2015年 6月 1日公開

【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与

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「労働保険の年度更新~これだけは知っておきたいポイント」の巻

テキスト: 梅原光彦 イラスト: 今井ヨージ

これからの時期、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届と業務が盛りだくさん! 人事担当者にとっては、大忙しのシーズンとなり、落ち着かない気持ちになる人もおられるかもしれません。今回は「年度更新」のお話です。基本については、これまでもご紹介しているので、ここでは「知っておきたいポイント」についてご説明します。

「労働保険の年度更新~これだけは知っておきたいポイント」の巻

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「労働保険の年度更新」の基本

年度更新の基本のおさらいです。大ざっぱにまとめてしまえば、ポイントは以下の4点です。

ポイント1 確定保険料の計算

社会保険料と違って労働保険料は4月から翌年3月末までを保険年度としています。前年度概算で支払った保険料を、保険年度終了後確定・清算します。

ポイント2 概算保険料の計算

原則、「ポイント1」で計算した確定保険料=新年度の概算保険料となります。なお、新年度に支払われる賃金の見込み額が前年度の50/100以上(半分)、200/100以下(2倍)の場合は、前年度の確定賃金総額を新年度の賃金総額として保険料を計算することになっています。

ポイント3 保険料=賃金総額×保険料率

労働保険料は全ての労働者に支払った賃金に、業種ごとに定める保険料率を掛けて算出します。

ポイント4 提出・納付期限は6月1日から7月10日まで

「概算・確定保険料申告書」の提出・納付期限は毎年6月1日から7月10日までとなっています。

詳細参照:「6月になれば労働保険の年度更新で大忙し!?」の巻

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これだけは知っておきたいポイント

労働保険の年度更新を行うにあたって特に重要なポイントは以下の7つです。

ポイント1 算定期間は支払日ベースではない

保険料算定期間中(今年度の場合、平成26年4月1日~平成27年3月31日)に支払いが確定した賃金は、算定期間中に支払われなくても対象となります。例えば、末日締め翌月5日払いの賃金の場合、4月5日に支払う賃金は、労働保険では「3月分」となります。つまり、平成26年5月5日から平成27年4月5日に支払われた賃金が今回の確定保険料の対象となります。

確定保険料の算定期間

確定保険料の算定期間

ポイント2 1円未満の端数は切り捨て

実際に支払った賃金総額を基に確定保険料を算定する際、賃金総額(注)に保険料率を掛けて算出した確定保険料額に1円未満の端数がある場合は切り捨てます。

(注)実際の賃金総額に1,000円未満の端数がある場合は切り捨てます。

ポイント3 64歳以上は免除対象に

雇用保険料の支払いには免除制度があります。高齢者の雇用促進と福祉の増進を図るために設けられた制度で、事業主負担も労働者負担も共に免除となります。

免除の対象者は、満64歳以上の高年齢被保険者です。ただし64歳の誕生日が来たからといって、すぐに保険料が免除になるわけではありません。雇用保険料の年度(注)初め(4月1日)に満64歳以上であることが条件です。

(注)雇用保険料の年度:4月1日~翌年3月31日まで

図1で言えば前年度の1月1日生まれのAさん、4月1日生まれのBさんの場合は今年度の4月1日で満64歳以上となっているので免除されます。しかし、今年度の8月1日に満64歳となるCさんの場合、8月から保険料が免除となるわけではなく、翌年(次年度)の4月以降から雇用保険料が免除されます。

従って今年(平成27年)の確定保険料の対象から外す人は、昭和25年4月1日までに生まれた人ということになります。また今年の4月以降、賃金から雇用保険料を引かなくてよい人は、昭和26年4月1日までに生まれた人となります。

なお、満64歳を過ぎても、以下の場合は雇用保険料の免除はされません。

  • 日雇労働被保険者や短期雇用特例被保険者(季節労働者や短期の雇用など)
  • 満65歳を過ぎて新しく就職した場合(<図1>のDさんが該当。そもそも雇用保険に加入することはできないので免除もありません)

つまり満64歳を超えて継続雇用される場合にのみ、雇用保険料が免除されるということになります。

<図1>

雇用保険の免除に関する図

ポイント4 概算保険料で40万円超だと分納可

概算保険料が40万円(注1)を超える会社は、1年分の労働保険料を3期に分けて納めることが可能です。第2期以降の納付書は各納期限のおおむね10日前に都道府県労働局から送付されます。

なお、3分割したときの端数は第1期にまとめて納付します。

(注1)労災保険または雇用保険のいずれか一方のみの保険関係が成立している場合は20万円以上。

法定納期は、次のとおりです。
納期はそれぞれ、7月10日、10月31日、1月31日です(注2)。

(注2)末日が土日祝日の場合は、土日祝日明けまで。

<平成27年度の労働保険料の法定納期>

納期納付日
全期・第1期平成27年7月10日
(前年度確定不足分を含む)
第2期平成27年11月2日
第3期平成28年2月1日(注3)

(注3)末日が土日祝日の場合は、土日祝日明けまで。平成28年1月31日は日曜のため翌2月1日が法定納期となります。

ポイント5 口座振替にすると納付期限が延びる

口座振替による納付が可能となっています。労働保険料を口座振替すると下の表のとおり、納付期限が延長されます。

<平成27年度の口座振替納付を選択した場合の納期>

納期第1期第2期第3期
口座振替納付日平成27年9月7日平成27年11月16日平成28年2月16日
通常の納期限平成27年7月10日平成27年11月2日平成28年2月1日

口座振替を希望する場合は、所定の申込用紙を、金融機関の窓口に提出します。
申込用紙等は以下の厚生労働省Webサイトから申込用紙(「労働保険 保険料等口座振替納付送付(変更)依頼書兼口座振替依頼書」)がダウンロードできます。

厚生労働省Webサイト 労働保険料等の口座振替納付

申し込み手続きが完了すると、振替が開始される納付日の2カ月程度前までに登録情報の確認通知が届きます。その後、口座振替日の2週間程度前に振替納付額等の通知が届き、納付日から1カ月程度で振替結果通知が送られてきます。

ポイント6 「一般拠出金」って?

「石綿健康被害救済法」に基づき、平成19年4月1日から石綿健康被害救済のための「一般拠出金」の申告・納付が必要となっています。労災保険適用事業主の全事業主が対象で、労働保険料とあわせて申告・納付することになります。

なお、平成26年4月1日から、一般拠出金率は0.05/1000から0.02/1000に引き下げられています。

ポイント7 納付書の金額は訂正できない !

「領収済通知書(納付書)」の納付金額以外であれば、訂正可能です。万が一、納付金額を誤って記載した場合は、必ず新しい「領収済通知書(納付書)」を用いて書き直してください。

なお、「領収済通知書(納付書)」は、最寄りの労働基準監督署、労働局でもらうこと。他の都道府県のものは使用できませんのでご注意ください。

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