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「エコ物流」の
現状と将来

日本のCO2排出量の約2割を占める運輸部門。環境負荷を減らすためにさまざまな対策がとられているが、その現状と将来を解説する。

環境に配慮した
「エコ物流」とは

「エコ物流」とは、環境に配慮した物流のことを言う。物流に関連する二酸化炭素(CO2)排出削減のほかに、広くは物流にかかわるゴミ排出なども考慮した物流をも含んでいる。

国土交通省の報告によると、排出されるCO2の約2割は運輸部門が占めており、そのうち2008年度は自家用乗用車が48.9%を占め、貨物自動車が34.8%、船舶や航空、鉄道などそのほかの輸送機関が続いている。

CO2排出量の推移で見てみると、1990年度から1996年度までの間に運輸部門における排出量は21.0%増加したが、その後、1997年度から2001年度にかけてほぼ横ばいに転じ、2001年度以降は減少傾向を示している。

しかし、1990年度から2008年度においては、輸送量の増加などに伴い自家用乗用車や航空からの排出量が増加している。また、営業用貨物車からの排出量も1990年度と比較し増加している。

経済と運輸は密接な関係にあり、CO2を減らそうと人やモノの移動を制限すれば、経済発展の妨げになりかねない。経済とエコを両立するには、何を使ってどのようにモノを動かすか、その中身を見ていく必要がある。

そこで着目されたのが、輸送手段のエコ化と輸送の効率化の2点である。

輸送手段のエコ化は貨物にも旅客にも有効であり、例えば電気自動車やハイブリッド車が普及すれば、同じ移動でもガソリン車やディーゼル車よりもCO2が減らせる。

輸送の効率化は主に貨物向けである。例えば30個の荷物が積めるトラックに10個載せて3回走るよりも、30個フルに載せて1回の方が効率がよい。あるいは、荷物の積み方を見直して30個のスペースに40個載せれば、4回の移動を3回に減らせる。こうした工夫によって走行回数や総走行距離を減らせれば、CO2排出量を削減できる可能性がある。

運輸部門におけるCO2排出量の推移(国土交通省調べ)
運輸部門におけるCO2排出量の推移(国土交通省調べ)

物流エコ化の
具体策

物流におけるCO2排出量削減の方向性は大きく分けて3点ある。車両のエコ化、システム導入による輸送の効率化、エコドライブの推進だ。

1. 車両のエコ化

ディーゼル車や燃費の悪いガソリン車を、ハイブリッド車や天然ガス車などに置き換えることで、CO2排出量を減らそうというもの。

例えば、佐川急便は天然ガス車の導入に積極的に取り組んでおり、ガススタンドを自社内にも設置している。ヤマト運輸でも2003年度からハイブリッド車を本格的に導入し、新たに天井の高い“ウォークスルー型”のハイブリッド車も開発した。こうした車両のエコ化などによって、通常は事業の成長などで増加していく傾向のCO2排出総量を、2012年度は2002年度比で99%に抑制するという。

また、運送業者の多くは、短距離輸送に自転車や台車を活用している。オフィス街などに小規模な拠点を構えてクルマで荷物を運び入れ、拠点から配達先までは自転車や台車を使うというものだ。

2. IT導入による輸送のシステム化

輸送効率を向上させるにはITの導入が欠かせない。宅配便業界は、小口荷物1個でもリアルタイムで配達状況を確認できるシステムを開発・導入することによって、輸送効率を高めてきた。無駄な輸送を減らせば、自ずとCO2の排出は減る。

また、無駄な配車を減らすこともIT化によって実現できる。配車は配車担当の経験と勘に頼っている部分が大きいが、システム化して配車業務を標準化・平準化すれば、コストの低減を図れるだけでなくCO2の排出量を減らすこともできる。

3. エコドライブの推進

エコドライブによるCO2削減効果は、運送会社はもちろんのこと、自家用トラックを所有する企業でも積極的に推進している。

エコドライブというと、信号待ちのときにエンジンを止める「アイドリングストップ」がよく知られているが、それだけではない。燃費は各ドライバーの運転のクセや、走行するコース、天候によって変わる。これをエコドライブに精通した専門家が的確に指導すれば、燃費はかなり違ってくるという。

「モーダルシフト」への
動きと課題

CO2排出を減らすため、トラックや貨物機による輸送を貨物列車・貨物船に切り替える「モーダルシフト」も進んでいる。国土交通省は1991年4月からモーダルシフトを推進しており、鉄道・海運の比率を2010年度には約50%に向上させることを目標としている。

列車や船はほかの輸送手段に比べてCO2排出量が少なく、エネルギー消費効率もよい。道路混雑の解消にも効果が期待でき、運転手の長距離運転からの解放により交通事故防止にも寄与する。また、道路交通騒音の低減、労働力不足の解消などのメリットもある。

しかし、モーダルシフトには課題も多い。モーダルシフトを推し進めるには、コンテナ列車・コンテナ船の増強、ターミナル駅・港湾の整備などが必要となってくる。

ところが、国鉄民営化に伴い鉄道の在来線が縮小し、新幹線の開通などによって貨物列車が走れる線路がどんどん少なくなっている。また、行政も鉄道の在来線を整備するより、道路や空港などの整備の方に力を入れ、予算もそちらを主体に考えられている。さらに、高速道路料金無料化という動きもモーダルシフトには大きな逆風となっている。

環境に優しいという言葉だけでは、最近は企業も動かなくなってきている。コスト面など鉄道・海運の企業にもメリットのあるモーダルシフトを推進するためには、今後は明確な環境行政が求められる。

輸送量あたりのCO2排出量(貨物)(国土交通省調べ)
輸送量あたりのCO2排出量(貨物)(国土交通省調べ)

(掲載:2010年10月)

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