――今回は大塚商会の「高成長の秘訣」についてうかがいます。2023年に続き、連結売上高が1兆円に達した2024年も2桁成長でした。大塚社長はその要因をどのように分析しているでしょうか。
大塚 裕司氏(以下、大塚) 大塚商会は複写機の訪問販売からスタートして、現在ではオフィス関連商材のほとんどを扱っています。しかし、ビジネスの全体像があまり理解されていないかもしれません。
当社が年間を通じて継続してお取り引きいただいているお客様の数は約30万社ですが、通販サービスの「たのめーる」だけ、パソコンの購入だけというように、特定の商品だけを取り引きしている企業が約3分の2を占めます。ですから、当社がさまざまなITソリューションやクラウドビジネスを手がけていることを知らないお客様が多いのでしょう。
単一商材の取り引きが3分の2を占める状態でこの数字なので、まだ伸びしろは大きいと考えています。オフィスで使用するのはコピー機とパソコンだけではありませんね。水やお茶などの飲料から、コピー用紙、さらにはDXに関わる先進的なIT投資まで実に幅広い。約30万社の年間のオフィス投資総額を考えたら、10兆~15兆円規模ぐらいになるかもしれません。そのすべての商材を大塚商会はカバーできているわけですから、現在の取り引きはまだ一部に過ぎません。

米国を訪れて調査したが、大塚商会と同様に幅広い領域で販売とサプライ、メンテナンスを展開する企業は見当たらなかったという
(撮影:加藤 康)
――日本の企業のほとんどを占める中小企業を積極的に支援しています。支援できることは、まだたくさんあるということですね。
大塚 海外と比較して日本は「ITリテラシーが低い」「社会的な基盤も整備されていない」とよく言われますが、逆に言えばまだまだ「余白」があるということです。余白を埋めていくお手伝いをするのが大塚商会の役割だと考えています。売上高だけを見ると中小企業の割合は2割ほどですが、訪問顧客の割合だと8割になります。日常的に接しているのは圧倒的に中小企業です。