2025年12月 9日公開

総務・経理・人事コラム

社員が病気になったら? 復職と治療の両立を支える中小企業の取り組み

著者:金指 歩(かなさし あゆみ)

慢性的な人材不足に直面する企業にとって、大切な社員が病気で休職や通院治療を行う事態は重大な課題です。社員を支え、共に困難を乗り越えるために、企業として取るべき対応や活用できる制度、さらに仕事と治療の両立を実現する企業や医療機関の取り組みを紹介します。

社員が病気になったら? 企業ができるサポート

社員が病気になり休職することになった場合、企業は雇用主として社員の健康と生活を支える役割を担うことが好ましいとされています。制度面や経済面を中心に、多様なサポートを実施するとよいでしょう。

制度面・経済面でのサポート

長期療養する社員は、経済的な不安が生じやすくなります。そのため、自社の制度や国の公的制度を正確に案内し、社員が安心して治療に専念できる環境を整えることが重要です。主に、次の項目について説明します。

企業独自の休職制度

まず、企業は自社が定めている休職制度について、その詳細を社員に正確に案内します。伝えるべき主な情報は以下のとおりです。

  • 休職期間の上限:勤続年数に応じた規定など
  • 休職期間中の給与・賞与の取り扱い:無給、一部支給など
  • 社会保険料の取り扱い:休職中の自己負担分の支払い方法など
  • 復職時の手続き:手続きにかかる期間や必要書類など

これらの情報を紙の書面やPDFなどで提供し、社員が不安なく休職期間や治療方針を決定できるよう支援します。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険の被保険者である社員が、病気やケガで業務に就けず、賃金の支払いを受けられない場合に支給される制度です。