2022年 5月17日公開

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「知っておきたい“税の罰金”~加算税の基本」の巻

テキスト/梅原光彦 イラスト/今井ヨージ

  • 経理

期限内に申告しなかったり、申告した税額が本来の税額より少なかったりした場合には加算税が課されます。「これくらいなら問題ないだろう」と軽く考えて適正な申告・納税を怠っていると少なからぬペナルティーが課されることになるのです。今回は納税者が知っておくべき加算税の種類とその“重み”(課税割合)について解説します。

加算税とは

加算税とは、申告義務が適正に果たされなかった場合に本税とは別に課される税のことです。加算税には次の4種類があります。

  • 過少申告加算税
  • 無申告加算税
  • 不納付加算税
  • 重加算税

加算税は、自ら所得などを申告し、税金を納めるという申告納税制度を守るためのペナルティー規定といえます。行政制裁的な「罰金」の性格がある税なので、法人税の計算では損金に算入することはできません。

加算税がかからない場合

正当な理由がある場合、加算税が免除されることがあります。「正当な理由」とは納税者の責めに帰すことのできない客観的事情があり、納税者側に加算税を課すことが不当または酷になる場合をいいます。
例えば、所轄税務署へ個別照会制度を利用して得た回答通りに申告していたにもかかわらず、税務調査でその申告が誤っていると指摘された場合があてはまります。納税者がこうした「正当な理由」を主張するためには書面などでその照会時の回答や経緯を客観的に示す必要があります。

以下、4種類の加算税の概要を具体例とともに解説していきます。

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過少申告加算税と課税割合

過少申告加算税とは

期限内に申告した税額が過少だったため、追加納付した際に課される税です。

【課税割合】追加税額×10%

追加で納付した税額の10%が加算税として課されます。ただし、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分についてはさらに重く、課税割合は15%となります。

過少申告加算税がかからない場合

正当な理由がある場合や税務調査の通知前に修正申告した場合、過少申告加算税はかかりません。ただし、税務調査の通知の後に修正申告した場合は、50万円までは5%、50万円を超える場合は10%の過少申告加算税がかかります。

例1 税務調査で指摘された場合

期限内申告で100万円を納付した。翌年、税務調査により売上の計上漏れが見つかり修正申告でさらに150万円を納付した。

結論→税務調査により指摘された修正申告なので過少申告加算税はかかる。

計算式

期限内申告税額:100万円>50万円

  1. 100万円×10%=10万円
  2. (150万円-100万円)×15%=7万5,000円

a+b=17万5,000円 ⇒ 過少申告加算税

例2 税務調査の通知前に修正申告した場合

期限内申告で100万円を納付した。翌年、社内で帳簿を精査していたところ、売上の計上漏れが見つかったので修正申告してさらに150万円を納付した。

結論→税務調査の通知前に自主的に修正申告したので過少申告加算税はかからない。

例3 税務調査開始前(税務調査の通知後)に修正申告した場合

期限内申告で100万円を納付した。翌年、税務署から税務調査が入る旨の連絡があった。社内で税務調査の事前準備として帳簿を精査していたところ、売上の計上漏れが見つかったので調査開始前に修正申告してさらに150万円を納付した。

結論→税務調査開始前であるが、税務調査の通知以後なので、過少申告加算税がかかる。

計算式
  1. 50万円×5%=2万5,000円
  2. (150万円-50万円)×10%=10万円

a+b=12万5,000円 ⇒ 過少申告加算税

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無申告加算税と課税割合

無申告加算税とは

期限後に申告書を提出した場合に課される加算税です。

【課税割合】本来納付すべき税額×15%

本来期限内に納税すべき税額の15%が加算税として課されます。さらに納税すべき税額の50万円を超える部分については20%が加算税として課されます。また、過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課されたことがある場合にはそれぞれに10%加算されます。すなわち50万円までに対しては15%+10%=15%、50万円を超える部分に対しては20%+10%=30%の課税割合となります。

無申告加算税がかからない場合

正当な理由がある場合や法定期限から1カ月以内にされた一定の期限後申告の場合(注1)などにはかかりません。

  • (注1)過去5年(酒税等の個別間接税については1年以内)に、無申告加算税または重加算税を課されたことがない場合で、かつ、無申告加算税の不適用制度の適用を受けていない場合で、かつ、期限後申告に係る税額の全額が法定納期限までに納付されている場合をいいます。

