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割り増し賃金などの端数処理は
どのように規定され計算されるのか

時間外労働や休日労働、深夜労働の割り増し賃金を計算する際に、端数が出ることがある。端数は単純に切り捨てていいのか、あるいは四捨五入や切り上げをするのか、どのように処理すべきだろうか。

割り増し賃金の支給額に関する
端数処理の規定

賃金には年俸制、月給制、日給制、時間給制という形態があるが、いずれも割り増し賃金はすべて時間給に換算して算定しなければならない。また、例え1分であっても労働時間としてカウントしなければならないので、割り増し率を掛けると割り増し賃金には端数が生じる場合がある。

賃金の計算上で生じる端数処理の扱いは、労働基準法の「賃金全額払いの原則」に基づいた大切な処理であり、簡単に扱うことはできない。端数が1円であっても、80時間の残業であれば80円になり、1年では960円の違いが生まれてくる。端数だからといって切り捨てることは許されない。

端数処理を行うには次のような基準が設けられているので、経理・給与担当者はその基準に従って処理することが必要となる。

(1) 1カ月における時間外労働や休日労働および深夜労働の場合、おのおのの時間数の合計に1時間未満の端数があるときには30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる。

(2) 1時間あたりの賃金額および割り増し賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨てそれ以上を1円に切り上げる。

(3) 1カ月における時間外労働、休日労働、深夜労働のおのおのの割り増し賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合には(2)と同様に処理する。


なお、通常の1時間あたりの賃金額や割り増し賃金額に円未満の端数が出た場合、四捨五入あるいは一律に切り上げても、労働者に有利になるので問題はない。ただし、1日を単位に30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは違法となるので注意しなければならない。

労働時間と割り増し賃金の端数処理
それぞれの算出方法

年俸制や月給制で働く労働者の割り増し賃金を算定するには、まず1カ月平均の所定労働時間を算出した上で、その従業員の時間給を算出する。次の要領で算出した時間に基づいて割り増し率を掛け、法定時間外労働、深夜労働、法定休日労働の割り増し賃金を計算する。

・ 年俸制/月給制労働者の時間給 = 労働者の月給額 ÷ 1カ月平均の所定労働時間

・ 1カ月平均の所定労働時間 = (365日 − 年間の所定休日数) × 1日の所定労働時間 ÷ 12カ月


なお、労働基準法では、あらかじめ年間支給額が確定している賞与は、例え1年間に1〜3回に分けて支払われても賞与とはみなされないので、賞与分を含めた年俸制を採用している場合は賞与分も割り増し賃金の対象となる。

 

労働時間

割り増し率

深夜労働時間

割り増し率

法定時間外労働

18:00〜20:00

25%増し

20:00〜翌5:00

50%増し

法定休日労働

9:00〜20:00

35%増し

60%増し

※法定時間外労働や法定休日労働に該当しない深夜労働は25%増し


労働時間が2日間にわたる場合の割り増し賃金計算は、原則として始業する日の労働時間として法定時間外労働時間を算定する。ただし、その労働時間が翌日の所定の始業時刻以降に及んだ場合は、前日の労働時間はその所定の始業時刻をもって打ち切る。さらに、休日労働がその翌日まで及んだ場合の割り増し賃金については「暦日単位」で算定する。

例えば、法定休日の日曜日に出勤し、その労働時間が翌月曜日になった場合、その休日深夜労働に対する60%増しの割り増し賃金の対象時間は日曜日の午後24時までとなる。月曜日の午前0時以降の労働時間に対しては25%増しの深夜労働割り増し賃金のみを支払えばよい。

端数計算の規定に従って
実際の計算を行う

実際に、それぞれのケースを考えてみよう。

(1) 1カ月における時間外労働、休日労働や深夜労働のそれぞれの時間数の合計に1時間未満の端数がある場合、30分未満の端数を切り捨て、30分以上を切り上げると、下の例のように13時間となり、20分の差が出ることが分かる。


残業時間

30分未満切り捨て、30分以上切り上げ

2日

1:35

 

6日

1:00

9日

3:37

16日

0:10

23日

4:25

24日

2:05

合計

12:40

13:00


(2) 1時間あたりの賃金額や割り増し賃金額に1円未満の端数が生じた場合は、50銭未満の端数を切り捨て、50銭以上を切り上げる。例えば月額給与が30万円であり、1カ月の平均所定労働時間が158.66時間だったとすれば、時間あたりの賃金は「30万円 ÷ 158.66時間 = 1890.83円」なので、切り上げて「1891円 × 1.25 = 2363.75円」となる。さらに50銭以上を切り上げるので、最終的には2364円が1時間あたりの割り増し賃金額となる。


(3)1カ月における時間外労働、休日労働、深夜労働のそれぞれの割り増し賃金額の総額に1円未満の端数が生じた場合は(2)と同様に計算する。例えば、(2)の1時間あたりの割り増し単価の2363.75円を利用する場合、(1)の残業時間13時間を掛けると「2363.75円 × 13時間 = 30728.75円」となり、50銭以上を切り上げるので、1カ月の割り増し賃金額は30729円となる。


以上から分かるように、割り増し賃金の計算は大変細かな処理になる。しかしチリも積もれば山となり、勤続年数が経過すればするほど大きな差となって現れるので、疎かにすることなく細心の注意を払って取り組む必要がある。

(掲載:2011年6月)

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