仕事効率を上げる「パソコン手帖」仕事効率を上げる「パソコン手帖」

仕事効率を上げるパソコン手帖のトップへ

e-文書法の基礎知識

最近「e-文書法」という言葉を目にする機会が増えてきた。これは大まかに言えば「オフィスの文書を電子化して保存することに関する法律」なのだが、いったいどういうものなのだろうか? 今回は知っていると役に立つが、意外と知らない人が多い、e-文書法の基礎知識を解説する。

オフィスの書類を削減! e-文書法とは?

「e-文書法」とは、表に示した二つの法律の通称だ。いきなり長々とした法律名が出てきたので尻込みする人もいるだろうが、今回はとりあえず入門編なので身構えなくてもいい。まずはざっくり「オフィス書類を電子保存するための取り決めを示した法律」と理解しておけばいいだろう。

e-文書法は下記の二つの法律の総称。「電子文書法」と呼ばれることもある。

<e-文書法>

法令番号 名称
平成16年法律第149号 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
平成16年法律第150号 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

仕事の現場ではさまざまな書類が必要とされる。その中には税務関係書類など、法律で一定期間の保存が義務づけられているものもあり、「たまったから」「もう使わないから」といった理由で廃棄してしまうわけにはいかない。1年分だけでもかなりの量になるのに、さらにこれが何年分もたまってくるとかなりの保管スペースを占有してしまう。保管用に倉庫などを借りるとなったら賃料もかさむ。

そこでe-文書法では、商法や税法で保管が義務づけられた文書について、電子化された文書ファイルで保存することを認めるようにしたのである。ファイルならば保管スペースを圧倒的に削減でき、家賃など経費の削減にもつなげられる。また書類が必要となったときは、ファイルを検索すれば瞬時に取り出すことができる。

書類の電子化のイメージ

書類の電子化のイメージ。大量の書類も電子化すれば保管スペースをとらない。業務の効率化や経費の削減にもつながる。

e-文書法でどんな文書を電子化できるのか?

企業が扱う文書のうち、e-文書法での電子保存が可能になった文書は多岐にわたる。

「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」

「内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室」の「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」を見ると、さまざまな種類の保存対象が記されている。

「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」(PDF)

会計帳簿、見積書や納品書、振替伝票、営業報告書、取締役会議事録、定款などなど、実に多彩な文書がある。「これらを全て電子化すれば……」と考えると、書類の保存スペースが大幅に節約できることが分かるだろう。

なおe-文書法は、電子ファイルでの保存を義務づけするものではない。あくまで「電子ファイルで保存してもよい」と許可するものなので、従来通り紙のままでの保存でも構わない。そのため「移行が面倒なので紙で保存している」という企業もまだまだ多い。しかし、長い視野で見るならば、書類の電子保存に取り組むメリットは大きいと言えるだろう。

e-文書法で電子化するときの要件

では、実際に電子化を行うときにはどうすればいいのか。「書類をとにかくなんでもかんでもスキャンしてファイルに保存しておけばいいのか」というと、そうもいかない。e-文書法では、書類の種類ごとに「電子化するときはこのようにしなさい」というガイドラインが決められている。基本的な要件は以下の4種類だ。

<e-文書法の基本的な4要件>

e-文書法では電子化の際の要件が定められている。書類の種類によって必要な要件が変わる。

1. 見読性 電子化された書類は、ディスプレイなどでハッキリ明瞭な状態で読めるようにしておかなければならない。スキャナーで読み込むときの階調や解像度についても目安が決められている。例えば「カラーで読み取るときには256階調で150dpi以上」といったものだ。
2. 完全性 電子化文書は紙の書類と違って、改ざんやコピー・消去といった作業が容易に行えてしまう。そこで企業は、電子化文書が事故や操作ミスで消えてしまうのを防止したり、改ざんや消去があったかどうかの事実を確認できる措置を施しておかなくてはならない。
3. 機密性 機密性を守るため、電子化文書には許可した人以外はアクセスできないようにする管理が必要になる。
4. 検索性 必要に応じて電子化文書をすぐに活用できるよう、文書をインデックスで検索して表示できるシステムを整備しておく必要がある。

この4要件については、全ての書類において満たさなければならないというわけではない。先ほど触れた内閣官房IT担当室による一覧表を見ても分かるとおり、ある書類では最も基本的な「見読性」だけを満たしていればいい。重要度の高いものについては、全ての要件を満たしている必要があるなど、書類の種類によって満たすべき要件は異なる。

また法令によって必要とされる要件も異なる。一つの書類が、複数の法令によって保存が義務づけられていて、法令ごとに要件が異なる場合は、より厳しい方の要件に合わせて保存しておく必要がある。

「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」一覧の一部

「内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室」の「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」を見ると、それぞれの書類について必要とされる技術要件について「〇」マークが記されている。書類の種類によって必要とされる要件は異なる。

e-文書法に対応してオフィスを効率化しよう

e-文書法に対応するためには、スキャナーや電子化したファイルを保存するサーバーなどの機器が必要となる。最近ではe-文書法に対応した設定をあらかじめ用意したスキャナーも出てきている。富士通から発売されている「FIシリーズ」(業務用)および「ScanSnap」(個人用)シリーズは、e-文書法に対応しており、要件に合った設定を一括で行うことができるようになっている。

富士通ドキュメントスキャナー「ScanSnap FI-IX500A」

写真は富士通から発売されているドキュメントスキャナー「ScanSnap FI-IX500A」。「e-文書モード」に切り替えてスキャンボタンを押すだけで、e-文書法が定める画質の条件を満たした取り込みが行える。

たのめーる:富士通 ドキュメントスキャナー「ScanSnap FI-IX500A」

また、e-文書法に対応した環境をいちから構築したいという場合は、さまざまな手間がかかるので、業者に発注して環境を構築するのも手だ。大塚商会の「e-文書法ソリューション」では、導入時から導入後までのプロセスをワンストップでサポートしてくれる。本格的にe-文書法への対応を進めたい企業は相談してみるといいだろう。

大塚商会の「e-文書法ソリューションの製品ラインアップ」

大塚商会の「e-文書法ソリューション」を利用すれば、企業のe-文書法への対応を細かくサポートしてくれるので安心だ

大塚商会「e-文書法ソリューションの製品ラインアップ」

テキスト/芝田隆広

企業のITセキュリティ講座