2017年 4月 1日公開

専門家がアドバイス なるほど!経理・給与

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「経理担当者が知っておきたい税金の納付期限」の巻

テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ

責任ある企業として活動していくためには納税の義務は当然果たさなければなりません。納めるべき税金を、「いつまでに、どのように」支払うべきか──。今回は税金の納付期限について解説します。

「経理担当者が知っておきたい税金の納付期限」の巻

年間の納税スケジュール

税金の納付は期限に1日でも遅れると延滞税や加算税が生じます。経理担当者としては、そうしたペナルティーを会社が受けることのないよう、納税スケジュールは、日々チェックをする必要があります。

主な税金の納付スケジュールは以下のとおりとなります。

<納税スケジュール(3月決算の会社の場合)>(注)

4/1事業年度開始
5/31確定納税(法人税等・消費税等)の納付
7/10給与に係る源泉所得税(1~6月分)の納付
8/31中間納税(第1回消費税等)の納付
11/30中間納税(法人税等・第2回消費税等)の納付
1/20給与に係る源泉所得税(7~12月分)の納付
2/28中間納税(第3回消費税等)の納付
3/31事業年度終了

(注)上のスケジュールは以下の条件に合致する法人にのみ該当します。

  • 確定申告で納税していること
  • 前期の法人税額が20万円超であること
  • 消費税の中間納税の回数が3回であること(400万円超から4,800万円以下の場合)
  • 給与に係る源泉所得税の納期特例の承認を受けていること

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法人税・地方法人税・法人事業税・法人県民税・法人市民税の納付

ここからは税ごとに納期限(納付の期限)を紹介します。まずは法人税・地方法人税・法人事業税・法人県民税・法人市民税についてです。

a. 確定納税の場合

法人税・地方法人税・法人事業税・法人県民税・法人市民税など、確定申告で生じた納税については、決算期末の翌日から2カ月以内に支払うこととなります(注)。このルールは日本全国共通です。

また、延長申告制度を選択し、申告期限が決算期末の翌日から3カ月以内となった場合も、同様に決算期末の翌日から2カ月以内に支払うこととなります。

(注)納期限が、土曜日、日曜日、祝日等の場合は、その翌日が期限となります。

結論 3月決算の会社であれば5月末が納期限となります。

b. 中間納税の場合

法人税等の中間納税とは、前期の確定申告で生じた税金の約半分を前払いする制度です。事業年度の真ん中で一度支払っておけば、期末にまとめて支払うより資金繰りしやすいという会社も多いことでしょう。対象となるのは、前期の法人税額が20万円超の法人です。

中間納税については、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内に支払うこととなります(注)。

(注)納期限が、土曜日、日曜日、祝日等の場合は、その翌日が期限となります。

結論 3月決算の会社であれば11月末が中間納税の納期限となります。

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消費税および地方消費税の納付

a. 確定納税の場合

消費税および地方消費税の場合も、確定申告で生じた納税については、決算期末の翌日から2カ月以内に支払うこととなります(注)。

(注)申告期限・納期限が、土曜日、日曜日、祝日等の場合は、その翌日が期限となります。

結論 3月決算の会社であれば5月末が納期限となります。

b. 中間納税の場合

消費税等の中間納税とは、直前の課税期間の確定申告で生じた年税額に応じて1回・3回・11回というふうに複数回に分けて支払う制度です。

中間納税の対象となるのは原則、前期の消費税(地方消費税を除く)の年税額が48万円超の法人です。

直前の課税期間の
年税消費税額
48万円以下48万円超から
400万円以下
400万円超から
4,800万円以下
4,800万円超
中間納税の回数原則、中間納税は不要。
ただし、任意の中間申告制度があり自主的に納税をすることは可能。
年1回年3回年11回
中間納付期限各中間申告対象期間の末日の翌日から2カ月以内。初回以外は各中間申告対象期間の末日の翌日から2カ月以内。初回だけ例外的に3カ月以内。
中間納付税額直前の課税期間の年税消費税額等の1/2直前の課税期間の年税消費税額等の1/4直前の課税期間の年税消費税額等の1/12

3月決算の会社の場合、消費税の中間納税スケジュールは下記のとおりとなります。

<直前の課税期間の年税消費税額が48万円超から400万円以下の場合>

第1回11月末が納期限となります。

<直前の課税期間の年税消費税額が400万円超から4,800万円以下の場合>

第1回8月末が納期限となります。
第2回11月末が納期限となります。
第3回2月末が納期限となります。

<直前の課税期間の年税消費税額が4,800万円超の場合>

第1回7月末が納期限となります(注)。
第2回7月末が納期限となります。
第3回8月末が納期限となります。
第4回9月末が納期限となります。
第5回10月末が納期限となります。
第6回11月末が納期限となります。
第7回12月末が納期限となります。
第8回1月末が納期限となります。
第9回2月末が納期限となります。
第10回3月末が納期限となります。
第11回4月末が納期限となります。

(注)初回の7月のみ2回分納めることになります。

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源泉所得税の納付

給与・報酬・配当金・非居住者の役務提供など……源泉所得税は、源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日までに支払わなければいけません。

ただし、従業員が常時10人未満の法人は、納期の特例の承認を受けていることが前提ですが、従業員の給与の源泉所得税を年2回にまとめて支払うこともできます。

 納期限
納期の特例の承認を受けていない場合源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日
納期の特例の承認を受けている場合1~6月支払い分 → 7月10日
7~12月支払い分 → 翌年の1月20日