2017年11月14日公開

【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与

【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。
最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

「いまさら聞けない! 年末調整の基礎の基礎」の巻

テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ

  • 年末調整
  • 保険料控除証明書
  • 経理

一年も残り少なくなってくると気になるのが年末調整の作業。今回は年末調整で、社員(役員・従業員)から回収することの多い各種保険料控除証明書の見方について、おさらいしておきましょう。

【お知らせ】がんばる企業応援マガジン最新記事のご紹介

社会保険料控除証明書の見方

社員(役員・従業員)が社会保険料を支払った場合、その支払った金額について所得控除を受けることができます。この所得控除を受けるには、保険料控除等申告書に社員が支払った国民健康保険等の金額や保険の種類を記載します。国民年金であれば「社会保険料控除証明書」の添付も必要となります。

社員(役員・従業員)が被扶養者の保険料を支払った場合

所得控除は、給与から天引きされた本人の社会保険料だけでなく、本人と生計を一にしている子など親族の社会保険料を支払った場合にも適用されます。

[解説]

20歳以上になると国民年金への加入義務があるので、大学生など20歳以上の子を扶養している場合、親である社員がその国民年金を支払っているケースがよくあります。
このため会社の年末調整の担当者は、社員本人や親族名義の「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を回収した場合、その保険料を社員が支払ったかどうかを確認し、控除対象にするかどうかを判断しなければなりません。

「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の見方

A……生計を一にしている子などの氏名か確認してください。
B……対象年度を確認してください。古い年の証明書を添付しているケースがあります。
C……『◎社会保険料控除(年末調整・確定申告)を申告される方へ』の手順に記載されている控除額か確認してください。

国民健康保険等の領収書は?

年末調整時に、国民健康保険の保険料等の領収書を添付する社員もいます。しかし、これらの書類の添付義務はありません。金額等を確認し、速やかに返却してください。

社会保険料控除についてのまとめ

以上をまとめると、社会保険料控除額については次のようになります。

  • 会社から天引きしている社会保険料→年間の賃金台帳で集計します
  • 親族分の国民年金保険料を支払っている場合→その額を集計(控除証明書が必要!)
  • 親族分の国民健康保険料を支払っている場合→その額を集計(控除証明書は不要!)

なお、社会保険料控除の対象となる代表的な社会保険料は次のとおりです。

  • 健康保険、国民年金、厚生年金保険等の保険料で被保険者として負担するもの
  • 国民健康保険の保険料または国民健康保険税
  • 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
  • 介護保険法の規定による介護保険料
  • 雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
  • 国民年金基金の加入員として負担する掛け金
  • 厚生年金基金の加入員として負担する掛け金

目次へ戻る

生命保険料控除証明書の見方

生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を一定額支払った場合、生命保険料の所得控除を受けることができます。
生命保険会社等から送られてくるハガキ(控除証明書)を社員から提出されたら、次のポイントで年末調整の対象になるかどうかを確認してください。

「生命保険料控除証明書」の見方

A……対象年度を確認してください。古い年の証明書を添付しているケースがあります。
B……「生命保険料控除証明書」と記載されていることを確認してください。
C……「一般用」「個人年金用」「介護医療用」のどの区分に該当しているかを確認してください。
D……「新制度」「旧制度」のどちらの区分に該当しているか確認してください。

目次へ戻る

地震保険料控除証明書の見方

火災保険に付随する地震保険のように、特定の損害保険契約等に含まれる地震等損害部分の保険料や掛け金を支払った場合、一定の金額の所得控除を受けることができます。

生命保険料控除と同様、損害保険会社から届くハガキが重要となります。次のポイントで年末調整の対象になるかどうかを確認してください。

「地震保険料控除証明書」の見方

A……対象年度を確認してください。古い年の証明書を添付しているケースがあります。
B……「地震保険料控除証明書」と記載されていることを確認してください。

目次へ戻る

テレワークでも対応できる年末調整手続きの電子化

年末調整の電子化なら、大塚商会にお任せ!

年末調整手続きの際、従業員が作成する保険料控除申告書などの申告書は、控除証明書などのデータを活用して簡単に年末調整申告書の電子データを作成することができます。また、給与担当者も電子データで提出されることにより、在宅のまま出社する必要がなく年末調整の手続きを進めることができ、書面での年末調整の場合の書類保管コストも削減できます。大塚商会では、年末調整の「効率化のステップアップ」や「運用例」のご紹介と人事労務の電子化でもっと便利にできる情報を無料ガイドブックにまとめました。ぜひご活用ください。

年末調整の電子化なら、大塚商会にお任せ!

【お知らせ】がんばる企業応援マガジン最新記事のご紹介

監修/中川誠

プロフィール

東京税理士会麻布支部所属。1972年生まれ。ベンチャー企業に対する税務申告および経営相談、相続コンサルティングなど幅広く行う。町医者のような会計事務所を目指している。

ライター紹介

梅原光彦

ライター歴30年超。新聞、雑誌、書籍、Web等、媒体を問わず多様なジャンルで書き続ける。その一つが米原万里著『打ちのめされるようなすごい本』に取り上げられたことが勲章。京都在住。

イラストレーター紹介

今井ヨージ

専門学校卒業後、映像制作会社とWeb制作会社勤務を経て、2004年から名古屋市を拠点にフリーランスのイラストレーターに。 2013年に岐阜県下呂市へ事務所を移転。全国から幅広い業界のイラスト制作をご依頼いただいています。

関連記事

ページID:00250322