2024年10月 8日公開

総務・経理・人事コラム

今から年末調整を電子化したい! 比較・検討のポイントは?

著者:金指 歩(かなさし あゆみ)

今年も残すところ約3カ月。「もう少ししたら年末調整の準備が始まるな……」と、早くも気が重くなっている経理担当者もいるのではないでしょうか。年末調整の業務負担を減らす方法としては「年末調整の電子化」が挙げられます。しかし、なかなか社内の合意を得られず、いまだに紙の書類でやりとりしている企業も少なくありません。

そこで「そろそろ自社でも電子化を検討したい!」と思っている皆さんに向け、年末調整の電子化に関する比較・検討のポイントや、社内調整のポイントなどについて解説します。ぜひ社内検討の参考にしてください。

紙での年末調整、こんなところが大変……

年末調整は2020年分より、電子上の申請が可能になりました。現在、政府も「年調ソフト」というツールを提供し、電子化を推奨しています。

しかしいまだに紙の書類で手続きしている企業も少なくありません。紙での年末調整はどんなところが大変なのか、あらためて整理してみましょう。

紙を配って回収して……とにかく手間がかかる

紙での年末調整を行う場合、パート・アルバイトを含む従業員に書類をコピーして配布し、各部署や店舗などに送付して、記入後に回収するという作業が発生します。さらに、税務署に書類をまとめて持参し、提出する手間もかかります。

一昔前なら当たり前の業務風景とはいえ、とにかく手間のかかる作業です。一方、すでに年末調整を電子化した企業では、紙の配布が不要で、ネット上で手続きが完結します。そんな企業を横目に、紙の書類を配布し、記載内容を確認しているうちに、徒労感からドッと疲れてしまう担当者も少なくないでしょう。

修正の依頼や回収に時間がかかる

紙の書類には当然ながら自動チェック機能がないため、誤字脱字や記入漏れなどに記入者本人が気付かなければなりません。しかし年1回しか作成しない書類のため、どうしても間違えやすいのが実情です。修正が必要な場合、対象者に書類を送り返し、修正してもらって回収する作業が発生します。このため、回収完了までに時間がかかります。

こうした修正作業が少数であればまだしも、従業員数の多い企業ほど修正対応が増え、さらに多くの作業と時間を費やしてしまうでしょう。

書類の保存や保存場所の確保が必要

年末調整の書類は、所管の税務署に提出したあと、約7年間保存するよう義務付けられています。1年分の書類は何とかキャビネット等に収納できても、7年分となると相応の保存場所が必要となります。

また、以前提出した書類を何らかの理由で探す必要が生まれた場合、書類の山から必要な書類を探し出さねばなりません。これも手間のかかる作業のため、紙での保管は不便に感じやすいでしょう。

年末調整を電子化するメリットとは?

では、年末調整を電子化した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。まとめてご紹介します。