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2018年12月11日公開
【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与
【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ
「働き方改革」というと、同一労働同一賃金、長時間労働の改善……などが注目されます。けれども、そういう大がかりなものばかりではなく、小さな工夫で「働き方改革」につながる事例もあります。今回は、深刻な人手不足の折、中堅・中小企業こそ取り組むべき「働き方改革」のあり方や、その事例について考えてみましょう。
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「働き方改革」は、日本の労働者が抱える課題――「賃金などの処遇を改善する」「時間・場所などの制約から解放される」「キャリアを構築する」――を解決することを主眼としています。具体的には、これら三つの課題を「9種類のテーマ」に分け、それぞれの分野での改革方針を、ロードマップに従って実行すること、それが「働き方改革」の概要とされています。
「働き方改革」といっても何から始めればよいか分からない……そういう方は、この9種類のテーマの中に、自社でも取り掛かれそうな課題があるかどうかを考えてみるとよいでしょう。
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企業経営の三要素は「ヒト、モノ、カネ」です。中でも「ヒトを大切にする経営」の実践は、労働者が生き生きと働ける職場環境をつくり出し、生産性の向上、ひいては企業の業績向上につながります。「働き方改革」は、まさにこの「ヒトを大切にする経営」を実現するためのものです。働く人それぞれの事情に応じた「多様で柔軟な働き方」の実現こそがポイントになります。
総務省が発表した「労働力調査(詳細集計) 平成30年(2018年)4~6月期平均(速報)」によると、非正規従業員数は2,095万人、雇用者に占める非正規従業員の割合は37.6%で、今年に入って増加傾向にあります。非正規の雇用形態に就いた主な理由は、下の表にあるように、男性・女性共に「自分の都合のよい時間に働きたいから」がトップで、「正規の職員・従業員の仕事がないから」を上回っています。
また、失業者(186万人)が仕事に就けない理由は、多い順に「希望する種類・内容の仕事がない」が49万人(26.6%)、「勤務時間・休日などが希望と合わない」が25万人(13.6%)、「求人の年齢と自分の年齢とが合わない」が21万人(11.4%)となっています。
労働力調査(詳細集計)平成30年(2018年)4~6月期平均(速報)(総務省統計局のWebサイトが開きます)
こうしたデータを見ると、労働意欲を持った人の多くは「希望する時間・曜日に就業することが可能なら働きたい」と考えていることが分かります。従って、人手不足が深刻化している中堅・中小企業においては、多様で柔軟な働き方がしやすい職場環境の整備こそが「働き方改革」であり、人材確保のカギになるということです。
そうした「働き方改革」が人材確保のカギといわれても、同一労働同一賃金、長時間労働の是正、年次有給休暇の取得促進、テレワーク……等々、なんだか負担が多そうだと不安に感じる経営者も多いかもしれません。しかし、「働き方改革」をそれほど大げさに捉える必要はありません。
例えば、社員が病気になったとします。「病気の治療と仕事を両立させたい」と相談があったらどうでしょう。あるいは、「家族の介護のため勤務時間を減らしたい」と相談があったら? 何とかして、社員が働き続けられる方法を考える経営者が多いのではないでしょうか。実は、そのように身近なところにこそ「働き方改革」で取り組むべき課題があるのです。
では、中堅・中小企業による「働き方改革」には、具体的にどのようなものがあるでしょうか。また、女性が働きやすい職場づくりを実践した結果、従業員の満足度が高まり、人材の定着につながったA社の事例をご紹介します。
地方都市にあるオフィス家具製造業A社(従業員規模60名)は、新卒者の採用や業務繁忙期において、臨時従業員の採用(主に男性)が難航。そのため女性を積極的に採用することにしました。
工場での作業に力仕事はほとんどなく、女性が働くことは十分可能でした。しかし、女性用トイレが事務所内にしかなく、工場内には設置されていないこと、また女性用の更衣室がないことが、女性社員が働くうえでのネックとなっていました。そこでA社は、これらの問題を解決するために「女性活躍加速化助成金」を活用し、女性用トイレと更衣室を設置しました。
こうした取り組みによりA社は、県の「男女共同参画推進宣言企業」の認定を受けることができ、県知事から認定証が授与されました。認定に当たってA社が宣言した主な内容は次のとおりです。
高卒女性を1名ずつ2年連続で採用することができました。A社が「男女共同参画推進宣言企業」の認定を受けたことで、送り出し先の高校が「安心して生徒を送り出せる」と判断したことが奏功しました。また、業務の繁忙期には、女性派遣労働者の採用もかない、製造部門で勤務する女性社員が7名と増加しました。
結果として、A社では社員旅行の参加率が向上し、社員間のコミュニケーションが円滑になり、活気あふれる職場に生まれ変わることができました。「働き方改革」というと大げさに考えがちですが、A社のように女性用トイレを新設することがきっかけで、全社的に活性化につながった例もあります。もちろん費用も発生しますが、自治体の支援制度を活用することで、最小限に抑えられる場合もあります。まずは社内を見回して、社員が何に困っているか、探してみてください。そして、できることから改善に取り組んでいく。それこそが「働き方改革」の第一歩となることでしょう。
「働き方改革」の目的は、ただ単に長時間労働を解消するためだけではなく、自社の従業員が仕事を続けていくうえでの障害を取り払うためでもあります。社員の不満を解消して、いい職場だと感じてもらえるようにするために、まだまだできることがあるのではないでしょうか。深刻な人手不足が続きますが、大企業と同じような待遇を提供することが難しい中堅・中小企業こそ、率先して「働き方改革」に取り組むことで、魅力ある企業にしていきたいものです。
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