2016年 6月 1日公開

仕事効率を上げるパソコン手帖

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デュアルディスプレイでビジネスをもっと快適に

テキスト: 芝田隆広

パソコンのデスクトップは、広い方がウィンドウを一度にたくさん開くことができ、効率的に作業を行える。1台のパソコンに2台のディスプレイを接続し、「デュアルディスプレイ」にすれば、画面がより広く使えて非常に快適だ。今回はそんな「デュアルディスプレイ」の活用法に迫ってみた。

ディスプレイを2台にするメリットは?

「デュアルディスプレイ」とは、文字どおり「1台のパソコンに2台のディスプレイを接続すること」だ。その最大のメリットは、パソコンのデスクトップの広さがディスプレイ2台分になるので、よりたくさんのウィンドウを一度に開いて、効率的に作業できる点にある。

デュアルディスプレイの画像

デュアルディスプレイにすることで、2画面分のデスクトップを利用できる。広々とした画面にウィンドウをたくさん開いて、効率的な作業が可能。

「画面を広くしたいなら解像度の高いディスプレイを使えばいいのでは?」という意見もあるだろう。最近では4K(3840×2160ドット)のディスプレイも、安いものなら5万円程度で手に入るようになっており、そちらの方がいいと考える人も多いかもしれない。

とはいえ、デュアルディスプレイの方が良い部分も多々ある。そこで以下の表に「高解像度ディスプレイ×1台」と「デュアルディスプレイ」のメリット・デメリットをまとめてみた。

<「高解像度ディスプレイ×1台」と「デュアルディスプレイ」の比較>

  高解像度ディスプレイ×1 デュアルディスプレイ
解像度例 3840×2160ドット 1920×1080ドット×2画面(3840×1080ドット)
設置スペース 1台で済むので省スペース 2台分の横幅が必要となる
配線 1台分なのでシンプル 2台分のケーブルが必要となる
価格 新製品なのでいくぶん割高 余っているディスプレイがあれば割安
ノートパソコンでの対応 4Kノートも存在するが価格は高めで重量も重い 外部ディスプレイを接続すれば2画面化可能
画面の見やすさ 高解像度な分、文字やアイコンが小さく表示される。1画面に多数のウィンドウが開くのでゴチャゴチャしがち 文字やアイコンは通常サイズ。ウィンドウを2画面に振り分けられるのでスッキリした表示にしやすい

4Kなどの高解像度ディスプレイ×1台の場合、設置スペースが1台分で済むのが魅力だ。また「1920×1080ドットのディスプレイ×2台(合計3840×1080ドット)」と、「4Kディスプレイ×1台(3840×2160ドット)」であれば、縦方向の解像度が高い分、デスクトップは広くなると言える。

これに対し、デュアルディスプレイの良さは、パソコンの買い換えなどで余ったディスプレイを手軽に活用できる点にある。古いディスプレイが余っているのであれば、基本的に追加投資なしで広いデスクトップを実現できるわけだ。

またノートパソコンのユーザーにとっても利便性が高い。高解像度ディスプレイを搭載したノートパソコンは、どうしても重量が重くなってしまう。4Kディスプレイ搭載ノートパソコンとなると、2kg前後の重量になってしまうことも少なくない。

これに対し、ノートパソコンでのデュアルディスプレイ環境ならば、「外出時はノートだけ持ち歩いて手軽に使える」「オフィスでは外付けディスプレイを接続して快適に作業する」といった柔軟な使い分けが可能になる。

「24インチで3840×2160ドット」などという高密度になると、アイコンや文字などの表示が小さく表示され過ぎて、ビジネス環境だと見づらいといった問題もある。

1台のデスクトップに多数のウィンドウを表示すると画面がゴチャゴチャしがちだが、2画面使って「画面1にWebブラウザーを表示」「画面2にワープロソフトを表示」といった具合に振り分けていけば、画面がきちんと整理されるというのも魅力だ。

デュアルディスプレイの解説図

デュアルディスプレイでは、ウィンドウを2画面に振り分けして整理しやすい。「画面1のWebブラウザーを参照しながら、画面2のワープロソフトで書類作成」といった作業が手軽に行える。

