ビジネスお役立ち情報 > オフィスでエコロジー

オフィスでエコロジーオフィスでエコロジー CADを利用して設計を行う際に必要なノウハウを紹介。

オフィスでエコロジー のトップへ

パーソナルでは大流行
ビジネスでもカーシェアリングの動き

個人向けと思われている「カーシェアリング」の動きが、ビジネスでも加速しそうだ。そもそもカーシェアリングとは何なのか、エコとの関連はどうなっているのだろうか?

1台の自動車を共同で利用する
カーシェアリング

カーシェアリングとは、1台の自動車を複数のユーザが共同で利用する自動車の利用形態のこと。利用者は自ら自動車を所有せず、管理団体の会員となり、必要なときにその団体の自動車を借りることになる。いわば「会員制レンタカー」のような形だ。

そもそもカーシェアリングは、1987年にスイスの学生の間で始まり、2006年末の集計では、ヨーロッパを中心に世界18カ国、600都市で約35万人が1万台あまりの車両を利用している。カーシェアリングは英語の語源から相乗りと混同される場合があるが、基本的には会員が1台の自動車を時分割で利用するもので、相乗りとは異なる。

カーシェアリングには以下の3つの利点がある。

経済性

カーシェアリングの最大の魅力はその経済性にある。利用料金のみで、車両代、駐車場料金、各種保険料、ガソリン代といった自動車に関わる維持費は一切かからない。利用した分だけ支払いをする「従量制」なので、料金システムもとても分かりやすい。

月に16時間、120km(週に4時間、30km)の利用をしたと仮定

自家用車

カーシェアリング(あるA社の場合)(※3)

車両本体価格(※1)

¥18,750

月会費

¥2,100

車両維持費(※2)

¥37,985

時間料金(月16時間の利用)

¥5,024

 

 

距離料金(月120kmの利用)

¥3,120

合計

¥56,735

合計

¥10,244

※1:車両本体価格を1,800,000円、8年間利用すると仮定。
※2:ガソリン代や保険料、消耗品代など。駐車場価格は東京都三鷹市の駐車場価格を参考。
※3:会社のほか車種サイズやエリア、プランの選び方によっても料金は異なる。


環境にやさしい

カーシェアリングは、大都市で問題となっている駐車場不足や、環境の問題(二酸化炭素による温室効果、交通渋滞など)を低減する手段となる。スイスやドイツなど他国に先駆けてカーシェアリングを導入した国では、ちょっとした用事での車利用の減少も見られたという報告もある。

利用方法が簡単

最初に会員登録をするだけで、自動車を購入・保有する上で必要となる面倒な手続きは一切必要ない。また、レンタカーのようなガソリンを満タンで返却するという作業も必要ない。さらに、メンテナンスが行き届いており、自動車保険も完備しているため、安心かつ快適なカーライフを送ることができる。

レンタカーとの違い

カーシェアリングは「会員制のレンタカー」という制度に近いが、レンタカーとはどのような部分が違うのだろうか。

まず、カーシェアリングは「会員制」であること。ある地域に限定したコミュニティーの中で、会員同士で自動車を共同利用することになる。また、短時間の利用も可能である点も大きな特長だ。レンタカーは通常6時間が最低貸出時間だが、カーシェアリングの場合は15分からでも借りることができる。

さらに、貸出・返却場所の利便性の良さも魅力だ。貸出・返却場所は住んでいるマンションの駐車場や通勤駅の近くなど、会員が利用するのに便利な場所に設定されていることがほとんどだ。また、インターネットを通じて利用の予約ができ、車の利用状態も管理センターで自動的に把握しているので、貸出手続きに時間を要さない。この手軽さこそ、カーシェアリングの大きなメリットと言える。

カーシェアリングの管理システムの一例
●カーシェアリングの管理システムの一例

ますます広まる
カーシェアリングの動き

カーシェアリングのサービスには自動車大手の関連会社のほか、新規会社の参入も増えてきており、全国的な広がりを見せている。

その中でも、2009年に入ってからは次々と新たな動きが見られる。まず、カーシェアリング最大手であるオリックス自動車では、鉄道などの公共交通機関とカーシェアリングとの連携を強めており、2008年4月1日にカーシェアリングの貸出・返却時の鍵として電子マネー付きICカード「PASMO」を利用できる仕組みを採用。続いて2009年2月10日には東京都営地下鉄浅草線10駅にカーシェアリング拠点を設置した。また、2009年5月には東京都内の山手線全29駅周辺にカーシェアリング拠点を設置し、10月には東急線、小田急線、JR中央線の各駅にも拠点の設置を始めた。

