2017年 2月 1日公開

【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与

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「ソフトウェアのライセンス管理について知りたい!」の巻

テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ

会社のパソコンで使うオフィス・表計算ソフトなど、これらソフトウェアライセンス管理につきものの著作権について、基本的な知識を説明します。見落としがちな不正使用に関する問題は、軽く考えていると重大な結果を招きかねません。まずは基本的な知識を理解して、しっかりしたソフトウェア管理を心掛けましょう。

「ソフトウェアのライセンス管理について知りたい!」の巻

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ソフトウェアの不正コピーとは

会社などで組織的にソフトウェアを使用する場合、不正コピーなどの問題を起こさないために社内ではどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。まずは基本的な知識からご紹介します。

ソフトウェアとは

ソフトウェアとは、オフィスソフト、画像処理ソフト、CAD(コンピューターによる設計)ソフト、会計ソフトなどに代表されるコンピュータープログラムのことを言います。ユーザーはこれをパソコンなどのハードウェア(以下、パソコンとします)にインストール(コピー)して使用します。

著作権とライセンス

ソフトウェアの著作者であるソフトウェアメーカーには、ソフトウェアのインストールを許諾するかどうか、許諾するとしてパソコン何台分までインストールを許諾するかを決める権利(著作権の一つである複製権)があります。従って、ユーザーがソフトウェアをインストールして使う場合には、あらかじめソフトウェアメーカーの許諾(ライセンス)が必要となります。

不正コピーとは?

ファイル共有ソフトなどを介してソフトウェアを非正規に入手してインストールした場合はもちろんですが、正規に購入した場合でも、ソフトウェアメーカーがあらかじめ許諾したインストール可能台数を超えてインストールすれば、それは不正コピー、すなわち著作権・複製権侵害となります(注)。

(注)世界的な著作権保護団体(BSA:The Software Alliance)の調査によると、2015年、日本国内でパソコンにインストールされたソフトウェアの不正コピー割合は18%、被害総額は約1130億円にも上ります。

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不正コピーが起きる背景

不正コピーは意図して行われるケースとそうでないケースとがあります。「意図して」というのは論外ですが、知らずに不正コピーしてしまう場合についても注意が必要です。

意図的な不正コピー

ソフトウェアの正規ライセンス料を節約したいという理由で、意図的な不正コピーが行われます。不正コピーが著作権法違反であることを理解し、意識を改める必要があります(詳細は後述)。

意図的でない不正コピー

ソフトウェアのライセンス管理が不十分なため、知らないうちに不正コピーをしてしまっていたというケースも多々あります。ライセンス管理については後ほど詳しく説明します。

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著作権法に違反したときの罰則は?

不正コピーで著作権法違反が発覚した場合、刑事・民事の両面で責任を問われることになります。

刑事罰の対象に

著作権法では、会社については3億円以下の罰金、代表者や従業員については10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(または懲役と罰金の両方)と定められています。

民事訴訟の対象に

刑事罰とは別に、以下のようにソフトウェアメーカーから損害賠償を請求される可能性があります。

  • 本来払うべき正規ライセンス料相当額
  • その支払いが遅れたことによる遅延損害金の支払い
  • 正規ライセンス料に一定倍率を乗じた「損害賠償金」の支払い
  • 裁判になれば弁護士費用等の訴訟コスト

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ソフトウェアのライセンス管理

ライセンス管理とは

通常、ソフトウェアを正規購入した場合、ライセンスごとにプロダクトキー(注)が発行されます。このプロダクトキーの数と、社内のパソコンにインストールされているソフトウェアの種類・数とが合致しているか、しっかり確認できる体制をつくり、定期的に確認することを「ライセンス管理」といいます。管理が不十分だと、既に社内の他のパソコンでインストール済みにもかかわらず、うっかり別のパソコンにインストールしてしまうといった不正コピーを招いてしまいます。

(注)メーカーがソフトウェアに付けるライセンス認証キー。メーカーによってはシリアル番号とも言います。パッケージやシールなどに英数字で印字されています。

ライセンス管理の基本

まずは社内のパソコンにインストールされているソフトウェアの種類・数を確認し、これに対応するプロダクトキーが全てそろっているかどうか(プロダクトキーを紛失した場合には、購入時の発注書や領収書など代わりになるような資料がないか)も確認します。そのうえで全てを台帳に記入し、管理します。その後も棚卸しに基づいて台帳の情報を定期的に確認・更新していきます。当然、これらの作業を推進するライセンス管理の責任者を定めておく必要があります。

ソフトウェアの正規使用の要はライセンス管理

ソフトウェアが不正に使用されれば、経営者の個人責任が問われる場合もあります。不正コピー問題は会社にとっても経営者にとっても重大なリスクだけに対策は必ず行わなければなりません。ソフトウェアの正規使用の要となるのがライセンス管理です。

【ライセンス管理チェックリスト】

  • どこに何台のパソコンがあるのか?
  • どのパソコンにどの種類のソフトウェアがいくつインストールされているか?
  • 必要なライセンスを保有しているか?
  • ライセンスを保有していることを証明できる資料はあるか?
  • 台帳は整備されているか?
  • 新しいソフトウェアをインストールした場合の情報更新手続きは整っているか?
  • ソフトウェア管理責任者を定めているか?

今後も、このような適切なライセンス管理をすることで不正コピーを未然に防止することは企業にとってますます重要になるでしょう。

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