2015年 5月 1日公開

【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与

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「平成27年度税制改正のポイント」の巻

テキスト: 梅原光彦 イラスト: 今井ヨージ

平成27年度与党税制改正法案が可決されました。今回はそんな大きな改正ではないので、経理に携わる人は、大まかなポイントだけ知っておくとよいでしょう。そこで今回は平成27年度税制改正のポイントについて、かいつまんで解説いたします。

「平成27年度税制改正のポイント」の巻

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消費税についての改正

ポイント1 平成29年4月1日に消費税10%にアップ

【景気判断条項なし】

消費税については次回の引き上げ時期が「平成29年4月1日」とはっきりと示されました。平成26年4月に5%から8%に引き上げられたときのように、景気動向を見て消費税引き上げを判断するという「景気判断条項」は付帯しませんでした。消費税アップは延期したものの、これ以上の先延ばしはないということです。

<消費税率引き上げと運用開始日>

 運用開始日
平成9年4月1日平成26年4月1日平成29年4月1日
区分消費税率4.0%6.3%7.8%
地方消費税率1%
(消費税額の25/100)
1.7%
(消費税額の17/63)
2.2%
(消費税額の22/78)
合計5.0%8.0%10.0%

ポイント2 国外事業者が国境を越えて行う取引は消費税の課税対象に

消費税は国内取引が課税対象であり、国外取引は課税対象外となっています。取引が国内であるか国外であるかは、消費税法や消費税法施行令の規定により判断されます。その規定が今回の改正で変更されました。

電子書籍や音楽配信・広告等の配信、クラウドサービス等については、これら役務(サービス)の提供が国外事業者によって行われた場合、これまでの消費税法では国外での取引として取り扱われ、消費税が課税されていませんでした。
しかし、今回の改正では「国境を越えた役務の提供に対する消費税制度の見直し」が行われ、国外事業者が国境を越えて行う取引が新たに消費税課税の対象となりました。国内事業者と国外事業者の税負担の不公平をなくすことが狙いです。

<国境を越えた役務の提供に対する消費税制度における取り扱い>

「国境を越えた役務の提供に対する消費税制度における取り扱い」の図

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法人税についての改正

ポイント1 法人税の税率の引き下げ

【中小法人以外の法人の法人税は23.9%に】

法人税の税率が現行の25.5%から23.9%に引き下げられます。
新しい税率は平成27年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

【中小法人等の軽減税率は15%で据え置き】

中小法人等(注)の軽減税率の特例、すなわち年800万円までは19%が15%に引き下げられる特例はそのまま2年延長されます。

(注)例:資本金1億円以下の株式会社、医療法人、公益・一般法人、NPO法人

<法人税の税率 年度別比較表>

 平成26年4月1日~
平成27年3月31日
開始事業年度
平成27年4月1日~
平成29年3月31日
開始事業年度
中小法人以外の法人
例:資本金1億円超の
株式会社
25.50%23.90%
中小法人
例:資本金1億円以下の
株式会社
医療法人、公益・
一般法人、NPO法人
(年800万円超)
25.5%
(年800万円以下)
19%
(年800万円超)
23.9%
(年800万円以下)
15%

ポイント2 欠損金の繰越控除で中小法人は現行のまま

【大法人の控除限度額は課税所得の80%から65%、50%に引き下げ】

欠損金の繰越控除制度は、特定の期に税務上の欠損金が発生した場合、その欠損金を繰り越し、翌期以降の課税所得と相殺することで税負担が軽減される制度です。大法人の控除限度額(現行:課税所得×80%)は、平成27年度に65%、平成29年度に50%に引き下げられます。

【中小法人等の控除限度額については現行どおり】

中小法人等については、改正前の控除限度額が存置されます。

【全法人で繰越期間が延長に】

大法人等も含め全法人で、平成29年度以後生じる欠損金について10年間、繰越し可能になりました。適用時期は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額からとなります。

<欠損金の年度別控除限度額と繰越期間>

区分内容現行平成27年度平成28年度平成29年度
大法人控除限度額80%65%65%50%
繰越期間9年9年9年10年
中小法人等控除限度額100%100%100%100%
繰越期間9年9年9年10年

<欠損金の繰越期間>

「欠損金の繰越期間」の図

ポイント3 受取配当等の益金不算入制度の見直し

受取配当金は営業外収益として決算上は法人の利益となりますが、法人税法の考え方からすると、配当を支払った法人は課税済みの所得から支払っているので、受け取った法人でさらに配当に課税すると二重課税になってしまいます。従って二重課税を排除する制度として受取配当等の益金不算入制度が設けられています。

受取配当等の益金不算入額は、以下の計算式で求められます。

  1. 連結法人株式等→受取配当等の額(すなわち100%)
  2. 関係法人株式等→受取配当等の額-負債利子の額
  3. a,b以外:(受取配当等の額-負債利子の額)×50%

今回の改正では下の表の通り見直しが決定しました。
「関連法人株式等」の保有割合がこれまでの25%以上という区分から1/3超という区分に変わり、さらに「その他の株式等」(5%超1/3以下)、「非支配目的株式等」(5%以下)(注)という区分ができ、それぞれに新しい不算入割合が定められました。

(注)非支配目的株式等とは、一般的に上場株式等に係る配当金、信用金庫の出資金に係る配当金などが該当します。

<受取配当等の益金不算入の割合と対象となる株式等の区分>

現行改正案
区分不算入割合区分不算入割合
完全子法人株式等(株式等保有割合100%)100分の100完全子法人株式等(株式等保有割合100%)100分の100
関係法人株式等 (株式等保有割合25%以上)関連法人株式等 (株式等保有割合3分の1超)
上記以外の株式等100分の50その他の株式等100 分の50
非支配目的株式等(株式等保有割合5%以下)100 分の20

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消費税・法人税について共通する改正

期限後申告の提出期限が1カ月以内に延長

期限後申告をすると、申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されます。期限後申告であっても、一定の要件を全て満たす場合には無申告加算税は課されませんが、その要件の一つ、「その期限後申告が、法定申告期限から2週間以内に自主的に行われていること」の「2週間以内」が「1カ月以内」に延長されました。

なお、無申告加算税が課されないための要件は、以下のとおりです。

  1. その期限後申告が、法定申告期限から1カ月以内に自主的に行われていること。
  2. 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合(注)に該当すること。

(注)一定の場合とは、次の1および2のいずれにも該当する場合を言います。

  1. その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付していること。
  2. その期限後申告を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税または重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

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