2024年12月10日公開

総務・経理・人事コラム

海外人材をわが社に! 受け入れ準備のポイント

著者:金指 歩(かなさし あゆみ)

将来における労働人口の減少が懸念されていますが、中小・中堅企業からは「人材がなかなか採用できない!」という声がすでに上がっています。人手不足が深刻であるならば、海外人材を採用するという選択肢も検討すべきです。

しかし、初めて海外人材を受け入れる際は、どのように対応すれば良いのでしょうか。この記事では、海外人材が日本で働く上で必要な資格や受け入れの流れ、受け入れ時のポイントについて解説します。

会社の救世主!? 海外人材の在留資格とは

深刻な人材不足を解消し、自社の救世主となる可能性がある海外人材。彼らが日本で働く場合は、次のような在留資格が必要です。もし在留資格がない人を誤って雇用した場合、不法行為に該当し、大問題に発展する可能性があるため注意が必要です。

特定技能1号・2号

特定技能1号・2号という在留資格は、特定技能制度の下に制定された資格です。特定技能制度とは、企業の生産性向上や人材確保のためにさまざまな取り組みを行っても、人材を確保することが難しい産業上の分野(特定産業分野)において、一定の専門性や技能を有した外国人を受け入れていくために構築されました。

まず特定技能1号の内容や条件は、以下のように定められています。

  • 特定産業分野の知識や経験を必要とする技能を用いて業務に従事する
  • 原則として技能試験と日本語試験に合格する必要がある
  • 所属機関もしくは登録支援機関による支援の対象となる
  • 原則として家族の帯同は不可
  • 在留できる期間は5年まで
  • 付与される在留期間は1年以内で法務大臣が個別に指定する

参考:出入国在留管理庁「受入れ機関の方|特定技能制度とは」(以下同)

特定技能2号は、特定技能1号の上位資格にあたります。その内容や条件は以下の通りです。

  • 特定産業分野の知識や経験を必要とする技能を用いて業務に従事する
  • 特定技能1号より高度な技能試験に合格する必要があり、一定の実務経験も求められる
  • 所属機関もしくは登録支援機関による支援は不要
  • 家族滞在の在留資格をとれば、配偶者と子は帯同可能
  • 在留期間の更新を受ければ上限なく滞在可能
  • 付与される在留期間は3年、1年、6カ月のいずれか

なお、特定技能1号・2号を受け入れ可能な分野は、次の12分野(特定技能2号は11分野)に限定されています。

  • ビルクリーニング
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 介護(特定技能1号のみ)
  • ※ 一部業務は省令等の改正後に受け入れ開始となる分野
  • 工業製品製造業
  • ※ 省令等の改正後に受け入れ開始となる分野
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業

参考:出入国在留管理庁「分野別情報」

特定技能以外の「活動資格」を持っている人

特定技能1号・2号だけでなく、何らかの活動資格を持つ外国人材も日本で就労できます。しかし、就労できる期間が限定されており、活動内容によっては就労できない場合もあります。採用する前に、その活動資格の内容をよく確認しましょう。

【就労できる主な活動資格(活動範囲はその分野に限定)】

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 介護
  • 技能
  • 高度専門職1号・2号
  • 経営・管理、ほか

【原則として就労できない活動資格】

  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 留学
  • 研修
  • 家族滞在

永住者、定住者などの「居住資格」を持っている人

身分や地位に基づく「居住資格」のうち、以下を持っている海外人材は自由に就労できます。

  • 永住者
  • 定住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等

特定技能1号・2号人材を受け入れる流れ

ここからは、特定技能1号・2号の資格を持つ海外人材を受け入れることを想定し、受け入れ時の流れについて説明します。海外人材の受け入れを検討し始めたら、以下の流れを確認しておくことをおすすめします。