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税務調査とは
税務調査とは、会社の税務申告が正しいかどうかをチェックするために行われる調査のことです。
税務調査が入る頻度は決まっていません。10年に1度の場合もあれば、数年に1度の場合もあり、会社によって、地域によって異なるとしか言えません。税務署が何かの情報を得て調査に入る場合もあれば、ほかにターゲットとなる調査対象企業があって、その調査の裏付け情報を得るためにターゲット企業の取引先に入る場合もあります。
また、3~5年に1回といった頻度で、定期的に行われる調査もあります。従って調査が入るからといって悪質な不正行為を疑われているということはありません。
税務調査の流れ
税務調査は次のような流れで進みます。
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事前通知
調査に当たっては事前通知のある場合、ない場合があります。なお、事前通知は原則として電話により口頭で行うこととなっています。
事前通知がある場合
【通知は何日前?】
調査の何日くらい前に通知されるかについては特に規定はありません。通常であれば2~3週間前に電話で連絡が入ります。指定された日程の都合が悪く、正当な理由があるときは、もちろん延期等の調整は可能です。
【通知を受けるのは誰?】
税務代理人(税理士等)に委任していない場合
会社(納税者)に通知されます。
税務代理人(税理士等)に委任している場合
税務代理人に通知されます。
会社と税務代理人との間で事前の同意がある場合には、「税務代理権限証書」を提出している税務代理人に事前通知すれば足りるとされています(注)。ただし、税務代理人が税務署に提出する税務代理権限証書に、会社側の事前同意がある旨を記載しておかなければなりません。なお、この同意が記載されていない場合は、会社と税理士等の双方に事前通知が行われます。
注:平成26年7月1日以後に行う事前通知について、このような手順となりました。
事前通知がない場合
税務署から事前の通知がなく、突然の調査が入るケースがあります。次のような場合です。
申告内容、過去の調査結果、事業内容などから、事前通知をすると、違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準または税額等の把握が困難になる恐れがある場合
その他、調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあると判断した場合
現金取引(現金商売)をしている飲食店等や過去に脱税を行った法人、社員・関係者等から通報があった場合などは突然、実地調査が入るケースがあります。
事前通知の内容とは
実地の調査を行う旨、調査を開始する日時・場所や調査の対象となる税目・課税期間、調査の目的などを通知します。
調査の場所は本社とは限らず、支店や工場などが指定される場合もあります。
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事前準備
税務署から調査対象になる期間が伝えられます。
従って、事前通知された調査対象期間(通常は3年間)の資料を整理し、税務調査までにそろえておきましょう。
一般的には下記の資料が求められます。
準備書類チェックリスト
- 総勘定元帳
- 補助元帳
- 証憑(会社が受領した請求書および領収書)
- 会社が発行した請求書
- 会社が発行した領収書の控え(耳)
- 会社が発行した手形および小切手の控え(耳)
- 預金通帳
- 現金預金出納帳
- 賃金台帳および年末調整書類
- 棚卸明細表
- 出張手当等の経理規定
- 会社のパンフレットおよび組織図
- 販売契約書、賃貸借契約書、稟議書
- 議事録(株主総会や取締役会等の議事録)
- 見積書、納品書
- タイムカードまたは勤怠管理表
- その他重要だと思われる書類
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調査当日
調査日程
通常の中小法人であれば調査は原則2日間で行います。もちろん企業規模や個々の事情等により調査期間が長引くこともあります。
一般的なスケジュール(想定)
以下に一般的なスケジュールを紹介します。おおむねこのような調子で調査が進行するというモデルケースですので、個別の事例により、あるいは地域により、異なる展開も多々あります。
【1日目】
午前10時 税務調査官が来社
2名の調査官(たとえば、ベテランと新人)が来社します。
休憩時間を除いて終日、インタビューと書類等のチェックを粛々と行います。
午前11時55分~午後1時 食事休憩
調査官は1時間の食事休憩を取り、夕方まで調査を続けます。
公務なので食事等にことさら気を使う必要はありません。
【2日目】
1日目と同様、午前10時から夕方まで続けて調査を行います。
夕方、調査が終了したら、調査官からその結果が口頭で伝えられます。そのとき、指摘事項がある場合は修正申告するよう求められます。また、調査当日に必要な資料がそろっていなかった場合は後日提出するよう求められます。→「調査が終わったら」の項参照
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調査の実際
税務調査は実際どのように行われるのでしょうか。大きく分けると調査官によるインタビューと書類チェックの二つ。その中身とは……。
世間話から聴取は始まっている
調査官との会話はよくある世間話から始まります。調査官はごく一般の天候の話題などから入って、そこから少しずつ話を広げていき、社長の性格や趣味、家族構成、プライベートでの行動パターン、社内の人間関係などを徐々に把握していきます。ここで収集した情報は後の調査内容と照らし合わせて矛盾がないかなど検討するための判断材料にされます。
たとえば、聞き出した答えから、こんな類推を働かせている場合も……。
- 社長は○○高校の出身 → ○○高校への寄付金は会社から出しているのでは?
