2025年11月11日公開

総務・経理・人事コラム

組織は人の「組み合わせ」。組織開発と人材開発の違い

著者:金指 歩(かなさし あゆみ)

人材確保や業績向上を図る中で、人材育成や社内改善に取り組む企業が多く見られますが、「組織開発」と「人材開発」の違いをご存じでしょうか。似て非なるこの二つは、うまく使い分けることで真価を発揮します。それぞれの定義や効果的なアプローチ方法を解説します。

人材開発・組織開発の意味と求められている背景

はじめに、人材開発と組織開発の概要と、それぞれが今注目されている背景について解説します。

人材開発とは

人材開発(Human Resource Development)とは、社員一人ひとりのスキルや能力を向上させるための取り組みです。社員の知識や技術、専門性を高め、成長を後押しすることを目的としています。

人材開発が求められる背景には、労働市場の流動化と慢性的な人手不足の深刻化があります。日本で根付いてきた終身雇用制度が実質的に崩れ、転職が当たり前になった今、企業は優秀な人材を確保し、自社に定着させる必要があります。そのためには、社員が「この会社でなら成長できそうだ」と感じられるような環境を提供することが、人材に選ばれ、定着してもらうためにも重要です。

また、技術革新への対応も急務です。AIやIoTなどの技術が急速に進化する中、企業は常に新たなスキルや知識を習得し続けなければ、ビジネスでの競争力を維持できないと言われるようになりました。こうした背景から、企業を構成する社員が最新の知識を学び続けられる仕組みを整えることが重要視され、人材開発の必要性が高まっています。

組織開発とは

一方、組織開発(Organization Development)とは、社員同士の関係性や相互作用に働きかけて、組織全体を活性化させる取り組みです。組織は「人の組み合わせ」でできているからこそ、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、風通しのよい文化を育てることで、パフォーマンス向上を目指します。