2013年 9月 1日公開

【連載終了】仕事効率を上げるパソコン手帖

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今さら人には聞けない、パソコンのスペックの読み方

テキスト: 芝田隆広

「新しいパソコンを買おう」と思ってカタログやWebページを眺めたけれど、わけの分からない言葉だらけでちんぷんかんぷん……という人が意外と多いのではないだろうか?しかし、実のところカタログに書いてあることはそんなに難しくない。要所を押さえておけば、おのずと自分に必要な機種は絞られてくる。今回はパソコンの購入時に知っておきたい「スペックの読み方」を解説する。

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パソコンの用途ごとのチェックポイントを把握しよう

パソコンを選ぶときはスペックをしっかり把握することが大事だ。最近では一般用語としても使われるようになってきた「スペック」。これは日本語だと「仕様」などと訳される。もう少し分かりやすく言うと「その機器を構成する要素のデータ」を指している。人間でいえば、「身長170cm」「体重65kg」「血液型A型」などといった情報が「スペック」に当たる。

パソコンのスペックは、メーカーのホームページやカタログを見ると「仕様」「技術仕様」などと書かれているページで確認できる。スペックは表形式で記載されていることが多いが、ぱっと見は簡潔で無愛想。やたら小難しく見える。しかし、注意深く見ていけば「そのパソコンがどんな性能を持っているか」ということがだいたい読み取れる。事前によくチェックしておくことで、後悔のない買い物ができるのだ。

スペック表にはさまざまな項目が書き連ねてあるが、「絶対に押さえておくべきポイント」はその中の一部だ。「自分がパソコンを何に使いたいのか」をハッキリさせておけば、おのずとチェックポイントは絞られる。そこで以下に、「Microsoft Office(以下、Office)・インターネット用途」「画像・動画・DTP用途」「モバイル用途」を例にとって、注目すべきポイントを紹介していこう。

スペック表の例

メーカーのホームページやカタログを見ると、こと細かなスペック表が掲載されている。専門用語だらけに見えるかもしれないが、各項目をきちんと見ていけばさほど難しいものではない。

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書類作成やインターネット閲覧だけなら性能はさほど気にしなくてOK。サイズや形態で選ぼう

主なパソコンの用途がOfficeでの書類作成や、インターネットの閲覧といったユーザの場合、極論すればパソコンの「性能」自体は気にしなくていい。というのは、Officeやインターネットの利用は、さほど高いパソコン性能を必要としないからだ。最近のパソコンは、新製品であればどのモデルでも上記のような用途には十分な性能を備えている。このような用途の場合は、まず自分がパソコンを利用する場所に合わせて、サイズや形態を選ぶことのほうが重要だ。

●サイズ
スペック表では「外形寸法」「質量」という項目に記載されていることが多い。「外形寸法」はそのパソコンの大きさ、「質量」は重さを指す。持ち運びの多いノートパソコンでは特に重要となる項目だ。

外形寸法については、「パソコンをどこに設置するのか」に合わせて選ぶことになる。横幅、高さはもちろんのこと、意外と重要なのが奥行きだ。デスクトップパソコンの場合、本体の裏側にコンセントをつなぐことが多いので、実際の設置スペースから10cmくらいは余裕を持たせておいたほうがよいだろう。

●形態
パソコンは、大きく分けて机上で使うのに適した「デスクトップ」型と、携帯用途に適した「ノート」型、そして、最近では「タブレット」型がある。また、画面サイズが大きめのノートパソコンを、省スペースなデスクトップの代わりに使うこともある。ノートパソコンにおけるチェックポイントは後述する。

デスクトップの場合は、以下のような3種類の形態に分けられる。

  • タワー型:箱のような形態をしたタイプ。拡張性が高い。
  • 省スペース型:デスクトップタイプながら非常に小さなケース(外側)を採用。
  • 一体型:ディスプレイと本体が合体したタイプ。

基本的にサイズが大きいものほど、設置スペースを取るが、その分高性能な製品を安価で手に入れやすい。また、あとからパーツを加えて性能アップや機能追加をしやすい(拡張性が高い)。何か一つのパーツが壊れた場合でも、パーツ交換で対応でき、メンテナンスがしやすいのも利点だ。

