2024年 7月23日公開

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地震大国の日本で企業が災害に備え行うべき対策とは? 急務となる事業継続計画

企画・編集:株式会社アーキテクチャー

自然災害の多い日本において、特に甚大な被害をもたらすのが大規模地震です。世界で起こるマグニチュード5.0以上の地震のうち、約1割が日本およびその周辺で起こっています。南海トラフ海域や首都直下での発生も懸念されるなか、企業には災害時に備えた「事業継続計画(BCP)」の策定が求められているのです。この記事では、事業継続計画の取り組み状況や効果、認定制度について解説します。

災害時の事業縮小や廃業を防ぐ「事業継続計画(BCP)」

2011年3月の東日本大震災、2016年4月の熊本地震、2024年1月の能登半島大地震など、私たちは常に大規模地震の発生リスクにさらされています。地震に限らず、大雨による洪水や火山の噴火など、頻発する自然災害に備え、昨今では「事業継続計画(BCP)」の策定が急務となっています。

事業継続計画とは、自然災害や人災などの緊急事態時に、企業の損害を最小限に抑え、いち早く業務を復旧するための計画のことを指します。この対策を行うことで、企業価値の維持と向上が期待できます。

災害などの緊急事態で事業が滞れば、顧客の競合他社への流出、マーケットシェアや企業評価の低下、さらに事業縮小による従業員の解雇や、廃業に追い込まれる可能性が出てきます。事業継続計画を策定し重要業務が中断しない、あるいは万が一中断したとしても短時間で復旧が可能なように備えておくことで、製品・サービスの供給が中断するリスクを抑え、取引先との信用維持や企業価値の向上にもつなげられます。

中小企業の約7割以上が事業継続計画を「策定していない」

では、実際どれくらいの中小企業が事業継続計画に取り組んでいるのでしょうか。昨今の中小企業による事業継続計画の策定状況の推移を見てみましょう。

中小企業の事業継続計画の策定状況を見ると、約7割以上が策定していないことがわかっています。さらに、2019年からの年間推移別を見ても、3年間でほぼ変化がない状況です。事業継続計画策定は、緊急事態での対策だけでなく、従業員のリスクに関する意識を高めることや業務の改革にも効果が期待できます。