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少子化・高齢化の時代に対応するため
定年延長を考える

2013年4月からは中小企業においても雇用確保義務年齢が65歳以上に延長される。また、70歳までの雇用措置を導入した場合には「定年引上げ等奨励金」を受領できる。定年延長は企業にとって優秀な人材を確保する手段でもあり、定年延長にどう対応したらいいのかを考えたい。

定年延長の背景と
定年引上げ等奨励金

少子化や高齢化の進展によって、これから日本の労働人口は急速に減少する。総務省の調査によれば、日本の労働人口は2005年の6,870万人をピークに減少し、2025年には6,260万人になると予測されている。2004年と比較するならば、2015年までに労働人口は全体として約110万人も減少する。中でも15〜29歳の労働人口は220万人が減少する一方、60歳以上においては170万人も増加すると見込まれている(総務省の労働力調査、厚生労働省職業安定局推計)。

もう1つの課題として、2012年には「団塊世代」が65歳を迎えるため、65歳以上の定年制や定年の定めの廃止を普及・促進する必要がある。そこで、労働人口の減少をカバーしつつ、高年齢者が培った知識と経験を企業で活かせるようにするため、2006年には「高齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律)」が施行され、事業主は65歳までの高年齢者の安定した雇用を確保することが義務付けられた。

定年延長を支援するため、厚生労働省では中小企業定年引上げ等奨励金を実施してきた。65歳以上への定年の引上げまたは定年制を廃止した中小企業に対して、企業規模に応じて一定額の奨励金が支給されている。さらに、2008年からは中小企業が70歳以上への定年の引上げまたは定年制を廃止した場合、奨励金が上乗せ支給されるようになった。定年が65歳未満の中小企業が70歳以上に定年を延長したり、定年後も70歳まで継続雇用することを就業規則に明記すれば、企業規模に応じた奨励金が助成される。

なお、これら助成金の支給を受けるには、中小企業定年引上げ等奨励金支給申請書に必要書類を添え、都道府県雇用開発協会を経由して独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に、実施日の翌日から起算して1年を経過する日までに申請が必要となる。

助成金

中小企業定年引上げ等奨励金

対象

65歳以上への定年の引上げまたは定年の定めの廃止を実施した中小企業事業主

条件

・雇用保険の適用事業の事業主であり、今回支給対象となる制度を実施した日において中小企業事業主(常用被保険者数が300人以下)
・実施日から起算して1年前の日から当該実施日までの期間に高齢法第8条及び第9条を遵守していること
・事業主が、2011年4月1日以降、就業規則等により、(1)65歳以上への定年の引上げ、(2)希望者全員を対象とする70歳以上までの継続雇用制度の導入、(3)希望者全員を対象とする65歳以上70歳未満までの継続雇用制度の導入、(4)定年の定めの廃止のいずれかを実施し、支給申請の前日までに6カ月以上経過していること


※2011年3月31日以前の条件は、(3)の内容が「65歳前に契約期間が切れない契約形態による希望者全員を対象とする65歳以上までの継続雇用制度の導入」であった。

定年延長における
継続雇用制度とは

2006年4月から施行された高齢者雇用安定法は、企業に定年の段階的「引上げ」や「定年の廃止」「継続雇用制度」の導入のいずれかの措置を義務付けている。定年を65歳未満としている企業は、以下の対応から1つを選んで、従業員が65歳まで働けるようにしなければならない。

  1. 定年延長
    60歳の定年を65歳までに延長する。熟練度の高い人材を継続して確保できるものの、対象者を限定できないため一定の年齢まで希望すれば全員雇用しなければならない。また、労働条件を原則として引き下げることができないので、賃金・退職金などの総額が増大する。健康、能力、意欲などの点で問題がある従業員も原則、全員雇用継続しなければならない。
  2. 継続雇用
    65歳までの継続雇用制度(勤務延長制度と再雇用制度の2つがある)を導入する。
    勤務延長制度/従来の勤務延長となるので労働条件の変更は難しいが、退職金の支払は延長できる。
    再雇用制度/対象者の基準を定められる。雇用関係が中断するので労働条件の変更がしやすい(賃金水準を低く設定でき、会社の負担を軽減できる)。
  3. 定年廃止
    熟練度の高い人材を確保できるが、新規に若くて優秀な人材を採用することが難しくなる可能性がある。健康、能力、意欲などの点で問題がある従業員も原則、全員雇用継続しなければならない。

複数ある定年延長の対応方法
企業が環境に合わせて選ぶ

中小企業の事業主(常時雇用する労働者の数が300人以下)は、2013年3月31日までの間でなら特例として就業規則などにより継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準を定め、当該基準に基づく制度を導入できるとされてきた。(1)〜(3)のいずれも一長一短があるので、企業の経営状態やポリシーに従って決定する必要があるが、一般的には(2)継続雇用制度の導入が一番現実的な方法と考えられている。

企業が定年延長に対応しない場合でも、現在のところは行政上の罰則はなく、厚生労働大臣の勧告を受けるだけとなる。しかし正当な理由なく雇用延長しなければ定年の定めがないものと判断され、従業員から60歳以降の賃金などの未払いを損害賠償として請求される可能性もあるので注意が必要だ。

少子化・高齢化が進展し、企業競争が激しく優秀な人材を確保することが難しい中、豊富な知識と経験を有する高年齢者の活用は、企業にとって大きなメリットとなる。今まで蓄積したスキルとノウハウを発揮して高いクオリティを確保できるだけでなく、メンターとしてスキルやノウハウを若手社員に伝えることで一石二鳥の効果が得られるはずだ。

(掲載:2011年7月)

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