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シリーズ記事
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3 不足する投影図から形状を創造する
製品設計の過程で部品形状を考える場合、最初にある方向からの投影面のイメージを描き、続いてその他の方向から見たときの形状を考えていくことが一般的である。
0(ゼロ)ステップの目的であるポンチ絵を描くためには、自由に形状をイメージ(想像)できる“柔らか頭(思考の柔軟性)”が要求される。
今回は、形状を自ら創造することでさまざまな形状パターンの存在を知り、ユニークな形状を素早くイメージ(想像)できるように練習しよう。
まず、機械図面に用いる投影図の基本について説明しておこう。
投影図とは、立体形状をさまざまな方向から見た図を平面図形として表したものである。
投影図は、形状に変化がある場合、区切りを意味する外形線(実線)が描かれる。
投影図の考え方
また、立体図形を投影図として表す場合、日本では投影レイアウトは次のように配置する。このレイアウトを「第三角法」と呼ぶ。
投影図を描こうとする立体形状
第三角法による投影図のレイアウト
例えば、右側面図と平面図の2つの投影図だけが示されている状況で、この2つの投影図から正面図をイメージ(想像)してみよう。
ただし、条件として、すべての投影図にかくれ線(破線)は存在しない(描きたくても描けない)ものとする。
右側面図と平面図から正面図を創造する例
2つの投影図からイメージ(想像)できるものとして、下記の形状が考えられる。
正面図を解答欄に当てはめて記入してみると、右側面図と平面図との整合性があり、かつすべての投影図にかくれ線がないという条件も満たしていることがわかる。
イメージできた形状と、それを正面図として描いた例
しかし、この右側面図と平面図から想像できるのは、上記の形状一つだけだろうか?
もう少し頭を使うと、もっと違う形状をクリエイト(創造)することができるのである。
「形状に変化がある」=「平面の段差がある」以外に何が考えられるだろう?
そう、傾斜面や曲面も形状変化の一つといえるのである。
レベル3 不足する投影図から形状を創造する
下記に示す例題を参考にして、演習問題を解いてみよう。
レベル3 例題
右側面図と平面図が描かれた投影図から、解答案(1)以外にさらに違う形状を創造しよう。
条件として、すべての投影図にかくれ線(破線)は存在しない(描きたくても描けない)ものとする。
レベル3 例題解答
創造力を向上させるテクニックは、傾斜面と曲面をうまく使いこなせるかにある。
さらに、投影図のルールには、「線の優先」も決められている。形状として見える実線と同じ場所にかくれ線が重なる場合、実線を優先して描き、かくれ線は省略するというルールである。このルールを利用すると、下記のような形状も創造することができる。
※上記の解答例以外にも、解答は多数存在するので“柔らか頭”で、その他の形状を考えてみよう!
レベル3 演習
正面図と平面図が描かれた投影図から、考えられる形状を創造しよう。 条件として、すべての投影図にかくれ線(破線)は存在しない(描きたくても描けない)ものとする。
レベル3 演習解答例
投影図の情報が不足していると、形状を確定させることができない。
逆に考えると、不足する投影図からさまざまな形状を自由にクリエイト(創造)することができる。
つまり、部品設計など形状を考える過程で、初めから形状を決めて設計することも正解であるが、試行錯誤しながらさまざまな形状を考えることで、機能性や加工性を改善しながら設計することも正解といえる。
設計センスアップのポイント(3)
次の2つのポイントを抑えることで、形状の創造力アップを図ることができる。
- 平面だけにとらわれず、傾斜面や曲面を形状の候補として検討すること
- 形状の位置を変えたり姿勢を変えたりして組み合わせることが、ユニークなアイデアを生む
形状を創造することができれば、勘と経験でその部品がどうあるべきかが見えてくるものである。
次回は、複数の部品が組み合わさった平面の組立図から、ある部品の形状を抜き出すことで空間認識力をさらに鍛えることとしよう。
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