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2015年 8月 1日公開
【連載終了】専門家がアドバイス なるほど!経理・給与
【アーカイブ記事】以下の内容は公開日時点のものです。最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。
テキスト: 梅原光彦 イラスト: 今井ヨージ
前回は海外駐在員を派遣する場合の社会保険の処理について、原則を紹介しました。続く今回は、海外駐在員を派遣する場合の税処理について紹介します。
目次
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出国する前に所得税・住民税の処理について知っておくべきポイントを紹介します。
所得税について
日本での課税所得の範囲と課税方法は、「居住者(非永住者を除く)」であるか、「非居住者」であるか、で異なります。
<居住者・非居住者別の課税範囲>
※従業員に限る
所得税の場合、日本国内に居住する人についてのみ納税義務が課せられます(注1)。このため国内の「居住者」か、そうではない「非居住者」かの判定が国内における課税・非課税の分かれ目となります。
(注1)上の表のとおり、「居住者」の場合、国内と国外で発生した所得について納税義務が生じます。一方、「非居住者」の場合には、国内で発生した所得についてのみ納税義務が課せられます。
「居住者」とは、日本国内に住所があり、または現在まで継続して1年以上日本国内で生活をしている場合を指します。上記に当てはまらない場合は「非居住者」となります。
海外駐在員の課税については、海外勤務の「予定」の期間が1年以上となるか、1年未満となるかによって判定が分かれます。すなわち1年以上の予定で出国するか1年未満の予定で出国するかで「居住者」「非居住者」に分けられ、税処理が変わるのです。
「居住者」……海外での勤務期間が1年未満の予定の場合は日本の「居住者」となります。日本国内での課税はこれまでと変わりません(注2)。
(注2)勤務地の国の税法により勤務地の国でも所得税の課税が行われることがありますので注意が必要です。
「非居住者」……日本を1年以上の予定で離れる場合は、日本を出国した日の翌日から日本の「非居住者」となります。日本の所得税は課されません。日本で給与をもらっても「国外源泉所得」(海外勤務に対する給与)となり、海外の勤務地での課税となります。
海外勤務期間が1年未満に変更となった場合
当初1年以上の予定で日本を出国したものの、その後の事情により出国期間が1年未満となった場合、「居住者」「非居住者」の判定は、あくまでも出国時の海外での勤務予定期間によります。従って、海外勤務期間は非居住者という取り扱いに変更はなく、さかのぼって居住者扱いに訂正する必要はありません。
海外勤務期間が1年超に変更となった場合
逆に当初1年未満の予定で出国したものの、その後の事情により出国期間が1年超となった場合は、1年以上勤務することが明らかになった時点で「非居住者」としての取り扱いに変更することになります。従って、海外勤務期間は居住者という取り扱いに変更はなく、さかのぼって非居住者扱いに訂正する必要はありません。
「非居住者」であっても、出国後最初に支給される給与については課税される場合と、されない場合があります。
例えば、給与が末日締めで翌月25日支給の会社で、7月20日に出国した場合、7月度給与の支給日(8月25日)には出国しているので「非居住者」となりますが、一定の要件に該当することを前提として国内勤務分を含めて7月度の給与では課税されません。
<給与計算期間中に出国したケース>
内閣官房マイナンバー社会保障・税番号制度Webサイト「マイナンバー 社会保障・税番号制度 民間事業者の対応(PDF)」3ページより。
上記の会社の例で、8月10日に出国した場合にも7月度給与の支給日には同様に「非居住者」となりますが、勤務期間の全て(7月1日~7月31日)が国内勤務なので7月度給与で20.42%の源泉所得税が徴収されることになります。
<給与計算期間後に出国したケース>
給与計算期間中国内勤務だった場合は8月25日に支給される給与は課税されます。
「非居住者」が出国後、最初に支給される賞与については、給与とは違って、賞与の支給対象となる期間のうち国内勤務の分については20.42%の源泉徴収を行い、海外勤務の分については非課税となります。
計算式は以下のとおりです。
(賞与の額×国内勤務日数÷支給対象期間の総日数)×20.42%=賞与の所得税
日本を1年以上の予定で離れる場合、出国のときまでにもらっていた給与について、出国時点で年末調整を行う必要があります。日本を出国した日の翌日から日本の「非居住者」となるからです。社会保険料や生命保険料についても、出国のときまでに支払った分が控除の対象となります。
出国する年の1月1日から出国の日まで。
年度途中での海外赴任により日本に住まなくなった人(年度途中から「非居住者」になった人)。日本に住んでいなくても当該年度は年末調整の対象になります。
年度中ずっと「非居住者」となっている人。年度途中ではなく、その年ずっと海外に居住している場合は年末調整の対象外です。
住民税について
住民税の処理は所得税とはまた異なる扱いとなります。
住民税は、所得税とは異なり、前年の所得に対する後払いの税金です。前年1年間の所得に対する住民税をその年の6月から翌年5月までの給与で特別徴収します。
1月1日現在で日本に居住(住民基本台帳に登録)があれば、出国後であっても、前年の所得に対する住民税を翌年1月まで普通徴収により4回払いで支払うことになります。従って1月1日時点で日本に居住していない場合は、その年度の住民税はかかりません。
年末年始に出国するような場合には、年末に出国するか年始に出国するかで、住民税の負担が大きく異なることになります。例えば、平成27年12月31日に出国した場合、平成28年1月1日には日本に住所がないので平成27年の所得に対する住民税はかかりません。1日違いで平成28年1月1日に出国した場合には、平成28年1月1日は日本に住所があるので平成27年の所得に対する住民税がかかることになります。
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次は帰国後の税処理について知っておくべきポイントです。
海外勤務者が帰国すると、帰国したその日から「居住者」として扱われます。帰国後最初に支払われる給与については、給与計算期間に国外勤務があってもその全額が所得税の課税対象となります。
<給与支給日には居住者となっているケース>
7月1日~7月20日が国外勤務となり、給与支給日には「居住者」なので8月25日に支給される給与は全額が課税対象となります。
給与と同じく、帰国後最初に支払われる賞与についても、支給時は「居住者」として扱われるので、全額が課税対象となります。
<帰国後の賞与計算期間について>
賞与計算期間の全てが国外勤務となっていますが、賞与支給日には「居住者」なので、12月25日に支給される賞与は全額が所得税の課税対象となります。
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