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改正育児・介護休業法を活用して
仕事と育児・介護を両立させる

2010年6月30日に施行された改正育児・介護休業法は、2012年7月1日から常時100人以下の労働者を雇用する中小企業についても適用される。適用を前に、仕事と育児・介護をどのように両立させたらいいのかを考える。

仕事との両立を目指して
育児・介護休業法改正の背景

育児・介護と仕事を両立させるために、ビジネスパーソン、中でも女性に大きな負担がかかっている。そこで負担を少しでも軽くするために、1992年に育児休業法が、1999年には介護休業法がスタートするなど、仕事と育児・介護を両立する支援制度が整えられてきた。しかし、依然として仕事と育児・介護との両立は難しく、仕事を諦めざるを得ないビジネスパーソンも少なくない。

その大きな理由は、やはり仕事と育児や介護との両立が難しいことだ。例えば、育児休業を取得し出産後も仕事を続けるつもりの女性の場合、「子どもの病気で不規則にたびたび休まざるを得ない」「保育所に子どもを預かってもらう時間と勤務時間が合わない」「職場に仕事と育児の両立を支援する雰囲気がない」「両立していく体力がもたない」など、職場に復帰してからの働き方が課題となっている。

また、男性の育児休業の取得が極めて低く、女性に大きな負担がかかっていることも問題だ。2008年の育児休業の取得率が、女性の場合90%以上に対して、男性が約1%に過ぎないことからも伺える。しかも、育児休業制度の規定がある事業所は大企業では100%近いが、平均で66.4%、99人以下の事業所では規定率が低いのが実情だ。さらに介護についても、総務省の調査によれば、家族の介護・看護のために離・転職した雇用者数は、2007年で50万2,100人(男性8万7,400人、女性41万4,700人)に上る。しかも、離・転職者は企業において重要な地位を占める40〜50歳代が圧倒的多数を占め、特に男性が増えている。

改正育児・介護休業法
4つのポイント

こうした情勢を踏まえて、仕事を続けやすい仕組みづくりと、父親も子育てができる働き方の実現を目指した改正育児・介護休業法が2010年6月30日から一部施行された。そして、2012年7月1日からは、常時100人以下の労働者を雇用する中小企業についても適用される。その改正ポイントを紹介しよう。

  1. 子育て期間中の働き方の見直し:離職の大きな理由は「子どもの病気で不規則にたびたび休まざるを得ない」「保育所に子どもを預かってもらう時間と勤務時間が合わない」など、勤務時間に関することが多いことを踏まえて、次のポイントが制度化された。
    • 子育て期の短時間勤務制度の義務化と所定外労働の免除:3歳未満の子どもを養育する労働者に対する「短時間勤務制度(1日原則6時間)」の導入と、所定外労働(残業)を免除することが義務づけられる。
    • 子の看護休暇の拡充:子どもの数が多いほど、子どもの病気で休むことが多い。そこで、小学校就学前の子どもが1人であれば年5日、2人以上の場合は年10日まで取得できる。
  2. 父親も子育てができる働き方の実現:男性が子育てや家事に費やす時間は先進国中で最低水準であり、女性の家事や子育ての負担を重くし継続就業を困難にしている。そこで、父親も子育てができる働き方の実現を目指し、育児休業を取得しやすい制度に改正された。
    • 「パパ・ママ育休プラス」の創設:子どもが1歳2カ月に達するまで育児休業を取得できる(今までは1歳まで)。例えば、母親の育児休業が終わるころに父親が育児休業を取得すれば、母親が職場復帰して大変な時期に、父親が子育てして母親の負担を軽くすることができる。
    • 父親が子の出生後8週間以内に育児休業を取得した場合、2度目の育児休業も取得可能:子の出生後8週間以内の期間内に父親が育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても、2回目の育児休業を取得できる。
    • 労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止:すべての父親が必要に応じて育児休業を取得できる。また、これらの改正に合わせて、育児休業期間中は雇用保険の「育児休業給付金」として、育児休業開始時賃金月額の50%が支給される。
  3. 仕事と介護の両立支援のため「介護休暇」を新設:従来の介護休業に加え、介護のための短期の休暇制度が創設され、要介護の家族の通院の付き添いなど年5日(対象者が2人以上の場合は年10日)の休暇を取得できる。
  4. 実効性を確保するための仕組みを創設:法の実効性を確保するため、育児休業が取得できないなどのトラブルが発生したときに、都道府県労働局長が紛争解決を援助したり、調停委員によって調停を行ったりする仕組みが創設された。また、法違反に対する国の是正勧告に従わない場合は企業名が公表される仕組みや過料の制度が設けられる。

改正ポイント

施策

子育て期間中の働き方の見直し

子育て期の短時間勤務制度の義務化、所定外労働の免除、子の看護休暇の拡充

父親も子育てができる働き方の実現

「パパ・ママ育休プラス」の創設、2度目の育児休業も取得可能、労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止

仕事と介護の両立支援

要介護の家族の通院の付き添いなど年5日(対象者が2人以上の場合は年10日)の休暇

実効性を確保するための仕組み

実行する調停の仕組み、違反企業の公表や過料

仕事と育児・介護を
両立させるために

少子化時代において、スキルを磨き上げた能力の高い人を育児や介護のために離職させることは、企業にとって大きな損失となる。一朝一夕では優秀な人材を確保することは難しい。そこで、企業が優秀な人材を確保し離職させないためにはワーク・ライフ・バランスの支援が大切になる。そのためには、育児・介護に安心して取り組めるよう、環境を整備することが喫緊の課題へとつながる。

改正育児・介護法をそうした環境整備のきっかけとして活用することこそ、少子化時代において優秀な人材を確保する道となる。幸い、改正育児・介護護法が中小企業に適用される2012年7月までには、今から1年以上の猶予がある。改正育児・介護法を実施するためにどうしたらいいかを考えることが、仕事と育児・介護を両立させる環境整備につながり、優秀な人材を確保する第一歩となる。

(掲載:2011年4月)

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