省スペース型や一体型は最近特に増えてきている。机上に設置してもあまりスペースを取らないが、その分拡張性は低い。また、一体型の場合は、例えばディスプレイが故障した場合に、ディスプレイだけ交換というわけにはいかないので、丸ごと買い換えになるというデメリットもある。

タワー型。

タワー型。最近では、大手メーカー製の製品だと、このような大型のケースを使ったパソコンは減少傾向にある。

ちょっと細めのタワー型。

ちょっと細めのタワー型。「スリムタワー型」などと呼ばれることがある。比較的小さくて拡張性もいくらかあるので扱いやすい。

最近増えているのが本体とディスプレイが合体した一体型モデル。

最近増えているのが本体とディスプレイが合体した一体型モデル。省スペースではあるが拡張性は低い。

ディスプレイの裏などに置いて使える極小タイプのデスクトップ製品

ディスプレイの裏などに置いて使える極小タイプのデスクトップ製品も最近見かけるようになってきた。多くは無線ルータ程度のサイズで机の上に置いても邪魔にならない。また、液晶一体型と違って、ディスプレイを自由に選べるのが利点だ。

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画像・動画・DTPなど大きなファイルを使うなら性能重視で

大きな画像や動画のファイルを頻繁に扱う機会や、DTP系のソフトを使う機会が多いという人は、より高性能なパソコンがあると快適に作業が行えるようになる。特にメモリの容量については多いほうがよい。このような用途のときは、スペック表の中の以下のような項目に特に注目しよう。

●メモリ
サイズの大きな画像ファイルを複数開いて編集したり、DTPソフトなど動作の重いソフトを使う場合は、メモリをなるべくたくさん搭載しているパソコンがよいだろう。最近の標準的なデスクトップ機なら、2GB、4GBといったメモリ容量はあると思うが、画像や動画をよく使うのであれば8GBや16GBといった製品が望ましい。

●OS
Windowsには32ビット版と64ビット版がある。通常の用途なら問題ないが、メモリを大量に搭載したい場合は、OSは64ビット版を選ぼう。32ビット版の場合、4GBまでのメモリしか利用できない。「今は使っていないけど、将来的にメモリの増設も考えている」という人も、64ビット版にしておいたほうが後々便利だ。

●CPU
パソコンにおいて計算を行う部品、つまり「パソコンの頭脳」とでもいうべきパーツだ。最近のCPUでは主に「Celeron」「Pentium G」「Core i」という種類があるが、一番性能が高いのが「Core i」シリーズ。「Core i」シリーズは「Core i7」「Core i5」「Core i3」という種類があるが、i7>i5>i3という順番の性能となっている。

CPUはシリーズ名の後に「3.0GHz」といった形で「クロック数」が記されている。詳しい説明はややこしくなるので省くが、大まかに言えば同一モデルのCPUであれば、クロック数の数値が高いほうが計算処理が速い。

CPUではこのほか「コア」の数にも注目したい。最近のCPUは、1個の中に複数個の計算機(コア)とでもいうべきものが内蔵されている。コアが2個あれば、2個の計算を同時にできる……と理解しておけばいい。例えば「動画を編集しつつ、Excelを使う」といった場合、二つの作業を同時並行して進めることになるので、コアが2個あったほうが動作が速くなる。コアの数が1個のものを「シングルコア」、2個のものを「デュアルコア」、4個のものを「クアッドコア」という。性能を求めるのであればクアッドコアのCPUを搭載した製品を選びたい。

●ハードディスク(HDD)
ハードディスクは、パソコン内のデータを入れておく記憶メディアだ。パソコン内に内蔵されているので普段は意識しないが、この容量が大きければ大きいほど大量のデータを入れておける。サイズの大きい動画ファイルを多数扱う場合は、2TB、3TB、4TBといった大容量のHDDを搭載した製品が望ましい。

また、最近では「HDD」以外に「SSD」というドライブを搭載した製品もある。SSDはHDDより高速で、SSDにWindowsなどOSを入れておくと非常に快適に動作するが、その分容量は小さい。Windowsやアプリケーションを入れるドライブにSSD、データ用にHDDといった具合に、ディスクを2台搭載している製品もあるので、予算に余裕があれば検討してみるのもよいだろう。