- 妻は毎日家事と趣味で忙しい → 妻に高額な役員報酬を支払っているのは変?
- ○○県に別荘がある → 経費にされている○○県での領収書は個人で使った費用かも?
税務調査のハイライトはインタビュー!?
次いで社長や関係者へのインタビューが始まります。
次のようなインタビュー項目から調査官は多くの情報を収集していきます。
【一般的なインタビュー項目】
- 会社設立趣旨
- 企業概要(パンフレットおよび組織図を見ながら)
- それぞれの担当者の役割
- 代表取締役と他の担当者との関係
- 取引先および仕入先の開拓の方法
- 代表取締役の前職
以上の会話の中から、調査官は取引の流れ、会社の中で主だった人(責任者)は誰と誰なのか、経費を使える権限を持っているのは誰か、誰がどの部署でどんな役割を果たしているのかなどを聞き出していきます。
これらの基本的な質問は数年後に再調査があったとしても、また同じように繰り返されます。調査官も変われば、会社側の状況も変わるからです。
場合によっては、その後すぐに営業担当者等にインタビューをする場合があります。一般社員の場合は事前の心構えや打ち合わせなどができていないことが多く、事実をありのままに聞き出せる可能性が高いからです。
実印等のチェック
通帳や現金の保管場所には重要な情報が隠れているもの。雑然とした保管状態であれば、丼勘定やいい加減な会計処理をやっている印象を与えます。調査官にとって、これらは金銭や重要書類などの管理について、その事業者がどのような姿勢で臨んでいるかを知るための大きなヒントとなります。
このため、インタビューが終わった後、調査官は以下の場所をチェックしに行くことがあります。
たとえば、代表取締役の実印の保管場所に、それ以外の人の印鑑が入っている場合があります。調査官はそれぞれの印影と重要書類にあった印影を見て、推理を働かせます。○○部長の印鑑を社長が保管していたのであれば、稟議書にあった○○部長の押印は名目上で、実際は社長が押しているのではないか……といったふうに。
パソコンのデスクトップも要注意
また、まれにですが、代表取締役や経理担当者のデスクの引き出し、パソコンのデスクトップ、代表取締役の個人通帳等をチェックしたいと、調査官から求められることがあります。これらは個人情報ではありますが、その必要性と事業関係性の説明を受けたうえで、それが合理的であれば、税務署の権限である質問検査権等の範囲内になるので、開示を拒むのは難しいと言えるでしょう。
ただ、これらのチェックはそれほど念入りにされるわけではありません。パッと見て不審なファイルや物品がないかどうかを確認する程度です。
書類等の確認
事前に準備しておいた書類を調査官がチェックしていきます。途中で質問が出ることもあるので、会社側または担当税理士が立ち会うことになります。
調査官は書類をチェックしながら付箋を貼り、必要箇所をコピーし、持ち帰ることがあります。
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調査が終わったら
税務調査の終盤に調査官から指摘内容のまとめがあります。
指摘事項がない場合
調査官から指摘事項がなければ、「更正決定等をすべきと認められない」旨の通知書面を受け取り、これで税務調査は終了となります。
指摘事項がある場合
指摘内容に納得がいく場合は、「修正申告書」を提出することになります。逆に納得できない場合にはその旨を調査官に申し述べ、税務署長が「更生」の処分を行うことになります。
以上、税務調査の流れを大まかに紹介しました。
では、調査ではどんなポイントが問題視されるのか、それに対してどんな対応策を取ればよいか、また修正申告についてはどのような手続きを行うのか……などなど具体論については次号以降であらためて説明いたします。
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