ビジネスお役立ち情報 > オフィスでエコロジー

オフィスでエコロジーオフィスでエコロジー CADを利用して設計を行う際に必要なノウハウを紹介。

オフィスでエコロジー のトップへ

企業も出版物は
電子版で所有する時代!?

iPadなど新しい機器の登場によって、このところにわかに電子書籍ブームが起きているが、企業にとってのメリットはあるのだろうか? 電子書籍の現状と将来性を解説する。

話題の電子書籍とは

ここ1〜2年、「電子書籍」「電子出版」「e-books」といった言葉がよく聞かれるようになった。特にアップルのタブレット型コンピュータ「iPad」の登場以降は、電子書籍関係の話題がにわかに多くなってきた。

そもそも電子書籍とは、通常は紙に印刷されている書籍や雑誌を、パソコンや専用端末を用いてデジタルデータの形で読めるようにしたもの。極端に言えば、スキャナで読み取り、PDF化した出版物も電子書籍の仲間だ。

日本での電子書籍が広く認知されるきっかけとなったのが、2004年4月にソニーが発売した「LIBRIe」(リブリエ)と、同年2月に松下電器産業が発売した「ΣBook」(シグマブック)という二つの読書専用の端末。これらはデータが入ったメモリカードを書店などで購入したり、専用のWebサイトからダウンロードした書籍のデータをメモリカードに記録し、それを端末に差し込んでディスプレイ上に表示するというものだった。

また、百科事典に代表されるように、CD-ROMやそのほかの記録媒体に書籍の内容を記録して販売するパッケージ型の電子出版もある。

この電子出版と電子書籍の違いだが、一般的には電子書籍はインターネット上から書籍データをダウンロードさせたり、サーバに蓄積された書籍データをオンラインのまま利用したりする、物流を伴わない出版形態を言う。

米国では1990年代終わりから読書専用端末が市場に投入され、当初は大きな注目を集めたが、本格的な事業としてはなかなか定着していかなかった。しかし、2007年にAmazonが「キンドル」という専用端末を発売し、それ以降、電子書籍のニーズが急速に広まっていった。そして、2010年のiPadの登場によってさらに人気に拍車がかかる形になった。

日本ではキンドルは未発売で、また電子書籍の商品数も少なく、普及にはまだまだ時間がかかりそうだが、米国では以下の3つのメリットから電子書籍は急速に広まっていった。

まずは、ベストセラーの本でも約10ドルと、通常の本より安いこと。2つめは、パソコンを使ってダウンロードする必要がなく、どこにいてもすぐに本が手に入ること。そしてキンドルは省電力で電池寿命が極めて長いことだ。

なお、電子書籍のファイル形式で現在の主流とされてるのは、キンドルの「AZW」、iPadやiPhoneなどでサポートされている「EPUB」、そして広く普及している「PDF」になる。中でも「EPUB」形式は、DTPソフトとの連携がスムーズに行えるため、今後日本でも広まっていきそうだ。

電子書籍の主なフォーマット

形式

特徴

汎用性

拡張性

電子書籍としての
将来性

テキスト

プレーンテキスト形式。文字の種類、色、大きさ、レイアウト情報などを持たない純粋なテキストデータ。汎用性は最も高いが、拡張性は最も低い。

×

×

HTML

Webサイトに用いられている形式。テキストの大きさを変えたり色を付けたりして修飾することができるが、サイズが大きくなるため電子書籍には向かない。

PDF

文書や画像を比較的小さいサイズにすることができ汎用性も高い。印刷物も簡単にPDF化できるため、簡単な電子書籍に利用されることが多い。

AZW

Amazonが主に販売している書籍書籍のフォーマット。専用読書端末の「キンドル」向けに作られた独自仕様のため、汎用性は低い。

×

EPUB

XHTML形式を応用したもので、拡張性は高く、変換も比較的簡単にできる。全世界的に電子書籍のスタンダード仕様になりつつある。

XMDF

シャープが提唱しているフォーマット。テキストや漫画、辞書などのコンテンツをサポートし、携帯電話端末を中心に日本国内で普及している。

企業にとっての電子書籍とは

手軽かつ安価に書籍を読むことができる電子書籍には、もう1つ大きな特長がある。それは電子書籍はペーパーレスであるため、優れたエコの商品であるという点だ。

書類や資料のペーパーレス化は、エコを推進していくうえで企業にとっても欠かせないものになっているが、今後は電子書籍もその役割を担いそうだ。

企業にとって、電子書籍を導入するメリットは以下の点が考えられる。

  1. 資料としての書籍・雑誌・新聞の購入代が安く済む。さらにペーパーレス化が図れる。
  2. IR情報、プレスリリース、会社案内などの社外向けの資料の制作費が安く済み、ペーパーレス化も図れる。
  3. 社内の資料やデータを電子書籍化することによってペーパーレス化が図れ、さらにiPhoneなどのモバイル端末で簡単に閲覧できるようになる。

「1」については、日本ではまだまだ電子化された出版物は少ないが、ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社が電子書籍配信事業に関する事業企画会社を7月1日に設立するなど、急速に環境は整いつつある。また、産経新聞が既にiPhone向け無料アプリを提供するなど、モバイルでも新しい展開を見せている。

「2」「3」については、資料のPDF化は多くの企業でも進んでいるが、さらに最近はiPhoneやiPad向けの変換サービスやソリューションも数多く登場しており、数年以内には社内でも簡単にPDF以外の電子書籍が制作できるようになりそうだ。

電子書籍の将来性

電子書籍が普及するためには、iPadなどの専用端末が数多く登場し、ハード面での充実が望まれるが、それ以上に肝心のコンテンツ(書籍などの出版物)の電子化が大きな課題となっている。

特に現在問題となっているのが、電子書籍のフォーマットだ。電子書籍ではPDFのほか、数多くのフォーマットが使われてきたが、その多くは互換性がなく汎用性での問題があるのだ。

プレーンテキストやHTML、PDFといった汎用性の高いフォーマットならばこのような問題はないが、いずれも電子書籍を読むという点では弱点が多い。

そんな中、注目を集めているのがEPUBだ。EPUBはiPadでも採用され、Google Booksでも対応しており、世界的には電子書籍フォーマットの主役になりつつある

しかし、EPUBは米国で開発されたフォーマットであり、日本語化する際の問題も多い。例えば、日本語の書籍で必須となる縦書きには対応しておらず、ルビの機能もサポートされていない。

ただし、電子書籍のEPUBへの流れは無視できないところまできており、これに対応する形で日本電子出版協会(JEPA)では縦書き、禁則、ルビといった基本的な仕様をまとめた日本語拡張案を働きかけている。

現在、電子書籍への流れが世界的に加速しつつあるのは確かだが、この仕様の問題を含めて日本国内に関しては短期的な予測がつきにくいのも確かだ。

しかし、出版業界・印刷業界も電子書籍に対する取り組みを本格化させており、長期的に見れば紙に印刷された書籍が激減していくのは間違いない。

(掲載:2010年12月)

関連リンク

企業のITセキュリティ講座