心理的安全性とは
心理的安全性(Psychological safety)とは、チームにおいて不安を感じることなく、自分の考えを率直に発言できる状態のことです。
この概念は、ハーバード大学ビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授により提唱されました。そして2012年には、Googleが心理的安全性の効果を検討する「プロジェクト・アリストテレス」を実施し、「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」という結果を公表したことでも話題となっています。
もし自社のチームで心理的安全性がおびやかされている場合、そこには「無知だと思われる不安」「無能だと思われる不安」「邪魔をしていると思われる不安」「ネガティブだと思われる不安」の四つが存在するといわれています。
せっかくチームメンバーが発言しても、リーダーやその他のメンバーが「理解や能力が足りないのでは?」「その意見はプロジェクトの障害になる」「その発言はネガティブだ」などと発言や行動を否定してしまうと、チームの心理的安全性は確保されにくくなるのです。
今こそ「心理的安全性」に再注目する理由
心理的安全性という概念は2010年代から存在しますが、現在その価値があらためて見直されています。心理的安全性が再び注目を集めている理由は何でしょうか。
コロナ禍を経て、組織の再構成が求められているから
コロナ禍を経て、大きな社会変化に対応できるよう組織を見直す企業が増加しました。すでに大企業ではこうした取り組みが一巡している様子も見られますが、中小企業ではこれから対策するような声も聞こえています。
社会が変化している以上、従来のような出社メインの勤務形態に戻すなど、ただ過去への後戻りをしているだけでは不十分かもしれません。あらためて組織づくりを見直す好機ととらえ、心理的安全性が確保されたチームの新たな構築を検討してみてはいかがでしょうか?
この先「労働者の確保」が重要課題になるから
後期高齢者の割合が高まることに起因する「2025年問題」や、労働者不足が顕著になる「2050年問題」を踏まえると、この先は労働者の確保が今まで以上に重要課題になります。つまり、労働者の「売り手市場」になるわけです。
企業は労働者から選ばれるためによりよい職場環境を用意する必要があり、そのためにも心理的安全性の確保はますます重要となるでしょう。
新価値の創造がますます重要になるから
国を超えて企業間の競争が加速するなかでは、企業が新しい製品やサービスをタイムリーに生み出していくためのアイデア創出が欠かせません。そうした創造的な土壌を構築するために、心理的安全性の確保が効果的だといわれています。心理的安全性のあるチームが企業成長を引っ張っていくようになるでしょう。心理的安全性がなければ人はチームの中やリーダーの顔色をうかがうようになり、心理的安全性があって初めて人は「外」を見るようになるからです。
心理的安全性の高いチームをつくるには?
では、心理的安全性の高いチームをつくるためにはどうしたらよいのでしょうか。比較的簡単に取り組める施策を説明します。