2024年11月12日公開

総務・経理・人事コラム

もっと働きやすい職場に! ヒントは「ワークインライフ」かも?

著者:金指 歩(かなさし あゆみ)

近年の総務部門では、企業運営に必要な備品やサービスの管理を超えて、「社内の環境をいかに過ごしやすくするか」、「従業員が働きやすい仕組みをどう整えるか」といった、働きやすさに関する課題に取り組む企業が増えています。

では、どうすれば自社がもっと働きやすい企業になるのでしょうか? そのヒントとして「ワークインライフ」という考え方を知ることが役立つかもしれません。今回は、働きやすさを追求すべき理由やワークインライフの概念、そして働きやすさの向上に役立つポイントについてお伝えします。

「働きやすさ」を追求する企業が増えている理由

近年、社内人材や求職者に向けて働きやすさをアピールする企業が増えた印象があります。その背景には、以下のような要因があると考えられます。

労働人口が減り「売り手市場」になっていくから

現在の日本では少子高齢化が進み、労働者の人口がどんどん減っています。すでに「売り手市場」になりつつありますが、これから先、優秀な人材をいかに確保するかという競争はさらに激化していくでしょう。

また、製造業を中心に従業員の多能工化(従業員が複数のスキルを保有し、多様な業務が行えるようになること)が進むなど、業務の複雑化に伴い多様なスキルをもつ人材の需要も高まっています。

だからこそ企業は、働きやすさをアピールすることによって優秀な人材を獲得し、スキルアップを手助けし、長く働いてもらいたいたいと考えています。

働きやすさを重視する人が増えているから

社会の変化により、人々の仕事に対する価値観にも変化が見られています。高収入や昇進・出世よりも、私生活との両立ができるか、合理的な働き方が実現できるかなど、働きやすさを重視する人が増えています。こうした価値観の変化は、特に若手世代や子育て世代において顕著だと言えます。

また、コロナ禍を経てリモートワークが普及した結果、出社とリモートを併用するハイブリッドワークに変更した企業も増えています。今後、リモートワークを部分的に導入することは必須になるかもしれません。

働きやすさが企業成長につながるから

従業員の働きやすさを追求すると、従業員が働くことに対してポジティブな感情をもつ「ワークエンゲージメント」が高まり、企業成長につながることが明らかになってきました。よって、企業成長を加速させるためにも、働きやすさに関する施策を推進する動きが見られます。

さらに働きやすさの向上は、従業員の心身の健康管理を実践する「健康経営」にも関連します。長期的な業績向上や株価向上なども期待できるでしょう。

今注目したい「ワークインライフ」とは

働きやすさを追求する企業の中には、「ワークインライフ」の価値観を施策に取り入れている企業が見られます。このワークインライフとは、仕事を“人生や生活の一部分”だと捉える考え方です。この価値観は、現在のビジネスパーソンがもつ「仕事一辺倒の人生にはしたくない」といった価値観とも一致しています。

こうした考えに基づき、従業員が理想とする人生やワークスタイルの実現を後押しすることで、従業員が自社に定着し、活躍してくれる可能性が高まります。

ワーク・ライフ・バランスとワークインライフの違い

これまで仕事と生活の両立について語る際は、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が使われてきました。ワーク・ライフ・バランスとワークインライフには、どのような違いがあるのでしょうか。以下にその一般的な解釈を紹介します。