デスクトップパソコン用のメモリ。

デスクトップパソコン用のメモリ。内蔵されているので普段はあまり見かけることはないだろうが、容量が多いほど大きなファイルを快適に取り扱える。

PUは「パソコンの頭脳」とでもいうべき部品。

CPUは「パソコンの頭脳」とでもいうべき部品。クロック数が高く、コア数の多いものを選びたいところだが、高性能な製品ほど消費電力も高めになる。

ハードディスクはファイルをため込むための格納庫とでもいうべき部品。

ハードディスクはファイルをため込むための格納庫とでもいうべき部品。サイズの大きな動画を扱う場合は、できるだけ容量の大きなものを選びたい。

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ノートパソコンは携帯性と液晶を重視

持ち運んで使うノートパソコンの場合は、携帯性が重要となる。そのため、外形寸法と重量がとりわけ重要だ。また、持ち歩いて使うならバッテリの持続時間にも注意したい。液晶ディスプレイは、解像度と光沢・非光沢の種類がチェック対象となる。このほかLANなどネットワークの充実度などにも着目したい。

●外形寸法と重量
外形寸法と重量は小さければ小さいほど持ち運びはしやすい。ただし、コンパクト過ぎると、画面が小さくて見づらかったり、キーボードが狭くてタイピングしづらかったりといったことにもなりがちだ。特にキーボードの広さや感触については残念ながらスペックだけでは分からないので、これは店頭で触ってみて確認したいところだ。また、重さについては本体だけでなく、ACアダプタの重量についても確認しておくとよいだろう。

●バッテリの持続時間
持ち歩いて使うようであれば、なるべく長時間持つものが望ましい。頻繁に持ち歩くのであれば、5時間以上の持続時間は欲しいところだ。

●ディスプレイ
液晶ディスプレイのサイズは、本体の外形寸法に直結する。「15インチ」などといった具合にスペックに記されているので、自分の見やすいサイズを選ぼう。見やすいサイズが分からない場合は、こちらも店頭で確認してみたほうがよい。

「解像度」は画面がいくつの点で構成されているかを示すもの。例えば「1,920×1,080」なら、画面の横方向に1,920個、縦方向に1,080個の点が並んでいることを意味する。この数値が大きければ大きいほど、1画面にたくさんの情報を表示できる。ただし、画面が小さいのに解像度が高過ぎると、今度はアイコンや文字が小さく表示されて見づらくなってしまうので要注意だ。

また、ディスプレイの表面が、光沢感のあるタイプ(グレア)か、光沢感のないタイプ(ノングレア)なのかもチェックしておきたい。光沢タイプは写真などを色鮮やかに表示できるが、表面がピカピカなので、蛍光灯などの光を反射しやすい。特に長時間使用が前提のビジネス用途の場合、色が鮮やかすぎて反射がキツいと、目が疲れてしまう。あまり写真や動画の見映えにこだわらないのであれば、非光沢タイプを選択したほうが目の疲れを軽減できる。

●ネットワーク
最近のノートパソコンには、ほぼ例外なく無線LANが装備されている。逆に製品によっては、軽量化のために有線LANが省略されているものもある。会社や自宅で有線LANを使って、安定して高速なネットワークを利用したいのであれば有線LANのあるモデルにしたほうがよい。

●CD/DVD/ブルーレイドライブの有無
これは用途によるが、軽量化のためCD/DVD/ブルーレイといった光学ドライブが省略されている製品もある。頻繁に利用するなら光学ドライブ内蔵製品を選ぶといい。少しでも軽く持ち運びしたいという人は、光学ドライブのないモデルでもいいだろう。

このように用途別にスペックの見方を説明してきたが、重要なのは事前に「自分がそのパソコンをどう使いたいのか」をきちんと決めておくことだ。そして、疑問に思った点があったら、そのままにせずインターネットで検索するなどして、事前に疑問を解消しておこう。十分にそのパソコンの性能を理解したら、あとは予算と照らし合わせつつ、購入する製品を決めるとよいだろう。

ノートパソコンは、全体の重量や液晶ディスプレイの解像度などをきちんとチェックしておきたい。

ノートパソコンは、全体の重量や液晶ディスプレイの解像度などをきちんとチェックしておきたい。デスクトップと違ってパーツごとの買い換えはできないので、できれば店頭で実機を触ってみたいところだ。

最近のノートパソコンは、軽量化のため光学ドライブや有線LANを省略した製品も増えてきた。

最近のノートパソコンは、軽量化のため光学ドライブや有線LANを省略した製品も増えてきた。自分の用途に応じて、必要かどうかを判断しよう。

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