2015年10月 1日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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Windows 10登場! 新しいWindowsはこう変わった

テキスト: 芝田隆広

2015年7月29日に登場したWindowsの新バージョン「Windows 10」。既にインストールしてみた人や、これからインストールすることを検討している人も多いだろう。それではWindows 10はいったい何が変わったのか。そしてすぐに導入した方がいいのか。今回は期待の新OS、Windows 10の特徴と導入に当たっての注意点を紹介する。

Windows 10はこう変わった! 新機能を総まくり

Windows 10は、2013年10月のWindows 8.1リリースから2年近くたっているだけあって、さまざまな新機能が盛り込まれている。まずはその新機能について見ていこう。なお細かい設定などについては、今後の連載などで取り上げていく予定なのでまずは大くくりに「Windows 10はどういうOSなのか」ということを感じてもらいたい。

・スタートボタン&スタートメニューが復活

Windows 10では、Windows 8/8.1で廃止されていたスタートボタンとスタートメニューが復活した。Windows 8/8.1では、デスクトップとタイル状のアイコンが並ぶ2種類のインターフェイスが独立していたが、Windows 10ではデスクトップのスタートメニューに、タイルインターフェイスが融合されている。

Windows 10のスタートメニューの画面

Windows 10ではスタートメニューが復活し、Windows 7以前のインターフェイスに慣れたユーザーにも使いやすくなった。またWindows 8/8.1では「デスクトップ」画面とは別に用意されていたタイルインターフェイスもスタートメニューに融合されている。

ライブタイルはスタートメニュー内に配置されており、Windows 7以前のユーザーインターフェイスに慣れていた人には、だいぶ使いやすくなったと言えるだろう。これに合わせて、Windowsストアアプリも全画面ではなく、ウィンドウ表示となった。

Windows 10、Windowsストアアプリ画面

Windows 8/8.1では全画面表示だったWindowsストアアプリも、デスクトップ画面でウィンドウ表示されるようになった。

なお従来のタイルインターフェイスも、「アクションセンター」から「タブレットモード」を選択すれば利用することができる。

「タブレットモード」を選択した画面

「アクションセンター」をクリックして「タブレットモード」を選択すると、タイルインターフェイスに切り替えられる。

タブレットモードの画面

タブレットなどのタッチパネルモデルで利用すると便利な「タブレットモード」。タイルをクリックしてアプリを起動することが可能だ。

・タスクビュー機能

現在起動中のアプリを縮小画像で並べて見やすく表示する「タスクビュー」機能が搭載された。iPhoneやAndroidなどのスマートフォンのアプリ切り替えに近い感覚で、さまざまなアプリを手軽に切り替えて使用できる。

Windows 10、タスクビュー画面

[Windows]+[Tab]キーを押すとタスクビュー画面に切り替わり、アプリを手軽に切り替えられる。スマートフォンやタブレットと近い感覚だ。

・仮想デスクトップ

今までのWindowsのデスクトップと言えば、マルチディスプレイを除けばメインのデスクトップが一つあるだけだった。仮想デスクトップは、複数のデスクトップを切り替えて使う機能。前述のタスクビューで「新しいデスクトップ」を追加することで、複数のデスクトップを切り替えて利用できる。これは画面の狭いノートパソコンやタブレットで、より効果を発揮する機能と言えるだろう。

仮想デスクトップ機能で二つのデスクトップ画面を表示している画面

仮想デスクトップ機能では、複数のデスクトップ画面を切り替えて使うことが可能。例えばデスクトップ1には仕事用のアイコンを配置しておき、デスクトップ2には個人用のアイコンを配置する、といった使い分けを簡単に行える。

・新Webブラウザー「Microsoft Edge」

Windowsに標準搭載のWebブラウザーといえば、これまでずっと「Internet Explorer」だった。しかしWindows 10ではWebブラウザーも従来OSから一新されている。新Webブラウザーの「Microsoft Edge」では、インターフェイスがよりシンプルになったほか、Webページに手書きメモを挿入する機能や、内容に関係ない画像を非表示にする「リーディングモード」を搭載、タブレットやスマートフォンでも動作するよう設計されているなどの特徴を備えている。

「Microsoft Edge」の画面

Windows 10ではWebブラウザーも一新された。新ブラウザーの「Microsoft Edge」はインターフェイスがよりシンプルになったほか、Webページへ手書き入力を行う機能などが搭載されている。

なおInternet Explorerも消えたわけではなく、スタートメニューの「すべてのアプリ」→「Windowsアクセサリ」から呼び出すことができる。

このほかにもさまざまな機能が追加されており、全体的に使い勝手が向上されている。なおWindows 10が要求するシステム要件は下の表1のとおり。

<表1 Windows 10が要求するシステム要件>

CPU1ギガヘルツ(GHz)以上
メモリー1GB(32ビット版)、2GB(64ビット版)
HDDの空き領域16GB(32ビット版)、20GB(64ビット版)
グラフィックスカードDirectX 9以上(WDDM 1.0ドライバー)
ディスプレイ800×600ドット

これはWindows 8.1とほぼ同様なので、Windows 8.1が快適に動いているマシンであれば、Windows 10でも十分実用になるレベルであることがうかがえる。

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Windows 10をタダで導入! 無料アップグレードについて

