この記事は全2回シリーズの後編です。前編は下記よりご覧ください。
なぜ攻める姿勢が必要か。今の時代に合ったEO醸成とは
――自社でEOを醸成しようとする場合、何から着手すべきでしょうか。
江島 精神論にはしたくありませんが、やはり経営トップが率先してEOの本質を理解し、自社に定着させ、社員をけん引することです。今はこれまで以上に環境変化が激しく、持続的な競争優位を獲得することが困難な時代です。一時的にマーケットのトップを取ったとしても安住せず、常に事業開発のネタを探し、既存のビジネスを改良するということを、経営トップが意識してやっていくべきでしょう。
――経営トップの意識を組織に浸透させていこうとするときに、有効な施策はありますか。
江島 瞬間的な施策はいろいろと考えられますが、組織の文化に関わることなので持続的に定着することが何より重要になります。そこで最近、私が考えているのは「楽しくEOと向き合い、付き合う」ということです。
と言うのも、私が述べてきたEOの概念は、今の20代、30代の人にとっては「昭和モデル」と捉えられかねないからです。そうした古い方法でEOを鼓舞すれば、「ブラック企業」と言われかねません。昭和のやり方ではなくZ世代にも通じるやり方で取り組む必要がありそうです。私は、攻めること、リスクを取ること、新しい価値をつくることを、ワクワクしながらできるようにすることが有効だと思います。
社会問題の解決や会社の理念など、「何のために攻めるのか」という信念・理屈さえあれば、会社が大切にするところと従業員の感覚をフィットさせて、時代に合ったEOの型ができるはずです。そうすることで、社員のワークエンゲージメントも高まり、業績もプラスになっていくのではないでしょうか。社員自身の満足・成長と会社の成長・存続との一致点にEOを合わせてはどうでしょうか。
「機会ベース型のマネジメント」が成長の連鎖を生む
――EOにはいくつかの型があるそうですね。