2025年 8月26日公開

社会保険労務士コラム

外国人雇用の基礎知識

著者:有馬 美帆(ありま みほ)

人手不足が深刻化する中、外国人労働者に対する期待と需要は年々高まっています。今回は外国人雇用について、日本で働ける外国人、「在留カード」、不法就労の防止、ハローワークへの届け出、雇用管理などの基礎知識を基本から分かりやすく解説します。

外国人雇用の基礎知識

厚生労働省によると、2024年(令和6年)10月時点における、わが国の外国人労働者数は230万2,587人で過去最多を更新しています。対前年増加率は12.4%、数にして253,912人の増加です。福井県の県庁所在地である福井市の人口と同じくらいの人数の外国人労働者が1年で増えていることになります。

外国人労働者が増加しているのは、少子化による人手不足が主な理由です。加えて、外国人労働者が日本で就労できるように、日本政府が数々のサポート体制を整えていることも理由として挙げられます。

今回は年々増加している外国人労働者を雇用する際に企業がどのような点に留意すればいいのかという観点から、外国人雇用のポイントについて分かりやすく解説します。

日本で働くことができる外国人とは?

外国人雇用にいう「外国人」とは、日本国籍を有しない方をいいます。外国人は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)で定められている在留資格の範囲内において、日本での活動が認められており、その在留資格には就労が認められるものと認められないものがあります。外国人を雇用する際は、この「就労の可否」に注意してください。

(1)在留資格に定められた範囲で就労が認められる在留資格(18種類)外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、興行、技能実習、特定活動
(2)原則として就労が認められない在留資格(5種類)文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在
(3)就労活動に制限がない在留資格(4種類)永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者

表の(2)の「原則として就労が認められない在留資格」のうち、「留学」と「家族滞在」の外国人の方は、地方入国管理局で資格外活動の許可を受ければ、アルバイト等の就労活動を行うことができます。「留学」の在留資格の方が資格外活動の許可を得ると、原則として1週28時間までの就労が可能となり、さらに夏休み等の長期休業期間中には1日8時間まで就労することが可能となります。また、「家族滞在」の在留資格の方も、資格外活動の許可があれば、原則として1週28時間まで就労が可能です。

外国人を雇用する際は「在留カード」の確認を

外国人を雇用する際は、まず、その外国人の方について前述の就労が認められる在留資格を有していることを確認してください。そのためには、「在留カード」の所持の有無およびその内容の確認が必要となります。

在留カードとは、入管法上の在留資格をもって適法にわが国に中・長期間滞在する外国人の方が所持するカードです。特別永住者の方を除き、在留カードを所持していない場合は、原則として就労できません。現在、インバウンド(外国人の訪日観光旅行者)が急増していますが、観光旅行者のように一時滞在する方には在留カードは交付されません。さらに、当然のことですが、不法滞在者にも交付されません。在留カードの番号の有効性は、入国管理局がホームページ上に「在留カード等番号失効情報照会」というページを設置していますので、こちらで確認してください。

外国人を雇用する際の「在留カード」の確認
(1)在留カードの所持の有無の確認
(2)在留カード表面の「就労制限の有無」欄の確認
(3)在留カード裏面の「資格外活動許可欄」の確認

(1)在留カードの所持の有無の確認

在留カードの所持の有無の確認ができましたら、表面の「在留期間」と在留カードの「有効期間」も忘れずに確認してください。たとえ在留カードを所持していたとしても、在留期間を過ぎたオーバーステイの方が就労することは不法就労となってしまいます。