採用面接において注意すべきポイント(総論)
厚生労働省が作成したポスターの中に、「その質問…「面接」で必要ですか?」というものがあります。「出身はどこ?」「親の職業は?」「何人兄弟?」という例が挙げられていますが、これらは昭和時代の採用面接ならば、普通に尋ねられていたであろうことばかりです。ですが、現在では「公正な採用選考」の見地から不適切な質問であると厚生労働省が指摘しています。その理由は「本人に責任のない事項」についての質問だからです。
面接においては、本格的な質問に入る前のアイスブレイク(緊張をほぐすためのステップ)的なものとして、厚生労働省のポスターにあるような質問をしてしまいがちな面があることは否定できません。仮に質問をしたとしても、その返答を採用選考の判断材料にしなければ問題はないと考えられる方もいることでしょう。ですが、SNSなどで質問内容がすぐにネット上に拡散してしまう時代である今、前時代的な質問をすること自体が、企業の人権意識の低さとして受け止められてしまうリスクがあります。
面接における基本的な考え方
厚生労働省は採用選考の基本的な考え方として、(1)応募者に対して「人を人として見る」という基本的人権を尊重と、(2)応募者の適性・能力に基づいた基準による実施、の2点を示しています。本コラムでは(1)を「人権基準」、(2)を「適性・能力基準」と略称して今回の解説で必要に応じて触れることとします。
さらに厚生労働省は就職差別につながる事項の把握として、次の3類型・14事項を挙げています。
本人に責任のない事項の把握 |
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1 | 本籍・出生地に関すること |
2 | 住宅状況に関すること |
3 | 家族に関すること |
4 | 生活環境・家庭環境などに関すること |
本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)の把握 |
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5 | 宗教に関すること |
6 | 人生観・生活信条などに関すること |
7 | 思想に関すること |
8 | 購読新聞・雑誌・愛読書に関すること |
9 | 支持政党に関すること |
10 | 尊敬する人物に関すること |
11 | 労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること |