3)一般の寄付金
一般の寄付金(1、2、4以外の寄付)の代表例としては町内会に対する寄付等が挙げられます。また法人と特殊な関係にある外国法人(国外関連者)に対して寄付をした場合には限度額計算をするまでもなく、全額が損益不算入となります。
一般の寄付の場合、寄付金を全て損金に算入できるわけではなく、限度額が定められています。損金算入限度額は、以下の計算式に基づいて算出します。
なお、損金算入限度額については、4)の特定公益増進法人等に対する寄付がないことを前提とします。
以下、具体的な事例で説明しましょう。
例えば、期末の資本金等の額が10,000,000円、所得の金額(注1)が20,000,000円だった場合には、(10,000,000円×0.25%+20,000,000円×2.5%)×25%=131,250円が損金算入限度額となります。損金不算入額の168,750円が法人税法上経費となりません。
つまり、寄付をした場合には168,750円×実行税率30%(注2)≒50,600円相当額の税負担が生じます。
- (注1)所得の金額とは、申告書別表四の仮計の金額に、支払った寄付金の額を加算した金額となります。
- (注2)実行税率は仮定した数値となっています。
4)特定公益増進法人/認定NPO法人に対する寄付金
特定公益増進法人、認定NPO法人への寄付についてはいずれも以下の計算方法で損金算入額を算出します。一般の寄付金がないことを前提として損金算入限度額は、(a)と(b)の合計となります。
以下、具体的な事例で説明しましょう。
例えば、期末の資本金等の額が20,000,000円、所得の金額(注3)が40,000,000円だった場合には、
(a)(20,000,000円×0.25%+40,000,000円×2.5%)×25%=262,500円
(b)(20,000,000円×0.375%+40,000,000円×6.25%)×25%=1,287,500円
(a) + (b) = 1,550,000円が損金算入限度額となります。損金不算入額の450,000円が法人税法上経費となりません。つまり、寄付をした場合には450,000円×実行税率30%(注4)= 135,000円相当額の税負担が生じます。
- (注3)所得の金額とは、申告書別表四の仮計の金額に、支払った寄付金の額を加算した金額となります。
- (注4)実行税率は仮定した数値となっています。
なお、特定公益増進法人/認定NPO法人がどのような法人を指すかは、以下のように定められています。
特定公益増進法人とは
教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する法人をいいます。具体的には次の法人です。
- 独立行政法人通則法第2条第1項に規定する独立行政法人
- 地方独立行政法人法第2条第1項に規定する地方独立行政法人で一定のもの
- 日本赤十字社(指定寄付以外で事業全般に対するご寄付)・自動車安全運転センターなど
- 公益社団法人および公益財団法人
- 私立学校法第3条に規定する学校法人で一定のもの
- 社会福祉法第22条に規定する社会福祉法人
- 更生保護事業法第2条第6項に規定する更生保護法人
認定NPO法人とは
NPO法人のうち一定の基準を満たすものとして所轄庁または国税庁長官の認定を受けた旧認定NPO法人をいいます。認定を受けていないNPO法人に対する寄付については、上記3)の一般の寄付となります。
税法改正後のルール変更に注意!
ほかにも「企業版ふるさと納税」「国外関連者に対する寄付」「完全支配関係がある他方に対する寄付」などがあります。それぞれに税法改正後にルール変更があるので、ご注意ください。