2024年 2月20日公開

トラブル解決! 情シスの現場

「Copilot」で変わる仕事術。AIと連携する新たなワークスタイルとは?

著者:一之瀬 隼(いちのせ しゅん)

「会社で業務効率化を求められているけど、そもそも効率化に取り組む時間がない……」そんな方の強力な味方となるのが、生成AI技術を利用した「Copilot for Microsoft 365(以下Copilot)」です。このサービスは、Microsoft 365 のアプリケーションと連携して、さまざまな業務において、高品質なコンテンツや資料づくりをサポートすることができます。では、具体的にどのような業務で Copilotを活用できるのでしょうか。

本記事では、Copilotの特長や使い方、活用事例などを詳しく解説します。

Copilot for Microsoft 365とは

仕事でパソコンを使っている方は、資料作成にWordやExcel、オンライン会議やチャットにTeamsなど、Microsoft 365のアプリケーションを使用している方が多いでしょう。Copilotは、Microsoft 365と連携する生成AIサービスで、2023年に登場しました。

このサービスは、OpenAI社のGPT-4を活用したAIツールで、Microsoft 365に含まれるさまざまなアプリケーションに組み込むことで、業務効率化や新たなアイデアの創出に役立ちます。

AIツールは扱うのが難しく感じるかもしれませんが、Copilotは簡単に利用することができます。すでに学習済みのモデルが組み込まれているため、特別な設定や操作は必要なく、自然な言葉で指示を出すだけで、AIがあなたの業務をサポートしてれるのです。

業務でのこんなお悩みは、Copilotで解決!

業務を進めている中で「この面倒な作業は、本当に自分がやらないといけないのかな…」「単純作業の繰り返しでミスが心配」など、気にかかるポイントがあるかもしれません。

どこの企業も人手不足の現状では、このような課題はなかなか解決しにくいといえます。
Copilotは、そんな業務のお困りごとを解決できるサービスです。以下に、利用シーンの具体例を紹介します。

メールの文面を作る時間がない!

有給休暇を取った後など、膨大なメールがたまっているであろうOutlookを開くのは気が重いもの。確認・返信に多くの時間を取られると、他の業務に支障が出ることもあります。

そんなときにCopilotを活用すれば、メールの文面を自動で作ってくれます。伝えたい内容を打ち込むだけでよく、文面の長さや書体なども簡単に調整できます。指示を出したら、あとは作成された文面を確認して返信するだけです。細かい言い回しに悩んで時間が経過してしまうこともないので、メール処理にかかる時間を大幅に削減できます。

まとまっていない資料を整理するのが手間!

Wordでレポートなどを作成する場合、参考資料を確認しながら情報を整理するのは簡単ではありません。複数の資料から必要な情報を抽出したり、見出しや体裁を考えたりするのは時間と労力がかかります。

しかしCopilotに資料に含めたい要素を入力すると、自動でわかりやすく整理した文章を作ってくれます。文章の長さも簡単に調整できますし、見出しの提案もしてくれるので、苦手意識がある人でもわかりやすい文章を作成することができます。

売上データを四半期ごとに整理するのが面倒!

例えば、Excelの売上データを整理して上司に報告したら「四半期ごとに整理して作り直してほしい」と言われたとします。時間がなくミスも許されない状況であるとき、Copilot を活用すればスムーズにまとめ直してくれるでしょう。

Copilotに集計したいデータや期間を入力すると、自動で必要な表やグラフを生成してくれます。追加の要望があっても、簡単にデータをまとめ直すことができます。

パワポのデザインセンスがない!

プレゼン資料は、内容だけでなく、デザインも重要です。見栄えの良い資料は、聞き手の印象や理解度に影響します。しかし、デザインに自信がない方も多いでしょう。

Copilotを使えば、伝えたい内容やページ数、関連する資料を共有するだけで、自動的にプレゼン資料を作成してくれます。Word文書の活用や写真、アニメーションを使った、見栄えのよい資料を作成できます。

Teamsでのオンライン会議、もっと精度高く実施するには……

オンライン会議で使用するTeamsでも、Copilotが活用できます。業務効率化で出席者が絞られる中、自分で議事進行も議事録作成もしないといけない状況だとすると、その両方を納得できるレベルで行うのはなかなか大変です。

Copilotには、会議中の会話を自動的にまとめる議事録作成のサポート機能や、会議準備としてTeamsでのチャットを要約し、会議に活用できる資料を提案する機能などがあります。これらの機能を利用することで、スムーズに会議を進行できるでしょう。

タスクが多すぎてパニックになりそう!