このほかプレゼンテーション時にも便利だ。例えば「画面1をノートパソコンの液晶」「画面2をプロジェクターなどの外部ディスプレイ」というふうにしておいて、画面1には資料や原稿を表示、画面2でPowerPointを操作するといった具合に使い分ければ、快適なプレゼンテーションが行える。

デュアルディスプレイを使ったプレゼンテーションのイメージ図

デュアルディスプレイを使って快適なプレゼンテーションを行うことができる。

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デュアルディスプレイの設定方法

ではデュアルディスプレイ環境を実現するにはどうしたらよいだろうか。必要なものは以下のとおりだ。

ディスプレイ2台

「通常のディスプレイ×2台」という組み合わせのほか、「ノートパソコン+外部ディスプレイ」という組み合わせも可能。また、パソコン用ディスプレイだけでなく、HDMI端子やD-Sub/DVI端子を搭載した液晶テレビに接続するといった手もある。後述するが、iPadやAndroidなどのタブレット端末を、サブディスプレイとして使うことも可能だ。

2台分の画面出力用コネクター

パソコン側にも2台分の画面出力コネクターが必要となる。パソコンに、D-Sub/DVIといった2個めの外部出力端子が搭載されているようであれば、それを利用しよう。最近のパソコンならば、HDMI端子が搭載されている場合も多い。外部出力端子がないパソコンの場合でも、USBに接続して、外部画面出力を行えるようにするアダプターを増設すれば、手軽にデュアルディスプレイを実現可能だ。

アイ・オー・データ機器「UsB-RGB/D2」の画像

外部出力端子がないパソコンでも、USB接続の画面出力アダプターを使うことで、デュアルディスプレイ化することが可能。写真はアイ・オー・データ機器「USB -RGB/D2」。

2台分のケーブル

当然のことながら、デュアルディスプレイではケーブルも2台分必要となる。なおiPadやAndroidなどのタブレット端末をサブディスプレイにする場合は、無線LANで接続を行うのが一般的なので、ケーブルは1本で済む。

上記のようなものを準備できたら、早速デュアルディスプレイ環境を構築してみよう。といっても別に特別な設定は必要ない。パソコンにディスプレイ2台を接続(またはノートパソコンに外部ディスプレイを接続)し、起動すればWindowsの場合はそのままデュアルディスプレイ環境になる。

Windows 10ならば、デスクトップ上で右クリックして「ディスプレイ設定」を選択すると、「ディスプレイ」の項目で、複数のディスプレイをどう使うかを設定できる。「表示画面を拡張する」にしておくと、2台のディスプレイを「1920×1080ドットのデスクトップ2画面=計3840×1080ドット」で利用できる(双方のディスプレイがそれぞれ1920×1080ドットの場合)。「表示画面を複製する」に設定すると、ディスプレイ1とディスプレイ2に同じ画面を表示することも可能だ。

ディスプレイの設定画面

Windows 10パソコンに2台のディスプレイを接続し、デスクトップ上で右クリックし「ディスプレイ設定」を選択すると、画面表示の設定が行える。通常は「表示画面を拡張する」にしておけばいい。

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iPad/Androidタブレットをサブディスプレイにする

「デュアルディスプレイにしたいけど、ディスプレイが1台しかない」という人でも、iPadやAndroidのタブレット端末を持っているようであれば、それをサブディスプレイとして利用することが可能だ。

タブレットをサブディスプレイ化できるアプリはいくつか存在する。例えば「Komado2」をパソコンとタブレット端末それぞれにインストールしておけば、タブレットを2画面目として利用することが可能だ。

「Komado2」の画像

「Komado2」を利用すれば、iPadやAndroidのタブレット・スマートフォンをパソコンのサブディスプレイとして利用可能。

ここまで見てきたようにデュアルディスプレイを利用すれば、快適にビジネスが行えるようになる。しかも余っているディスプレイがあれば基本的には追加投資なし。タブレットやスマートフォンを利用して、デュアルディスプレイ化することもできる。手軽かつ効果は大きいので、ぜひチャレンジしてみてもらいたい。

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