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2012年 9月 1日公開
【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与
【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
テキスト/梅原光彦 イラスト/ 今井ヨージ
育児や介護で会社を休む場合、雇用保険から「休業給付」(雇用継続給付)が支給されます。今回は、その手続きや注意点など、育児&介護休業給付の基本をご紹介します。また、社員の関心が高い「出産手当金」「出産一時金(出産育児一時金)」についても一緒に確認しておきましょう。
「営業成績トップの出来田さん、出産で長期休暇や。戦力ダウンやなぁ、トホホ」と嘆く社長に、「しっかり子育てに励んでもろて、復帰してもらお」と諭す経理ママ。「ええっと、たしか育児休業の場合、どっかから給付金が出るんやったなあ」……。そこへもの知りの現代知恵蔵君が現れて解説を始めた。「社員さんは雇用保険の被保険者ですからね……」
目次
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いずれも雇用保険の制度です。社員、すなわち雇用保険の被保険者が育児や介護のために会社を一時休業する場合、育児休業給付や介護休業給付が受けられます。
社員として働いている人が育児休暇をとり、その休業中の給料が常時の8割未満にカットされた場合、雇用保険からもらえるのが「育児休業給付金」です。
育児休業給付は社員(ママ・パパ)が育児のために休業し、そのあいだ会社からの賃金が減額されるか、もしくは支給されない場合に受けられます。もちろん、雇用保険の保険料を支払っていることが前提です。詳しい条件は次の通りです。
上の受給条件をクリアしていれば、契約社員や派遣社員、パートでも対象になります。ただし、「期間雇用者」の場合、育児休業開始時に1年以上同じ会社で働いていて、子どもが1歳になる日を超えて、引き続き雇用される見込みがあることが条件です。
育児休業を取らずに職場復帰をする社員や、育児休業が始まる時点で育児休業終了後に会社を辞める予定の社員は対象外。また、育休中でもお給料が8割以上出る社員ももらえません。
育児休業給付額の支給額は、休業開始時賃金月額(注2)の5割。これを、通常は2カ月ごとに受け取れます。
もらえる額 = 休業前の給与の50% × 育休月数
例:休業前の賃金月額20万円の人が10カ月育休をとった場合<育児休業給付金>20万円×0.5×10カ月=100万円
ただし、休業中に給料が出る人は給料の金額によって給付金が制限されます。
(休業中の賃金と給付金の合算金額が休業開始時賃金月額の80%に達するまで)
休業中に支払われた賃金が30%の場合、給付金の50%と合わせて合計80%となるので、これが減額されない最高限度額となります。さらに、支給された賃金が30%を超えると、給付金は減額され、80%以上となったときには、給付金は不支給となります。
休業開始日から養育する子どもが1歳に達する前の日まで。
ママ(妻)の代わりにパパ(夫)が育児休業を取るケースでも、給付金は支給されます。妻は産後休業期間(注3)と合わせて1年間が上限です。妻だけでなく夫も育休をとる場合、通常でも1歳2カ月まで取得可能になりました。
保育所が定員オーバーで入所待ちだったり、配偶者が病気だったり、亡くなったなどの「特別な事情」がある場合には、それを証明する書類を添付してハローワークに申請すれば、1歳6カ月に達するまで延長できます。期間を延長しても、育児休業給付金を受給できます。
申請にあたっては、まず事業主が被保険者の受給資格確認の手続きをします。被保険者が育児休業を開始した日の翌日から10日以内に所轄のハローワークで手続きをすることになっています。支給申請手続きを事業主が行う場合は、受給資格確認手続きと同時にできます。
申請に必要な書類
注意!給付金の支給申請手続きは、2カ月ごとに、所定の「育児休業給付金支給申請書」に賃金台帳、出勤簿などを添えて、事業所を管轄するハローワークに提出します。期限(注4)を過ぎると原則として支給を受けられなくなるので注意が必要です。
上記1、2、3の制度は、2012年7月1日より従業員数100人以下の企業でも義務化となりました。
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介護休業給付は、労働者が介護休業をとりやすくし、休業後円滑に職場復帰できることを目的とした制度です。
家族を介護するための休業をした場合に支払われます。詳しい条件は以下の通りです。
ケガや病気、身体的あるいは精神的障害で、2週間以上常に介護が必要な人です。具体的には、
など、雇用保険の加入者の親族に介護が必要なときとなっています。