チャットは、気軽にやり取りできる一方で、情報が早く流れてしまうため、必要なタスクを見逃したり、忘れたりすることがあります。タスクが多すぎてパニックになることもあるかもしれません。

Copilotをチャットに活用すれば、自動的に必要なタスクを整理してくれるため、タスク管理の負担を軽減できます。

また、チャットに搭載されたAIがブレインストーミングの相手になってくれるため、自身でアイデアを煮詰める場合にも効果的です。

業務データを入力しても大丈夫! Copilot for Microsoft 365の強固なセキュリティ

Web検索で利用するAIツールには、業務データを入力しないように注意されている人も多いと思います。AIを活用しているCopilotに、業務データを気軽に入力しても大丈夫なのか、不安に感じる人もいるのではないでしょうか。

安心して活用するために、Copilotのセキュリティについて解説します。

GPT-4を活用するが、データは記録されない

Copilotでは、OpenAIのGPT-4を活用しています。OpenAIが展開する一般向けサービスでは、入力された情報をOpenAIが収集しているため、業務データを入力することは望ましくありません。

しかし、Copilotは一般向けのサービスとは異なり、入力されたデータがOpenAIのデータベースに記憶されない仕組みになっています。情報が漏洩する心配がないため、業務データを安心して入力できます。

自社のMicrosoft 365 テナント内で利用できる

Microsoft 365では「テナント」という単位でユーザーのアカウントを管理しています。テナントとは、Microsoft 365を利用する組織やグループのことです。

Copilotで活用したデータは、自社のテナント内でのみ共有され、利用することができます。Microsoft側に情報が漏洩することはありません。一般向けのサービスでは難しいAIの業務利用も、Copilotであれば安全に行えます。

もうAIなしでは働けない? Copilotを導入する流れ

以前から使用していたMicrosoft 365のアプリケーションを、より便利に活用できるようにサポートしてくれるCopilot。一度使えば、手放せないサービスになるでしょう。

Copilotを導入するには、以下のステップを踏む必要があります。

1. Copilotのアクセス範囲を設定する

Copilot内で、各テナントのアクセス範囲を設定します。社内で共有する情報には、すでに役職別などでアクセス権が設定されていることが多いので、それに合わせてアクセス範囲を設定します。

ここで適切なアクセス範囲を設定していないと、本来は共有すべきでない内部情報や機密情報が、社内で共有されてしまう可能性があるため注意が必要です。

2. Copilotを利用するアプリケーションやサービスを設定する

次に、どのアプリケーション・サービスでCopilotを活用するかを設定します。社内の方針で、特定のアプリケーションでCopilotを利用しないと決めている場合には、ここで除外設定する必要があります。

3. 従業員にライセンスを割り当て、利用を開始する

最後に、Copilotを利用できる従業員やグループにライセンスを割り当てます。これでCopilotの利用が可能となります。

まとめ

業務では必要だけど面倒なことや、自身が得意ではないことをサポートしてくれるCopilot。うまく活用できれば、業務効率を大幅に改善するだけでなく、新たなアイデアの創出にも活用できます。

Copilotに読み込ませる情報の共有も、社内に限定されアクセス範囲も設定できるため、セキュリティ面の心配もありません。Microsoft 365を利用しているのであれば、ぜひ積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

もし、Copilotの導入を検討していたり、導入時の流れに不安があったりする場合には、多数の支援経験と実績のある大塚商会までご相談ください。

著者紹介 : 一之瀬 隼

製造業でエンジニアとして働くライター。専門はロボット、自動車、標準化、業務効率化など。実際に企業で働いているからこそわかる「温度感」を大切に執筆している。

関連情報

ナビゲーションメニュー