2025年 7月15日公開

トラブル解決! 情シスの現場

社内Wi-Fiが遅い! つながらない! よくある原因と対処法

著者:水無瀬 あずさ(みなせ あずさ)

コロナ禍で定着したリモート勤務からオフィス回帰の動きが進む中、増えているのが「社内Wi-Fiがつながりにくい」という声。実はその原因は、単純な通信量の増加だけではありません。この記事では、Wi-Fiに関するトラブル事例と対処法を解説します。

出社日が増えると困ったことが起こる? Wi-Fiに関するトラブル事例

従業員のオフィス出社が増えるにつれて、インフラに関する課題も表面化してきます。中でも多くの企業が頭を抱えているのが、Wi-Fiやネットワークの不調です。ここでは、実際によくあるトラブル事例を見ていきましょう。

社内のWi-Fiが混雑しやすくなる

コロナ禍以降、在宅勤務やサテライトオフィスでの業務が広まり、社用パソコンを自宅や外出先で使うことを前提としたネットワーク環境の整備が進みました。加えて、いわゆる「3密」を避けるため、席の移動やレイアウト変更を柔軟に行えるよう、有線LANを減らし、オフィスのネットワーク接続を無線LAN中心に切り替えた企業も少なくありません。

ただ、こうした環境のまま出社率が上昇すると、同じ空間で多数の端末がWi-Fiに接続することになり、同時接続台数と通信量が膨大になってきます。さらに、会議やオンライン打ち合わせなどで動画や音声のデータ通信も増えることで、ネットワークの遅延や切断といったトラブルが起きやすくなります。

このような環境は業務効率の低下やストレスの原因にもつながるため、早めにWi-Fi環境の見直しを行うとよいでしょう。

ネットワーク機器の配置とWi-Fiのつながりやすさ

出社率が急激に上がったわけでもないのに、「なぜか最近、Wi-Fiのつながりが悪い」と感じることがあるかもしれません。こうした場合には、単純な通信量の問題ではなく、社内の無線LAN環境そのものに原因がある可能性があります。

例えば、Wi-Fiアクセスポイントの配置が偏っていたり、業務スペースから遠すぎたりすると、電波が弱く不安定になりがちです。また、ルーターや中継機の不具合に加えて、電子機器やオフィス家具による電波干渉が影響していることもあります。

特に近年は、モバイル機器や無線周辺機器の利用増加により、電波環境が複雑化しています。見落としがちなネットワーク機器の配置や設定も、Wi-Fi品質の鍵を握る要素です。

セキュリティ強化とWi-Fi接続の不具合

コロナ禍をきっかけにリモートワークを導入した企業の多くは、社外からの接続を想定し、従来とは異なるセキュリティソフトやファイアウォールを導入してセキュリティ対策を強化しました。しかしその一方で、こうしたセキュリティソフトがWi-Fiとの相性に影響を及ぼすケースもあるのです。

例えば、社内ネットワークを「安全ではない接続」と誤って判断し、接続を制限したり、一部の通信をブロックしてしまったりすることで、正常なWi-Fi接続ができなくなることもあります。また、セキュリティポリシーが厳格になりすぎると、Wi-Fiの自動接続が無効になったり、ログインのたびに認証を求められたりすることも珍しくありません。

セキュリティ対策は重要ですが、業務に支障をきたすような設定がないか、IT部門が実際の使用状況に目を配り、定期的に見直していくことが大切です。

快適なWi-Fiを構築するためにできること

オフィスでのWi-Fiの接続トラブルを防ぐためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。ここでは、社内に快適な無線LAN環境を整えるために実践できる主な対策を紹介します。

最新のWi-Fi規格を知る

社内のWi-Fi環境を見直す際には、まず使用している無線LANの規格が最新のものかどうか確認することが重要です。

Wi-Fiの規格は数年ごとに進化しており、通信速度や同時接続の安定性が大きく向上しています。以下の表は、主なWi-Fi規格の違いをまとめたものです。

呼称世代規格策定年周波数帯最大通信速度
Wi-Fi 5第5世代IEEE 802.11ac2014年5GHz6.9Gbps
Wi-Fi 6第6世代IEEE 802.11ax2019年2.4GHz / 5GHz9.6Gbps
Wi-Fi 6E第6世代IEEE 802.11ax2022年6GHz9.6Gbps
Wi-Fi 7第7世代IEEE 802.11be2024年2.4GHz / 5GHz / 6GHz36Gbps
※2.4GHz/5GHz帯では9.6Gbps

