――前回の取材でうかがった災害対策DXと並んで、観光DXにも力を入れています。大塚商会さんの既存事業を考えると、「観光」も距離があるように感じます。この活動に取り組む背景を教えてください。
齋藤 廣伸氏(以下、齋藤) 攻めと守りの観点で地方創生に取り組んでいます。災害対策DXは、「守りの策」として住民が永続的に住みやすい環境づくりを目指しています。
一方で、「攻めの策」となるのが観光DXです。地方自治体にインバウンド観光客を呼び込み、地元にお金が入ることで、災害やさらなるインバウンド需要に向けた投資に利用できる原資づくりに貢献したいと考えています。
――現在のインバウンド観光の市場、特に地方の状況をどのように見ていますか。
齋藤 現在のインバウンド観光客の動きをみたとき、首都圏などの大都市や京都のような有名観光地が中心です。ただ、日本にはそれ以外の地方にも伝統的なところ、素晴らしいところがたくさんあるので、そういうところをもっと紹介して観光客を呼び込みたいと考えています。

日本には、素晴らしい観光資源がたくさんあると語る齋藤専務。若いころは全国を飛び回りスキーを楽しんだという
(撮影:加藤 康)
これまでのインバウンド観光客は買い物が主体でした。デパートの前にバスが止まって大量に商品を買って帰る。そうしたスタイルが多かったと感じています。今後は、買い物以外にもいろいろあっていいでしょう。例えば、昔はスキー客といえば日本人中心でしたが、今は海外の方が非常に多いですね。四季を通じて風景が変わるという、日本の魅力をもっと味わって欲しい。
2024年の実績を見ると、インバウンド観光客は3687万人でした。消費額は8兆1395億円と過去最高。個人ごとの旅行支出金額に注目すると、2024年10~12月期については、41万円の英国を筆頭にオーストラリア、スペインと続きます。このインバウンド消費を、国内のメイン地域だけでなく、地方に呼び込むことで地方の活性化につながります。そこで得た税収を災害対策に利用することで、減災につながる活動費に充てられると考えています。
――大阪・関西万博で観光をテーマに出展しています。これはどのような内容でしょうか。