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オフィスで注目される
タスク・アンビエント照明

日本のオフィスではいまひとつ普及してこなかった「タスク・アンビエント照明」が、エコに大きく貢献できることから、関心が少しずつ高まりつつある。

タスク・アンビエント照明と
従来の照明方式の違い

「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)や「東京都環境確保条例」改正などで、オフィスでも積極的な省エネ対応が迫られているが、その影響で日本のオフィスではいまひとつ普及してこなかった「タスク・アンビエント照明」への関心が、少しずつ高まっている。

タスク・アンビエント照明とは、「アンビエント」(周囲環境)照明として控え目の照度で室内全体を照明し、「タスク」(作業)照明として局部的に作業面を明るく照明する方式のことをいう。

通常、オフィスでは天井に設置された照明によって、昼夜を問わず、部屋の隅々まで一定の明るさが確保されている。これに対してタスク・アンビエント照明では、作業のための明るさはタスク照明で確保する。このため、オフィスワーカーが感じる空間全体の「明るさ感」さえ保てれば、アンビエント照明による机上面照度は下がってもよいという発想だ。

従来照明とタスク・アンビエント照明

特にフロア面積に比較して在籍者数の少ない場合は、電力使用量の大きな軽減が図れるが、席を離れるときに机上のタスク照明をこまめに消灯すれば、個人が誰でもエコに貢献することができる。「ちりも積もれば…」ではないが、このような小さなエコ活動が特に大人数のオフィスでは大きなエコへつながる。

タスク・アンビエント照明ではこのように照明の省エネルギーを図ることができるうえ、天井照明が放散する熱も減らすことができ、冷房効率の向上にもつながる。タスク・アンビエント照明を導入したことにより、消費電力が30%低減し、さらに照明機器からの熱の放散が抑えられた結果、冷房用電力消費量を15%低減したとの報告もある(鹿島建設調べ)。

タスクエリア(作業面)の照度・消費電力比較(山田照明調べ)
 

従来照明
ベース照明:45W2灯を9台
タスクライト:0台

タスク・アンビエント照明
ベース照明:45W2灯を4台
タスクライト:LED14Wを14台

 

事務所の平均照度
※JISの推奨照度:750ルクス

810ルクス(空間)

835ルクス(作業面)

同等の明るさ(作業面)

消費電力

0.81KW

0.49KW

約40%カット

海外と日本の照明文化の違い
今後は意識を変える必要も

ヨーロッパのオフィスでは、タスク・アンビエント照明が主流となっている。エコの意識が強いこともあるが、日本とは異なる照明に対する文化もその大きな要因となっている。

ヨーロッパのオフィスや公共施設を訪れた人なら分かると思うが、室内に入るとかなり暗いと感じる。ヨーロッパでは、アップライトとダウンライトによる間接照明が基本で、足りないときだけ別の照明で補うという発想だ。天井の蛍光灯で煌々と照らす日本とは、発想が全く異なっている。

確かに日本のオフィスや公共施設は「蛍光灯をいっぱい並べて明るく照らせばいい」というところが多い。特に「照明が明るいオフィス」=「元気で明るいオフィス」というイメージが戦後の日本では長く続いてきた。

昨今のエコブームによって次第にその発想は消えつつあり、公共施設では昼間でも点灯する照明を間引いているところが多くなった。また、オフィスでも「多少暗くてもエコのためなら仕方がない」と、一部の照明を消すところも多くなっている。このような照明に対する発想の転換が、今後、日本でも求められていくに違いない。

日本でも徐々に
タスク・アンビエント照明の動きが

大手広告代理店である電通の汐留の新社屋(2002年竣工)には、オフィスすべてに初めてタスク・アンビエント照明が導入され、完成当時、大きな話題になった。

執務室ではベース照明(アンビエント照明)に加えてパーソナルライト(タスク照明)により机上面照度を確保し、個室ではダウンライトを加え、そして会議室ではベースライトを増灯することで会議に必要な照度を確保するという発想で、部屋ごとにタスク・アンビエント照明を導入した。また、ビル全体で太陽光をふんだんに取り入れる構造にしたことにより、昼間はベース照明やパーソナルライトの一部を消灯しているところもある。

環境省が主催する「平成22年度 省エネ照明デザインアワード」の公共施設・総合施設部門では、大林組の技術研究所本館テクノステーションが優秀事例に選ばれた。

2010年9月に完成したこの施設では、太陽光や地中熱など自然エネルギーの利用や、次世代設備の採用、エコ意識を促す「見える化」等の効果により、CO2排出量を一般的な事務所ビルに比べて55%削減するなど、日本の研究施設としては初めて「カーボンニュートラル」を達成。そして、照明の点でも、屋根面にワークスペースに安定した北面天空光を取り入れるエコロジカルルーフを採用し、昼間はアンビエント照明の無点灯化を図り、夜間は天井内の間接型アンビエント照明(Hf63W蛍光灯)とタスク照明(LED)で机上面照度を確保している。

大林組の技術研究所本館テクノステーション(写真:環境省提供)
大林組の技術研究所本館テクノステーション(写真:環境省提供)

新築のビルだけでなく、既存のビルの増改築にもタスク・アンビエント照明を採用する動きが出ている。

三菱地所は大手町ビル内の本社の一部を低炭素型オフィスに改修し、CO2排出量削減を実現する日本初のハイブリッド型天井輻射空調システムと、LEDタスク&アンビエント照明システムを導入した(改修期間: 2010年4月5日〜6月30日)。 新しいオフィスでは、天井照明を300ルクスに設定する一方で、机上に個人で照度を調節できるタスク照明を併用し、必要な箇所に十分な明るさを提供することが可能となっている。自分にとって快適な照明環境を個人がつくり出すことで、知的生産性を高める効果が見込んでいるという。

改修後の三菱地所大手町ビルのオフィス(写真:三菱地所提供)
改修後の三菱地所大手町ビルのオフィス(写真:三菱地所提供)

タスク・アンビエント照明は、それぞれのオフィスワーカーが、自分にとって快適な視環境を自分で調整できる。その結果としてこのように生産性の向上も期待できる。省エネに意識は強くなりタスク・アンビエント照明が普及していくことになれば、地球環境だけでなく、オフィスワーカーの執務環境にもよい影響をもたらすことになり、まさに一石二鳥といえる。

(掲載:2011年4月)

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