2024年策定の現行規格は「Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)」で、これまでのWi-Fi 6/6Eと比べて、最大通信速度が大幅に向上しているほか、より多くの端末を同時に接続しても通信が安定しやすくなるといった特徴があります。

Wi-Fi 7の強みは、会議室やフリーアドレスエリアなど、多人数が同時にネットワークを利用する環境で特に発揮されます。もし社内で使用しているアクセスポイントやルーターが旧世代のものであれば、Wi-Fi 7対応機器への入れ替えを検討してもよいでしょう。

ルーターやアクセスポイントなど周辺機器の規格を確認する

せっかく最新のWi-Fi規格に対応した機器を導入しても、「思ったほど速くない」「つながりやすくなった実感がない」と感じることがあるかもしれません。その原因として見落とされがちなのが、ルーターやアクセスポイント、さらにはスイッチやLANケーブルなど、ネットワーク周辺機器の規格が古いままになっているケースです。

例えばWi-Fi 6やWi-Fi 7対応の端末を使っていても、ルーターがWi-Fi 5までしか対応していなければ、本来の通信性能を生かすことはできません。また、有線接続部分の通信速度がボトルネックになっている可能性もあります。

まずは、自社で使用しているルーターやアクセスポイントの対応規格やスペックを確認してみましょう。古い機器が混在している場合は、無線LAN機器だけでなく、有線区間も含めてネットワーク全体を見直し、段階的な入れ替えを検討するのがおすすめです。

ルーターやアクセスポイントの設置場所を見直す

Wi-Fiのつながりにくさは、ルーターやアクセスポイントそのものの性能だけでなく、「どこに設置しているか」も重要です。実は電波を効率よく飛ばすには設置場所に注意が必要で、推奨されない場所に置いていると、電波が遮られたり減衰したりして通信品質が大きく低下してしまいます。

例えばスチール製のキャビネットの中や壁際、床への直(じか)置きなどは、設置場所でNGとされる代表例です。また電子レンジや電話機など、電波干渉を引き起こす機器の近くに置くのも避けましょう。さらに、複数階にわたるオフィスで1台のルーターだけに頼っている場合、上階や離れたエリアでは電波が届きにくくなっている可能性があります。

Wi-Fiの不調を感じたら、まずはルーターやアクセスポイントの設置場所が適切かどうか、自社のレイアウトを見直してみましょう。ちょっとした配置変更だけでも、通信環境が改善する可能性があります。

オフィスのWi-Fi環境の管理方法を考える

快適なWi-Fi環境を維持するには、一度整備して終わりではなく、日々の状態を継続的にモニタリング・管理することも重要です。特に使用端末の増減やフロアのレイアウト変更、社内イベントなどで通信状況が変化しやすいオフィスでは、定期的なチェックと柔軟な対応が求められます。

理想を言えば、24時間体制でネットワークの使用状況や異常を監視し、トラブルが起きた際には迅速に原因を特定して対処できる仕組みが望ましいのですが、実際には自社の情シス部門だけでそれを担うのは難しいのが現実でしょう。4交代制などで人員を配しても、そのコストに見合うほどの稼働はないからです。そこで選択肢となるのが、Wi-Fiやネットワークの監視・保守を専門とする外部事業者への委託です。

プロによる常時監視や遠隔対応が可能になることで、情シスの負担を大幅に軽減しながら、安定した通信環境を維持できます。トラブルの「予防」と「早期発見・対応」の両立に向けて、こうした外部支援の活用も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

オフィスのWi-Fiトラブルを防ぐには、最新の無線LAN規格を把握することはもちろん、ルーターやアクセスポイントの性能・設置場所の見直し、ネットワーク機器全体の整備、さらには環境の運用・監視体制まで含めた総合的な管理が必要です。しかし、こうした対応を情シス部門だけでまかなうのは難しく、外部の力も上手に借りながら、無理のないかたちで安定した環境を維持していくことが大切です。

こうした課題にまとめて対応できるのが、大塚商会の「たよれーる らくらくWi-Fi」。ネットワークの設計から導入、設定、そして24時間365日の運用監視・保守までをワンストップでサポートするサービスです。Wi-Fiトラブルに悩まされない職場づくりのために、ぜひ一度導入をご検討ください。

著者紹介:水無瀬 あずさ

現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、各メディアでコンテンツを執筆している。得意ジャンルはIT・転職・教育。生成AI×プログラミングでゲームを開発するための勉強にも励んでいる。(編集:株式会社となりの編プロ、ARC影山)

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