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「働き方改革」とは
「働き方改革」とは、効率よく働くことで生産性も上がる、という一連の取り組みのことを指しています。政府はこの働き方改革を「一億総活躍プラン実現のための最重要課題」として位置付け、平成28年9月に「働き方改革実現推進室」を発足させました。これにより改革の取り組みが本格的にスタートしています。
政府が働き方改革を進めている主な理由は次の三つです。
- 日本の人口、特に労働力人口が継続して減少していること
- 日本の長時間労働がなかなか改善されていないこと
- 政府が奨励しているダイバーシティー(多様性)マネジメントや生産性向上が働き方改革と直接的につながっていること
国内の労働力人口が減っていく中で、長時間労働や残業などの慣習が日本経済の足を引っ張り、生産性低下の原因になっていることから、働き方改革に乗り出したということです。
改革に向けてさまざまな取り組みが検討されていますが、要は仕事の無駄や長時間労働をなくすこと。そうすれば企業の生産効率が上がり、労働者は出産・子育て・介護といったプライベートと仕事との両立(ワークライフバランスの実現)が可能になり、多様な人材が活躍できるということです。働き方改革が成功すれば企業にとっても労働者にとってもwin-winになるはずです。
今後は働き方改革に関連して、いくつかの法改正が行われていく予定です。企業にも何らかの「義務付け」がなされるかもしれません。いずれにしても多くの産業、企業、職場で、「人手不足」が課題となっています。今すぐとまではいかなくても、できるところから手をつけていくことをお勧めしたいと思います。
次に、働き方改革に登場する重要なキーワードについて解説します。
まずは「同一労働、同一賃金」から。
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「同一労働、同一賃金」とは
「同一労働、同一賃金」とは
文字どおり、同じような仕事に対しては同等の賃金を支払うことです。この一見当たり前のことが実現していませんでした。その結果、非正規労働者と正規社員との間に大きな賃金格差が生じ、そのことが日本の賃金水準全体を上がりにくくしている要因ともなっていると指摘されています。このため政府は「格差」の是正を図るべく「同一労働、同一賃金」の実現を目指しています。
政府が定めたガイドライン案
政府は、平成28年12月20日に「同一労働同一賃金ガイドライン案」を策定し、今後、このガイドライン案を基に法的な整備をしていくこととしています。
参照:首相官邸「同一労働同一賃金ガイドライン案」(PDF)
なお、働き方改革の実現に向けては、効率的に働いてしっかり休むことができる制度づくりが求められます。次に「働き方」「休み方」改善のための制度の中から「フレックスタイム制」「勤務間インターバル制度」「テレワーク」について解説します。
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「フレックスタイム制」とは
「フレックスタイム制」とは
1カ月以内の一定期間(清算期間)に定められた総労働時間に達することを条件に、1日1日の始業、終業時刻については、労働者の決定に委ねる制度です。
つまり、労働者が働きたい時間に出社して、帰りたい時間に帰ることにより、効率的な労働時間の配分を可能とする制度だと言えます。従って労働時間を効率的に配分することを対象となる労働者に認識させることが導入のポイントとなります。
時間外労働のカウントについては
1日1日の労働時間ではカウントをせずに、清算期間における日々の労働時間を積み重ねた結果、総労働時間が「清算期間中の定められた総労働時間」を超えた時間に対して割増賃金を支払うこととなります。
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「勤務間インターバル制度」とは
「勤務間インターバル制度」とは
勤務間インターバル制度は、終業時間と翌日の始業時間の間に一定のインターバル(休息時間)を設けるものです。例えば、休息時間が11時間の場合、残業で夜23時に帰社したとすれば、仮に始業時間が朝9時だったとしても翌日の10時まで出社は免除されます。また、9時~10時の間の賃金もカットされません。
過重労働の防止に
業務上やむを得ず長時間にわたる残業が必要な日はしっかり業務を行ってもらい、翌日しっかり「休息」をとってから出社することで、労働者の生活時間や睡眠時間の確保が可能となります。過重労働防止策の一つとして注目されていて、社員のワークライフバランスを進めていくために導入する企業も増えています。
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「テレワーク」とは
「テレワーク」とは
「tele = 離れた所」と「work = 働く」を合わせた造語で、ICT(注)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
(注)Information and Communication Technologyの略、情報通信技術のこと。
テレワークは時間や空間の制約にとらわれることなく働くことができるため、子育てや介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となるものです。しかしながら、テレワークの利用者は、いまだ極めて少ない状況にあります。
政府は、現在在宅勤務に限定されているガイドラインを、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務なども含めた「テレワークガイドライン」へと改め、これを策定することで、その普及を加速させていくとしています。
テレワークの導入効果
テレワークの導入に二の足を踏む中堅・中小企業は多いかもしれません。しかし、テレワークの効果としては、在籍している労働者の「離職防止策」といった面や遠隔地に住む社員、あるいは高齢者や障がい者など通勤が難しいといった理由でこれまで働けなかった人、あるいは働きづらかった人に対する「雇用創出対策」といった面があると言われています。これらの効果から、中堅・中小企業においても導入を検討するメリットは大きいと言えるでしょう。
テレワーク実施によって得られた/得られつつある成果(雇用面)(注)
(注)厚生労働省「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック P17 図表I-3-3 テレワーク実施によって得られた/得られつつある成果(雇用面)」を基に作図。
参照:厚生労働省「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック」(PDF)
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「休み方」を見直す
働き方改革には「働き方」を変えるというだけでなく、「休み方」を見直すというアプローチもあります。
「休み方」の見直しとして以下の制度が考えられます。
年次有給休暇の計画付与の活用 | GWや夏季休暇、年末年始、または飛び石休暇の間を埋めるなど、業務繁閑等を踏まえて年次有給休暇を計画的に付与する。 |
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誕生日等記念日休暇制度 | 労働者が誕生日や記念日などの決まった日や申告した日を有給休暇として付与する制度。 |
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リフレッシュ等休暇制度 | 勤続年数に応じて付与するリフレッシュのための休暇やリカレント教育(労働者が必要に応じて学校等で再教育を受けること)を目的とする休暇制度。 |
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年次有給休暇の積立制度 | 時効により消滅する年次有給休暇を育児や介護、自己啓発等の一定の目的に絞って利用できる休暇として積み立てる制度。 |
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なぜ今「働き方改革」なのか
「人材確保」としての意義
昨今、多くの企業において「人材不足」が課題となっています。企業にとっては「働き方改革」に手をつけることで、労働者の満足度が向上し、「離職防止」につながること、また将来の労働者候補に働きやすさをアピールすることで「人材確保」につながるというメリットがあります。確かに待遇改善やテレワーク導入のためのコストはかかりますが、メリットがあることを理解して、働き方改革に向けた一歩を、やれるところから検討してみたらどうでしょうか。「労働者に選ばれ続ける企業」でなければ、継続的な発展はないと言えます。
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