なお、期限後であっても税務調査の通知前に自主的に納付した場合は課税割合が減じられ、本来納付すべき税額の5%が無申告加算税として課されます。

例1 税務調査の通知前に期限後申告をした場合

3月までに申告すべきところ、うっかり申告するのを忘れ、期限後となる10月に申告し、本来納付すべき税額100万円を納付した。

結論→期限後ではあるが、税務調査の通知前に自主的に申告したので5%の無申告加算税がかかる。

計算式

100万円×5%=5万円 ⇒ 無申告加算税

例2 税務調査で指摘された場合

法人税は期限内に申告にしていたが、消費税の申告を忘れていた。翌年、税務調査で消費税の申告漏れを指摘され、消費税100万円を納付した。

結論→税務調査による指摘で期限後申告したため無申告加算税がかかる。

計算式
  1. 50万円×15%=7万5,000円
  2. (100万円-50万円)×20%=10万円

a+b=17万5,000円 ⇒ 無申告加算税

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不納付加算税と課税割合

不納付加算税とは

源泉徴収した所得税を期限内に納付しなかった場合に課される加算税です。

【課税割合】納付税額×10%

ただし、納税の告知を受ける前に納付をした場合は5%となります。

不納付加算税がかからない場合

正当な理由がある場合や法定納付期限から1カ月以内にされ、かつ、その納付期限1年以内に納付漏れがない場合はかかりません。

例1 納付期限後に納付した場合

1月20日に納付すべき源泉所得税の納付を忘れ、5月10日に納付した。

結論→納税の告知を受ける前に自主的に納付したので、5%の不納付加算税がかかる。

例2 税務調査で指摘された場合

税務調査が入り、源泉徴収すべき報酬の支払いついて、源泉徴収漏れの指摘を受けた。

結論→税務調査の指摘による納付なので、10%の不納付加算税がかかる。

例3 納付遅れに気づき自主的に納付した場合

税務署主催の説明会で、1年前のある取引について所得税を源泉徴収するべきだったことを知った。その後すみやかに納付した。

結論→納税の告知を受ける前に自主的に納付したので、5%の不納付加算税がかかる。

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重加算税と課税割合

重加算税とは

過少申告加算税、不納付加算税、無申告加算税がかかる状況で、納税者がウソの申告をしたり、事実を隠したりする「仮装・隠蔽(いんぺい)があったと認められる場合に課される加算税です。

【課税割合】過少申告加算税・不納付加算税に代えて35% 無申告加算税に代えて40%

本来納付すべき税額の35%、40%の税が追加で課されるということで、加算税のなかでは最も重い負担となります。さらに、過去5年以内に無申告加算税または重加算税が課されたことがある場合には10%が加算されます。

注意:電磁的記録の仮装隠蔽についてはさらに10%加算

スキャナー存が行われた国税関係書類に係る電磁的記録または電子取引の取引情報に係る電磁的記録に記載された事項に関して生じる仮装隠蔽があった場合の申告漏れについても10%が加算されます(過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%+10%=45% 無申告加算税に代えて45%+10%=50%)。

例1 意図的に税額を少なく申告していた場合

期限内申告により、100万円を納付した。翌年税務調査が入り、売上の計上漏れが見つかった。調査を進めていくと、会社は意図的に売上を帳簿に記載せず、税額を少なく申告していたことが分かった。修正申告としてさらに150万円を納付した。

結論→仮装・隠蔽による売上除外と認められ、過少申告加算税に代えて35%の重加算税がかかる。

計算式

150万円×35%=52万5,000円 ⇒ 重加算税

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Q&A事例集

Q1.やむをえず決算作業に遅れが出る場合は?

当社は業績拡大に伴い、決算作業に膨大な時間かがかるようになり、事業年度終了日から2カ月内に定時株主総会を開催することが難しい状況です。どうしたらよいですか?

A1.申告期限の延長を検討する

法人の場合、原則として事業年度終了日の日の翌日から2カ月内が申告期限となります。しかし、事情により定時株主総会を2カ月内に招集できない場合には、届け出することにより1カ月延長が認められます。届出書の期限は、申告期限の延長の適用を受けようとする事業年度終了日までです。ただし、申告期限は1カ月延長できても、納付期限は延長できません。納付期限までに概算の税額を見込み納付しておくことがポイントです。申告期限を1カ月延長したとしても、通常通り2カ月以内に申告しても問題ないので、決算が遅れそうな場合は、取りあえず延長申請しておくことも検討するとよいでしょう。

Q2.担当者のやむをえない事情で期限内に申告できない場合は?

当社は経理担当者が新型コロナウイルスに感染し、決算作業に遅延が生じることが分かりました。このままでは期限内に申告することができません。

A2. 所轄税務署長に期限延長を申請する

新型コロナウイルス感染症の影響により期限までに申告納付等することができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより「その理由がやんだ日」から2カ月内の範囲で期限の延長が認められることになります。従って、経理担当者が完治して「勤務できる状況になった日」から2カ月内に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出すれば、申告期限が延長されます。

Q3.業績悪化で納税資金が足りません

当社は業績が急激に悪化し、資金繰りが厳しい状況にあります。このままでは、納税資金が足りないことが判明しました。どうしたらよいですか?

A3.納税猶予の申請を行う

納付期限から6カ月内に納税猶予の申請をして、その申請が承認されれば、原則として1年間の猶予が認められます。納付が困難な理由や会社の財産状況、滞納状況などを税務署が審査します。納税義務が免除されるわけではないので、猶予期間中に資金繰りを改善し、納税資金を確保する必要があります。

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まとめ

計算ミスや計上漏れが見つかった際は、税務調査の通知を受ける前に「自主的」に修正申告することによって、通常より低い税率が適用されたり、加算税が免除されたりするなどのメリットもあります。逆に、意図的に売上を隠す、ウソの経費を計上するなどの仮装・隠蔽行為をすると重加算税の対象となってしまいます。
また、帳簿が保管されていない、税務調査時に帳簿を提示しない場合などは加算税だけでは済まず、「青色申告の承認の取り消し」になってしまうケースもあります。申告期限の延長や納税猶予の制度もあるので、誤りに気付いたら早めに誠実に対応することが肝要です。

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ライター紹介

梅原光彦

ライター歴30年超。新聞、雑誌、書籍、Web等、媒体を問わず多様なジャンルで書き続ける。その一つが米原万里著『打ちのめされるようなすごい本』に取り上げられたことが勲章。京都在住。

監修/田中章仁(たなかあきひと)

プロフィール

1974年生まれ。神奈川県出身。東京税理士会渋谷支部所属。個人事業主から中小企業まで幅広くサポート。モットーは「共に悩み、共に喜ぶ」。週末は少年野球の監督も務める。4児の父。

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