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育児・介護休業法の基本
育児・介護休業法とは
育児・介護休業法は、労働者が仕事と育児・介護を両立できるよう支援するための法律です。これによって企業は、労働者から申請があった場合、雇用関係を継続したまま一定期間の育児・介護休暇を与えるよう義務付けられています。また、休業期間中は、雇用保険から育児休業給付金、介護休業給付金が支給されます。
改正育児・介護休業法について
育児・介護休業法は、平成29年に2度の改正法施行が行われています。第1回は平成29年1月1日から施行(平成28年3月31日に成立)、第2回は平成29年10月1日から施行(同年3月31日に成立)されました。
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第1回 改正育児・介護休業法(平成29年1月1日施行)
平成29年1月1日から施行されている改正育児・介護休業法では、介護休業・育児休業が取りやすくなり、契約社員など有期契約労働者にも配慮された内容となっています。
改正内容は次の8項目となっています。
[改正8項目]
1. 介護休業の分割取得ができる
介護休業は、対象家族一人につき「通算93日」を上限として「3回までの分割取得」が可能に
改正前:同一の要介護状態ごとに原則1回
2. 介護休暇が半日単位で取れる
介護休暇は、「半日(所定労働時間の1/2)単位」での取得が可能に
改正前:介護休暇は、「1日単位」で取得
3. 介護のための所定労働時間の短縮
介護のための所定労働時間の短縮措置等は、「利用開始から3年」の間に「2回以上」の利用が可能に(介護休業の93日とは通算しない)
改正前:介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能
4. 残業の免除が申請できる
要介護状態の対象家族を介護する場合、「介護期間中の残業免除」を申請できる
改正前:免除制度なし
5. 有期雇用契約労働者の育児休業取得要件が緩和
「申出時点で過去1年以上継続し雇用されていること」と「子が1歳6カ月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと」の2点に緩和
改正前:「申出時点で過去1年以上継続し雇用されていること」(→継続)と「子が1歳になったあとも雇用継続の見込みがあること」(→削除)と「子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかでないこと」の3点
6. 子の看護休暇が半日単位で取れる
子の看護休暇は、「半日(所定労働時間の1/2)単位」での取得が可能に
改正前:子の看護休暇は「1日単位」で取得
7. 育児休業等の対象となる子の範囲拡大
介護休業の対象となる家族の範囲要件が緩和
特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子なども対象に
改正前:配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫(→「同居かつ扶養している」の要件は削除)
8. マタハラ・パタハラなどの防止措置を新設
事業主に対し、上司や同僚、派遣先からのマタハラ・パタハラ防止措置を義務付ける
改正前:防止措置義務なし
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第2回 改正育児・介護休業法(平成29年10月1日施行)
第1回改正は介護休業制度の改正が中心となっていましたが、第2回改正は育児休業についての改正となっています。第2回改正のポイントは「育休最長2年」ということになります。
[改正ポイント] 育児休業の延長が最長2年まで可能に
育児休業の期間は、原則「1歳まで」ですが、保育所等に入所できないというような事情がある場合には従来は「1歳6カ月」までの延長が認められていました。けれども、保育所への入所が一般的に年度初めであることから、年度末までの期間は、保育所に預けられず、かつ育休も取得できないことになってしまいます。このため今回の改正では「2歳」までの再延長が認められることになりました。もちろん、育児休業期間の延長に合わせ、育児休業給付金の給付期間も延長されます。
<改正の内容>
加えられた二つの努力義務
第2回改正では、事業者に対して二つの努力義務が掲げられたことにも注意しておきましょう。
【努力義務 1】
出産予定者やその配偶者に対し、育児休業関連の諸制度等を周知する
育児休業を取得しなかった理由として「取得しづらい雰囲気だった」という回答が一定数あったことから、事業主には、労働者に個別に育児休業・介護休業等についての定めを周知するよう努める義務が課せられることになりました。
周知すべき内容
- 本人、もしくは配偶者の妊娠・出産に際してどんな制度が利用できるのか
- 休業中や休業後の待遇や労働条件がどうなるのか
- パパ・ママ育休プラス等の制度について
【努力義務 2】
育児を目的とする休暇制度の導入を促進する
特に男性の育児参加を促進するため設けられました。未就学児を抱えて働く労働者の子育て支援として、育児のために使える休暇制度(注)の創設が、事業主の努力義務となります。例えば、配偶者出産休暇、入園式等の行事参加を含めた育児にも使える多目的休暇などがこれに当たります。
(注)子の看護休暇や年次有給休暇といった既存の法定休暇とは別に与えられるものでなくてはなりません。
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改正育児・介護休業法への対応
今年(平成29年)は育児・介護休業法の改正が続き、改正項目も多いため、事業者としては何を優先して、どんな対応をいつまでにすべきなのか、見えにくくなっている面もあります。
特に中堅・中小企業の場合、改正法に対応することで、経費の面はもちろんのこと、職場に影響が出たり、ほかの社員の負担が増えたりといった不安材料も少なくありません。けれども、会社として仕事と育児・介護の両立支援策を整えていかないと十分な人材が確保できず、人手不足の解消につながらないことも事実です。
また、「介護離職」という言葉も現実味を帯びてきています。厚生労働省では、「介護離職ゼロ」を実現するためのポータルサイトを立ち上げ、介護離職を予防するための取り組みを紹介しています。こうしたサイトを参考にするのもよいでしょう。
厚生労働省「介護離職ゼロ ポータルサイト」
いずれにせよ、両改正法に対応した「育児・介護休業規程」を整える必要があるのは間違いありません。さらには、個々の育児・介護休業取得者と密に情報交換等が行える体制を整える必要もあります。努力義務となっている「育児休業関連の諸制度の周知」については、社内における制度の概要や手続きのタイミング、休業中、復職後の処遇についてといったことをまとめたパンフレットなどを作成・配布するのも一つの方法です。
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