条約として提案して以来、少しずつ8時間労働制が浸透していく。日本では1947年に公布された労働基準法によって8時間労働制が制定され定着してきた。その後労働基準法は何度か改正され、1988年の改正で週40時間制が施行されると所定内労働時間の短縮が進み今日に至っている。

労働基準法では、1日の労働時間は8時間(法定労働時間)と週1日の休日(法定休日)が定められている。そして、8時間を超えて労働させた場合や休日に労働させた場合には、通常の賃金に加えた「割増賃金」を支払うことが義務づけられている。つまり、割増賃金とは法定労時間を超えた労働や休日労働に対する対価ということになる。使用者側には人件費が増大することで長時間労働を抑制させる効果があり、労働者には長時間労働に対する補償という意味合いもある。

割増率は通常の労働時間または労働日の賃金の計算額の25%以上50%以下と定められている。使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域または期間については午後11時から午前6時まで)労働させた場合は、通常の労働時間の賃金の計算額の25%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。なお、2010年4月からは、1カ月の時間外労働時間が60時間を超えた場合には、割増率を50%以上にするか、有給の休日を与えることが義務づけられた(中小企業には猶予措置が講じられている)。

割増賃金の対象となるケース

注意しなければならないのが休日労働の割増賃金だ。労働基準法では、使用者が休日に労働を行わせたときには、35%以上の休日労働割増賃金を支払わなければならないと定めており、休日労働が多い会社にはかなりの負担となる。

仮に、完全週休二日制(土日休日)を採用している会社で土曜日に労働させた場合も、割増賃金の対象となるのだろうか? 結論からいえば、対象外となる。日曜日を法定休日としていれば週1日の休日を与えているので、土曜日(法定外休日)の労働については割増賃金を支払う必要はないからだ。

ただし落とし穴がある。週休二日制で平日に週40時間以上労働し、土曜日も労働した場合などだ。週40時間を超えた労働は法定労働時間外となるので、土曜日の労働で40時間を超えた分の労働は25%以上の割増賃金の対象となる。休日労働で割増賃金の対象になるかどうかのポイントは、法定休日労働か所定休日労働かの違いと、労働が週40時間を超えているかどうかという2点になる。

それに関連して、代休と振替休日における割増賃金の扱いについても触れておこう。一般に代休は、休日労働や時間外労働、深夜労働が行われたときに、その代償としてその日以後の日の労働を免除するものだが、休日労働に対する割増賃金は支払わなければならないので注意が必要だ。

一方振替休日とは、あらかじめ法定休日としていた日とほかの労働日を振り替えることをいう。つまり、労働日を休日(振替休日)として休ませて、休日としていた日を労働日として労働させることだ(振替休日を実施するには36協定の締結が必要となる)。この場合、休日に労働させたことにはならないため割増賃金を支払う必要はない。

まとめると、法定休日に労働した場合、代休の有無にかかわらず35%以上の割増賃金の対象となる。一方、振替休日を設けて法定休日に労働させた場合は割増賃金を支払う必要はない。ただし、前述のように週40時間を超えている場合には、超えた分の労働に対しては25%以上の割増賃金を支払わなければならない。

割増賃金の基礎となる賃金

割増賃金は「通常の労働時間または労働日に対して支払う賃金に加えて支払う」とされている。具体的には1時間当たりの単価に割増率を乗じて計算する。時間給の場合は単純だが、月給制の場合は1時間当たりの単価を計算しなければならない。

通常、賃金には基本給に加えて各種手当(精・皆勤手当、職務手当、管理者手当、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に含まれる賃金、1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金など)が含まれるので、それらを含んだ基礎部分を算定する。

ただし労働基準法では、「家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に含まれる賃金、1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」という7つの手当に関しては、割増賃金の計算基礎から除外することが認められている。

基礎から除外される手当

内容

家族手当

扶養家族に応じて支給される。ただし、家族数に関係なく支給される場合は認められない。

通勤手当

通勤にかかる費用。ただし。実際の距離に無関係に支給される場合は認められない。

別居手当

転勤などで家族と離れて暮らした場合に、生計費の増加分が支給される。単身赴任手当ともいう。

子女教育手当

扶養している子供の教育費などに対する手当。

住宅手当

住宅費の負担を軽減する手当。ただし、費用の多寡にかかわらず一律に支給される場合は認められない。

臨時に支払われる賃金

売り上げが良かった月だけに支給される手当や退職手当など。

1カ月を超えるごとに
支払われる賃金

賞与や1カ月を超える期間の出勤成績によって支給される精勤手当など。


問題は基礎部分の算定にある。時間給の場合の基礎部分は時間給そのものだが、日給の場合は所定労働時間で割った金額が基礎部分となる。月給の場合は1カ月当たりの所定労働時間で割った金額が基礎部分(7つの手当を除いた額)だ。出来高払いの場合は、1カ月の出来高給を1カ月の総労働時間で割った額が基礎部分となる。ただし、月給制の場合、月によって1カ月当たりの労働時間が変わるので、1年間の所定労働日数をもとに1カ月当たりの平均所定労働時間を用いることが必要となる。

経理・給与担当者は、以上のポイントを押さえることによって、労働者に不利にならないよう、また会社に余分な負担をかけないよう、割増賃金を正しく計算したい。

(掲載:2011年1月)

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