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2012年 2月 1日公開
【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与
【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
テキスト/梅原光彦 イラスト/ 今井ヨージ
決算は経理にとって1年で最大のイベント。決算は、会社の経営成績や財務状態を知るための重要な作業になります。初心者には複雑で仕事量も多いので、少しずつ計画的に進めないと後が大変。決算が近づいてきたら何をどう準備すればよいのでしょうか。
「ち、近づいてくる!」と頭を抱える経理ママ、「うちの決算日は3月31日や。何から準備するんやったかなあ」。 途方に暮れるママに、いつもの力強い味方、現代知恵蔵君が現れて声をかけた。「大丈夫! 少しずつ準備をしていけば、決算は乗り越えられます。まずは……」
決算の準備は少しずつ計画的に
決算の準備には次のような作業があります。決算日が近づいたら少しずつ準備を始めるつもりで、計画的に進めていきましょう。
目次
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実地棚卸とは、在庫(棚卸資産)の現物を直接見て、その数量、種類、品質を確認することです。実地棚卸は期末に行いますが、期末になったらすぐに棚卸ができるよう、早めに棚卸表を各部署に配布しておきます。余力があれば、棚卸の方法や、日程、担当者、人員等のスケジュールなどを定めた計画表を作成して、担当者全員に配布し、周知しておくと作業がスムースに進みます。
棚卸表サンプル
商品、製品、原材料、貯蔵品が実地棚卸の対象です。工場やお店、倉庫などにあるものだけでなく、メーカーなどに預けているものがあればそれも棚卸金額に含めます。こうした在庫については預け先から一覧表をもらっておくと助かります。
たとえ販売したものでも、取引先で検収が終わっていないものは「売上未計上」として棚卸金額に含めます。税務調査では取引先で未検収のため売上に計上していないものが在庫として計上されているかチェックされます。
傷や汚れがついた商品や古くなった商品など通常の値段で販売できないものは評価損に計上できます。また、仕入れた時期によって商品の単価が違う場合は、最後に仕入れたときの価格×個数で在庫の金額を計上します。
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現金出納帳の残高と手許(手元)現金の残高が一致しているか確認します。一致しないときは原因を調べますが、分からないときは「現金過不足」として費用または収益に計上し、現金出納帳の残高を手許(手元)現金の残高に合わせます。
仮払金や仮受金などの仮勘定は、できるだけ決算前に処理しておきましょう。どうしても処理できない場合は、仮勘定の内容について説明できるようメモをつくっておきます。
残高証明書を金融機関からもらいます。証明してもらう日付は決算日です。この残高証明書と帳簿の残高が一致しているか確認し、一致していない場合には、その原因を調べます。
事前に金融機関に申し込めば、指定した日に自動的に残高証明書を郵送してくれるサービスがあります。一度手続きをすれば、翌年からは何もしなくても送られてきます。
決算日が金融機関の休業日だったりすると、帳簿の残高と証明書の金額が合わない場合もあります。また、期末に小切手で支払ったものが未引落しとなっているときなどは、帳簿の残高が残高証明書の金額より少なくなって一致しません。銀行の閉店後に入金したものなども一致しない原因になります。こういう場合は、残高が合わない原因を調べて、その理由を書面にまとめておき、いつでも説明できる状態にしておきます。
借入金があるときはその残高証明書をもらいます。期末時点の借入金の残高と帳簿の残高が一致しているか確認します。特に元利均等で返済している場合には、毎月の元本の返済額が異なるため、残高の確認が重要となります。
借入金の返済は経費にはなりません。経費になるのは利息だけです。利息の金額を把握するため、返済予定表を用意しておきます。
取引先別に、売掛金・買掛金の残高が取引先別売掛金管理表・取引先別買掛金管理表の残高と一致しているか確認します。一致していない場合には、請求、入金の記入漏れがないか調べます。
取引先に「売掛金残高確認書」(売掛金の残高確認依頼書)を送って、記入してもらったあとで返送してもらいます。自社の帳簿の残高と取引先の帳簿の残高を照合することで原因がはっきりします。
売掛金残高確認書サンプル
締後売上とは、締日の翌日から期末までの間に売上げたものをいいます。締後仕入も同様に、締日の翌日から期末までの間に仕入れたものをいいます。これらの金額は納品書、売上伝票でチェックして取引先別にリストアップし、締後売上・締後仕入の明細書に記入します。
この場合は、21日から末日の31日までの売上を計上しなければなりません。ちなみに売上が上がっていない在庫は経費には計上できません。事業年度の最終日に残っていた在庫の金額を集計してください。
売掛金、貸付金、受取手形、割引手形などで回収ができないと思われるものを不良債権明細書に記入します。これは貸倒損失の計上、個別評価貸倒引当金の計上の検討のために行います。なお、貸倒れになりそうな会社には請求書を送ります。請求書を送らないと、決算のときに貸倒損失として処理できません。
買掛金や未払金も期末までに集金に来てもらうなどして支払っておくと、決算資料で買掛金や未払金の明細欄が少しでも減るので作業が少しでも楽になります。
受取手形帳、支払手形帳の手形の残高と帳簿の残高が一致しているか確認します。
手形を割り引いている場合は手元に手形の現物がありません。銀行から残高証明書を発行してもらい、決算書に「注記事項」として記載します。この記載がないと割引手形に対して貸倒引当金の設定が認められないので、必ず残高証明書をもらいます。
貸倒れが発生する前から、売掛金や受取手形のうち回収できないものを見積もっておき、用意しておくものです。収益と費用が違う年度に計上されるのを防ぐために設定しておきます。たとえば23年度に売掛金が発生して24年度にその会社が倒産すると、貸倒損失という費用の勘定が発生します。こんなふうに違う年度で収益と費用が発生してしまうと帳簿の金額が合わなくなるので、あらかじめ貸倒引当金を用意しておくわけです。
総勘定元帳の固定資産の金額と固定資産台帳の合計金額を照合します。金額が一致しないときは、固定資産台帳に記載されている資産のうち、期末までに廃棄・売却したものがないか確認します。特に廃棄したものは、資金の動きがなくて見落としやすいので注意すること。備品や車両の増減など記入漏れがないか確認しましょう。
固定資産台帳サンプル
期末までに作業、工事に着手したもののうち、期末までに完成引渡しされていなくて、売上が計上されていないものをいいます。仕掛品については、それにかかった費用を計算して資産に計上しなければなりません。
かかった費用を積み上げて計算する方法と、売価に原価率と進捗割合を乗じて計算する方法があります。仕掛品の評価については難しい問題も多いので、専門家に相談するとよいでしょう。
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