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非課税となる経済的利益とは
福利厚生への支出が従業員に対する「給与」ではなく、「非課税となる経済的利益」とみなされるためには、次のような点に配慮する必要があります。
支出の目的 …… 従業員の福利厚生のための支出であること
支出の金額 …… 社会通念上の相当性、税法規定範囲内であること
支出基準 …… 社内規定、税法基準を満たしていること
支出対象者 …… 特定の従業員に限定されていないこと
以上の条件から逸脱すると、福利厚生という名目であっても、「現金支払いが伴わない給与」とみなされる場合があります。
さらに所得税法では、下記の従業員に対する経済的利益は非課税とされています。
商品の値引き販売
社員旅行
永年勤続記念品
従業員に対する社宅
ただし、これら従業員に対する経済的利益もまた、どんな場合でも非課税となるわけではありません。では、どんな場合に非課税となるのか、ここでは次の三つの代表的な経済的利益について紹介していきます(「従業員に対する社宅」については別の機会に取り上げます)。
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商品の値引き販売(従業員販売)
「社員販売」「従業員販売」などの名目で自社の取扱商品を従業員に値引き販売する制度は、多くの企業で見られます。こうした従業員に対する値引き販売が非課税とされるには、次の全ての要件を満たさなければなりません(所得税規則通達36-23)。
非課税の要件
販売価格が原価(仕入価格)以上で、通常の販売額のおおよそ70%以上であること
値引率が全従業員に対して一律であること(注)
値引き販売をする商品の数量は、一般消費者が家事のために通常消費すると認められる程度のものであること
(注): 従業員にはパートタイマーも含みます。また従業員の地位や勤続年数などに応じて差をつける場合は、全体として合理的なバランスが保たれる範囲内の格差でなければなりません。
例外事項
の要件については以下の例外があります。
【例外1:一般客への割引率も考慮して判断】
従業員への販売価格が通常の販売額の70%未満の場合でも、その商品が季節商品などで、例えば「在庫一掃セール」のようなかたちで、一般に販売する価格が値下げされているときは、一般客向け割引価格を基準に、従業員への割引価格が70%未満かどうかで判断します。
従業員割引の事例
下の例ではセール期間中の販売額が30%引きであることから、従業員割引が50%引きであっても、実質30%未満の割引率(1,000円÷1,400円≒71%)なので課税されないことになります。
【例外2:不動産など高額商品は対象外】
不動産業者が販売する家屋または土地のように、値引き販売による利益が極めて多額で、一般の消費者が自己の生活において通常消費するようなものでないものは福利厚生の範囲を超えるため、この取り扱いの対象とはされません。
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社員旅行(慰安旅行)
社員旅行(慰安旅行)も従業員に与えられる経済的利益と見られる場合があります。ただし、次の二つの要件を満たし、その金額が多額でなく、社会通念上、常識的な範囲内のものであれば、原則として、課税されることはありません。
非課税の要件
旅行期間が4泊5日(注1)以内であること
全従業員の50%以上が参加(注2)すること
(注1):海外旅行の場合は現地に4泊以内。
(注2):同じ日に従業員全員が休めないという理由で、何回かに分けて、または職場単位で社員旅行を行う場合は、それぞれの旅行で50%以上の参加者がなくてもトータルの参加者が50%以上であれば課税はされません。
以下、社員旅行についてよくある質問の回答を記します。
- 営業成績が優秀な従業員を抽選で旅行に招待する場合は?
- 抽選という方法はどの従業員にも平等なチャンスがあるように見えますが、抽選対象者となるためには所定の業績を挙げていなければなりません。従ってこの招待旅行は仕事で成果を出したこと、すなわち勤務の対価として受ける経済的利益と認められることから課税対象となります。
- 自己都合により参加しない従業員に旅費相当分の金銭を支給する場合は?
- 現金か旅行か従業員が選択できるということになると、福利厚生の趣旨から逸脱してしまいます。従って従業員に旅行代金分の金銭を支給した場合は給与とみなされます。この場合、参加した従業員に対しても課税されることになってしまうので要注意です。
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永年勤続記念品
勤続10年や勤続20年というふうに長期にわたり勤務する従業員を一定の節目で表彰し、記念品を授与する制度は多くの企業で設けられています。こうした趣旨で、旅行・観劇等に招待したり、記念品を支給したりする場合も、従業員が受ける経済的利益について課税されないための要件が定められています(所得税基本通達36-21)。
非課税の要件
次に掲げる要件のいずれにも該当する場合、従業員が受ける経済的利益については課税されません。
現金や商品券ではないこと(注1)
旅行(注2)、観劇等への招待、記念品の支給であること
各人が自由に選択できないこと
その利益の額が従業員の勤続年数に照らして社会通念上相当と認められること
その表彰が、概ね10年以上の勤務年数のものを対象としていること
表彰を受ける従業員については、おおむね5年以上の間隔を置いていること
(注1):市場への売却性、換金性があるもの、例えば金貨などは認められません。
(注2):旅行ギフト券を支給した場合は原則として課税されます。しかし、支給してから相当の期間内(おおむね1年程度)に旅行をし、その旅行の事実を確認できる書類を備えている場合は課税されません。
なお、当然ながら記念品を現物に換えて金銭で支給した場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与所得として課税対象となります。
以下、よくある質問についての回答を記します。
- カタログから自由に選択できる記念品は非課税?
- 本人が自由に記念品を選択できる場合は、自由に商品を購入できる金銭を支給するのと同様の効果を持つと考えられるため、その記念品の価格が給与として課税されることになります。
- 人間ドックなどの健診ギフト券を記念品にした場合は?
- 本人のみの利用に限定されるものでない場合でも、ギフト券の使用状況を把握・管理していれば課税はされません。
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