Windows 10で大きな話題になっているのが「無料アップグレード」だ。これは2015年7月29日から1年間限定で、従来のWindows 7/8.1のユーザーが、Windows 10のアップグレードを無料で受けられるというものだ。つまり最新のWindows 10がただで手に入るわけだから非常にお得だ。

しかし、Windows 7/8.1なら全てただでWindows 10にできるというわけではない。Windows 10のページではアップグレード対象OSとして以下の表2のように記されている。

<表2 Windows 10の無料アップグレードが利用可能なエディション>

アップグレード前アップグレード後
Windows 7 StarterWindows 10 Home
Windows 10 Home
Windows 7 ProfessionalWindows 10 Pro
Windows 7 Ultimate
Windows 8.1Windows 10 Home
Windows 8.1 ProWindows 10 Pro
Windows Phone 8.1Windows 10 Mobile

マイクロソフトWebサイト「Windows 10の仕様とシステム要件」

企業では導入例の多いであろうWindows 7 Enterprise、Windows 8/8.1 Enterprise、Windows RT/RT8.1の各エディションは対象外となっている。なおボリュームライセンスを利用していて、ソフトウェアアシュアランス(SA)が有効なユーザーの場合は、SAの特典としてWindows 10のEnterprise向けエディションにアップグレード可能となっている。

Windows 7/8.1からWindows 10へのアップグレードについては、Windows Updateで自動でインストールされる「Windows 10を入手する」アプリから行うことができる。「Windows 10を入手する」は、デスクトップ画面のタスクトレイに表示されるアプリだ。このアプリを開き「無料アップグレードの予約」を選択すれば、入手可能な状況になった段階でWindows 10へのアップグレードが行われる。

タスクトレイに表示されたアイコンをクリックし「Windows 10を入手する」を選択した画面

Windows 10への無料アップグレード対象OSでは、Windows Updateで自動でインストールされる「Windows 10を入手する」アプリからアップグレードを行える。タスクトレイにアイコンが表示されるので「Windows 10を入手する」を選択する。

「無償アップグレードをご予約いただき、ありがとうございます」と表示された画面

「Windows 10を入手する」アプリでのアップグレードは、入手が可能になったら順次提供が行われる。

と言ってもこれだと「アップグレードしたい」と思ったときにすぐインストールが始まるわけではないので、試せる時間が限られる企業ユーザーには不便だ。そこでオススメなのがマイクロソフトのWebサイトからダウンロードできる「インストールメディア作成ツール」。32ビットバージョンと64ビットバージョンが用意されており、これを使えばすぐにWindows 10の無料ダウンロード&インストールを試すことが可能だ。

マイクロソフトWebサイト:「Windows 10のダウンロード」

Windows 10メディア作成ツールをダウンロードする画面

「Windows 10のダウンロード」で「ツールを今すぐダウンロード(32ビットバージョン)」もしくは「ツールを今すぐダウンロード(64ビットバージョン)」をクリックすると、「メディア作成ツール」がダウンロードできる。

Windows 10のダウンロード

Windows 10セットアップ画面

ダウンロードした「メディア作成ツール」を実行して「このPCを今すぐアップグレードする」を選択すると、無料アップグレードが開始される。

Windows 10を無料アップグレードしても、インストールから1カ月までは元の環境に戻すことができるので、アップグレードできる環境にある人はまずは気軽に試してみるといいだろう。

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入れるべきか入れざるべきかWindows 10

このように紹介してきたWindows 10だが、それでは自分のマシンに今すぐ入れるべきなのだろうか? これは正直言って少々難しい問題だ。

まずWindows 10は、Windows 8/8.1と比べてデスクトップインターフェイスと、タイルインターフェイスが統合されて、従来のWindows 7の操作感に慣れていた人でも使いやすくなった。また最新の環境の方が、セキュリティの面でも安心できる。

その半面、まだソフト・ハードの対応が追いついていない場合がある。特に「業務でよく使うソフトが動かない」といったことになると大変なことになる。また不具合が残っていることもあるので、その点も注意が必要だ。「絶対に使えないと困る」という用途の機器では、しばらく様子を見てからという方が無難ではある。

Windows 10へのソフト・ハードの対応状況については、原稿執筆時点で完全に情報が出そろっているわけではないのでここでは割愛する。各ソフト・ハードメーカーで対応状況がアナウンスされているので、どうしても必要そうなソフトについてはWindows 10導入前に確認しておきたい。

それでも「実際に使えるかどうか不安だ」「前もって試しておきたい」という人にお薦めしたいのが、90日間無料で使える「Windows 10 Enterprise」だ。マイクロソフトのWebサイトで無料配布されているので、使用頻度の低いパソコンに試験的にWindows 10を導入して、ソフトやハードをインストールしてみて様子を見るといいだろう。

マイクロソフトWebサイト:「Windows 10 Enterprise のダウンロード」

Windows 10 Enterpriseのダウンロード画面

Windows 10環境を試用できるWindows 10 Enterpriseのダウンロード画面。

Windows 10の無償アップグレードは1年限定だ。パソコンを長く使い続けたいならば、やはり最新OSを入れておいた方がいいし、ゆくゆくはインストールは避けられない道でもある。ぜひ時間のあるときに「Windows 10 Enterprise」を試すなどして、新しい環境にチャレンジしてみてほしい。

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