そもそも「フリーランス新法」とは?
「フリーランス新法」とは、正式には「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」を指し、フリーランス(個人事業主)と、その業務を委託する企業との取引を適正化することを目的とした制度です。「フリーランス・事業者間取引適正化等法」とも呼ばれ、2024年11月1日に施行されました。
この法律は、多様な働き方が浸透しつつある現代において、フリーランスがより安心して業務に取り組める環境を整備し、企業とフリーランスとが公平な関係性を構築することを目指しています。
フリーランス新法の施行前に公正取引委員会と厚生労働省が共同で実施した調査によると、企業側の新法に対する認知度は54.5%にとどまっていました。この数字からは、この新しい法律について十分に理解していない、あるいは対応策を講じる段階に至っていない企業が相当数あることを示唆しています。施行後に、企業で認知度や対応状況がどのように変化していくかは、今後の動向が注目されるところです。
フリーランス新法の対象となる企業は?
フリーランス新法の対象となるのは、フリーランスに業務を委託している全ての企業です。なお、企業が従業員を雇用しているかどうかによって、新法上での分類が異なります。
従業員を雇用していない企業(一人法人など):業務委託事業者
従業員や役員のいる企業:特定業務委託事業者
ただし、新法に関する資料上では、これらはまとめて「発注事業者」と記載されるケースが一般的です。
また、上記の発注事業者が遵守すべき義務や禁止事項は、取引の規模や契約期間などによっても変わってきます。さらに、フリーランスが別のフリーランスに業務を再委託する場合も、フリーランス新法の適用対象となります。
原則として、フリーランスに対して業務を「継続的に」委託している企業は、フリーランス新法の対象となる可能性が高いと考えておくべきでしょう。
違反したらどうなる? すでに発生しているペナルティー
フリーランス新法に違反した場合、企業はさまざまな行政的措置を受ける可能性があります。主な罰則としては、公正取引委員会による行政指導や勧告、命令などです。
実際に、以下のような行政指導や勧告が出ており、各メディアでも大々的に報道されました。