65歳以上の高年齢継続被保険者になってから介護を始めた人や、介護休業を始めるときに、介護休業終了後に退職する予定のある人は対象外です。
介護休業給付の各支給対象期間(1カ月)ごとの支給額は、原則として休業開始時点の賃金月額(注6)の40%です。この金額と各支給対象期間中の賃金との合計額が、賃金月額の80%を超えるときには、超えた分だけ減額されて支給されます(注7)。
1回の介護休業期間から最長3カ月間93日にわたり、支給されます。つまり、何回かに分けて介護休業をとってもよく、その合計が93日間ということです。
介護休業をとった社員(被保険者)がその期間の初日と末日とする日を明らかにして事業主に申し出を行います。事業主は、申し出を受けたら「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」と「介護休業給付金支給申請書」を所轄のハローワークに提出します。添付書類として戸籍謄本などが必要な場合があります。
社員の育児休業期間中は、社会保険料が免除される制度があります。社会保険(健康保険および厚生年金保険)加入者が、
を取った場合には、実際にこれらの育児休業等を開始した日の属する月から育児休業等が終了する日の属する月の前月まで、健康保険料および厚生年金保険料が免除になります。
申請は、事業主が行います。上記の期間ごと(注8)に、年金事務所(旧社会保険事務所)、健康保険組合または共済組合に、保険料免除の申し出をします。
法律で明確に社会保険料の免除が規定されているのは、育児休業期間のみです。介護休業中は育児休業とは違い、健康保険や年金の保険料は免除されないので注意を。
育児・介護休業中は賃金の支払いがあれば、その分の所得税は納付しなければなりません。もちろん、無給の場合には所得税はかかりません。なお、育児休業給付金、介護休業給付金については非課税とされています。
出産に関して最も関心が高いのは、健康保険による「出産手当金」「出産一時金」です。育児休業給付と同様の金銭給付なので、社員からの問い合わせが多いというのが実情です。
健康保険に加入している社員がママになったときにもらえる手当です(注9)。概要は次の通りです。
2007年4月より制度が変わり、退職後6カ月以内に出産したママも、健康保険を任意継続したママも給付対象外になりました。しかし、加入先によってはもらえる可能性があるので問い合わせるとよいでしょう。
賃金月額から割り出した日給×98日分(注10)
健康保険の加入先
出産手当金の請求期限は、会社を産休で休んだ翌日から2年以内と定められています。
「健康保険出産手当金請求書」に必要事項を記入(注11)して提出します。
健康保険に加入するか、または健康保険加入者の被扶養者になっていて、妊娠4カ月以上で出産した人は、子ども1人につき42万円(注12)が受け取れます。勤務先の健康保険によって、あるいは国民健康保険でも住んでいる自治体によっては、「付加給付」がついて給付額が42万円を超える場合もあります。
また、生まれた赤ちゃんが双子なら2倍の84万円(注13)を受け取ることができ、残念なことに妊娠85日以上で死産や流産した場合でも支給対象になります。
出産一時金は、まず、出産した女性が働いていて、自分で健康保険や国民健康保険に加入している場合が対象となります。また、出産した女性が夫の健康保険の被扶養配偶者になっている場合や、何らかの事情で親の健康保険の被扶養者になっているケースでも対象になります。
専業主婦をしている妻も仕事を続ける妻も対象になりますが、退職した場合でも、それまで1年以上健康保険に加入し、退職後6ヶ月以内に出産したときは、それまで加入していた健康保険の機関に出産一時金を請求することもできます。
出産一時金は、対象者への直接払いが原則ですが、病院へ直接支払われる「受取代理制度」が増えています。この制度はほとんどの病院で利用することができます。もちろん制度を利用するかどうかは妊婦の側で決めることになっています。当然ながら、実際にかかった分娩・入院費が42万円を超えた場合は、差額分を直接、病院に支払い、逆に、42万円より安く済んだ場合は、差額分を振り込んでもらうことになります。
会社員や公務員、退職後に健康保険の任意継続をした人は、勤務先の健康保険組合に申請します。配偶者が会社員・公務員で、その健康保険の扶養になっていた場合は、配偶者の職場の総務など担当部署か、健保・共済組合の窓口に申請します。
その他、事業主(使用者)には、深夜労働を禁じるなど、産前・産後・育児休業中の労働者を守るためのさまざまな規定が法律に定められています。参考のため、以下に紹介します。
以上、育児・介護休業法における該当労働者に関しては、「当該事業主に雇用された期間が1年に満たない労働者は除く」などの制限規定がある場合があります。
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