同じく鉄道と連携したものでは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が東京駅、川崎駅、八王子駅の3駅でカーシェアリング事業サービス「ecoレン太」を2009年3月より開始している。

さらにカーシェアリングの動きは、法人の利用にも広がりつつある。2009年3月、東京都の世田谷区、目黒区内10カ所においてカーシェアリング事業を開始した「コミューカ」では、個人のほかに法人を対象とした「法人」プランも用意している。月会費が月3000円(50名まで)で、時間あたりの利用料金は300円/15分(レギュラーの場合。6時間よりデイリーパックなどもあり)からと個人会員と同設定となっている。同様の法人向けのサービスは、ほかのカーシェアリングサービスの会社でも設定しているところは多い。

カーシェアリングは自動車の自社保有やリースに比べ無駄がなく、車にかかっていたコストを従来以上に削減することが可能になる。また昨今、企業経営においてCO2削減が重要なテーマとなる中で、カーシェアリングは会員1人当たり年間約2トンのCO2削減効果があると言われている。

カーシェアリングは企業のコスト削減とCO2削減が両立できる、これから大きく注目されるソリューションの一つだ。

カーシェアリング先進国も多い
海外の状況は

日本でカーシェアリングのサービスを提供している会社は、2009年9月末現在、全国で20社を超えている。会員も徐々に増えつつあるが、海外ではどのような状況なのだろうか。

2人に2台という自動車保有率を誇る自動車大国の米国では、既に数多くの企業がカーシェアリングサービスに取り組んでいる。わずか1年で1000人の会員を集めたカーシェアリング会社もあれば、3都市で営業しており5年後には会員33万人、車1万台を目指している大企業もある。

ワシントンの地下鉄では、駅のそばにカーシェアリング会社のための駐車場を確保し、地下鉄利用者の利便性を高めるサービスを開始している。また、地方自治体が1事業者当たり当初の費用を500ドルまで補助するなどの支援も行われており、マイカー通勤からカーシェアリングや公共交通機関通勤への移行という社会的風潮が徐々に強まっている。

一方、カーシェアリング先進国と言われる欧州では、スイスやドイツ、オーストリアなどの国々が積極的にカーシェアリングを導入している。2008年現在、ヨーロッパ全体の450都市で、15万人以上の会員がおり、カーシェアリング関連のビジネスは2億ドル規模の産業になっている。

特にドイツでは「全国カーシェアリング協会」が市民への普及活動や政府への働きかけを行っており、協会に加盟している全国各地の組織は70で計200の街と地域で活動している。

カーシェアリングの
問題点と将来

環境面、経済性などさまざまな側面で注目されているカーシェアリングだが、解決すべき問題もある。

まずは、法律の壁だ。道路運送法、道路運送車両法、レンタカーに関する基本通達などにより、レンタカーと同様に貸渡時の対面による人物確認、始業点検、返却後の車両点検が義務付けられているほか、車庫法により使用の拠点から車庫までの距離などが規制されている。車の共同使用、貸出に対するこれらの法規制は、カーシェアリング普及への大きな壁になっていることは確かだ。

もう一つが、車に対する強い所有意識だ。日本人は特に自動車の所有意識が高く、マイカーを大切にし、車内をプライベートな空間としたがるため、共同で使用することを嫌う傾向がある。個人の意識を変えるのは早急には難しいかもしれないが、企業での利用が進むにつれてこうしたものも変わってくるかもしれない。

一方で将来性のほうはかなり明るい。生活に急速に浸透してきたSuicaやPASMO、EdyなどのICカードと、カーシェアリングのカードキーを共通化できれば、交通機関の利用から支払いまで必要なカードが1枚で済む。さらに、カーシェアリングはインターネットを通じて利用予約を行うため、携帯電話で予約から料金支払まで簡単に行えるシステムが容易に構築できるという大きなメリットもある。

駐車場不足や交通事故・渋滞といった問題の解消への期待も大きい。深刻化しつつあるこうした環境問題についても、カーシェアリングには多大な貢献が期待されている。

(掲載:2009年11月)

関連リンク

企業のITセキュリティ講座